ハロプロから学ぶ楽曲制作論


先日、Berryz工房『七夕スッペシャルライブ ★777★』に行ってきました。
ここ数年で急激にダダハマりしております。先月は℃-ute行きましたし、その前はBerryzのツアーにも数回行っているので、どんだけハマってるんだよって話。

アイドルに関しては楽曲然り、賛否両論言われているマーケットにおいても、ロック・ポップスの市場とはまた違う、いや寧ろ見習うべきところも多々あると思っているので、とても面白くシーンを見ています。
カワイイ/ルックス重視の時代から、ももいろクローバーや東京女子流のようなキャラクター性重視や音楽性の幅広いグループも出てきましたし、ある意味マンネリ化してきてる日本のロックシーンより面白いかもしれません。

自分はやっぱりハロプロが好きなんですが。

昔はアイドルのライブなんて、と思っていた時代もありました。
たまたま耳にした黄金期を過ぎたあたりのモーニング娘。に衝撃を受け、Buono!の圧倒的パフォーマンスにヤラれ、Berryz工房、℃-uteに手を出し、特にBerryz工房の音楽性の振り幅の広さと訳解らないエンタテインメント性の高さに完全に叩きのめされました。
ちょこちょこ聴いてはいたものの、ここ2,3年くらいで急激にハマり初めてライブにも良く行くようになりました。
アイドルブームの影響もあるようですが、意外とアイドルにあまり興味がないロック好きな人が実は最近になってハロプロにハマったという話を最近よく耳にするので、自分と同じような感覚の人、多いみたいです。
何故か自分の周りではDIR EN GREYあたり好きな人がハロプロにハマってる傾向があるようで、、、
解らなくもないですが(苦笑)

『ハロー!は歌とパフォーマンスが凄い』なんて良く言われることなんで、敢えてここでは触れませんが、やっぱり音楽性でしょうかね。
新曲が発表される度に、ビジュアル面は別にして、楽曲の方向性云々、歌唱的な面でのセンターが誰それ云々語れるのもハローの魅力ですから。

「アイドルの曲だから手抜きでも良い、という固定観念を破ったつんく♂は凄い」

そんな秋元康氏の発言もありましたが、ハロー楽曲は、どこかしらに洋邦問わずとしたオマージュ的な部分やテーマ性みたいなのものがあって、それが聴いていて楽しい。プレイヤー的にもギターリフやベースラインなど、玄人受けしそうなものが多々あって、これは流石としか思えないんで。
元々歌謡曲を始めとする日本の音楽シーン自体、そういうオマージュは多々あるわけですが、元ネタの出所と手法が凄い。マニアックというかなんというか。この辺りは挙げていくと3年くらいネタが続きそうなんで、今日は止めておきます。

トラック作りの見本のような音源

とはいいつつも、別に音質が良いとかそういうのは全くなくて(おい
一般的にアレンジを派手に豪華に聴かせようとすると、どうしても音数を増やしたくなります。
最近のアイドル曲やJ-Popに比べると、ハロー楽曲はトラック数も音数も少ない。そこが他と比べると地味に聴こえたり、チープに感じる場合もあるわけです。
だけど、音数の多いトラックというものは作り手の自己満足的要素も強く、場合によっては本当に必要かどうか疑う楽曲も多々あるように感じます。

「よく聴くとこんな音入ってた!」なんて悪く言ってしまえば「良く聴かなきゃ解らないのかよ」という考え方もあるわけで。
音数を多くするとミックスダウンの段階で、懲りすぎたが為に歌とぶつかる可能性も出てくる。たまになんでこんなところ(定位の場所)に打ち込み音入っているのか理解しがたい曲もありますが、音数重ね過ぎて居場所が無くなったのでしょう、だから隙間がない。
その打開策として、歌の音量を上げるから全体的にトゲトゲしさが残ってしまいます。
一見派手に聴こえる音源でも、パワーのあるアンプで大きめの音量で聴いた場合、耳にキツイことが多いです。

で、ハローの音源なんですが、音数が少ない分、どの曲も歌がグッと前に居るんですよね。

歌ナシのインスト音源と聴き比べるとよく解るのですが、歌の位置、音域がぽっかり空いてる。
複数のボーカルが入り乱れるハロー楽曲では最終的に色々なメンバーの声を入れ替えつつ、歌割りを決めていると思うので、作業効率を上げるために必然的に取っているスタイルなのかもしれません。
アップフロント自体が元々演歌・歌謡曲に強い事務所ですから、このあたりのレコーディング手法はお家芸なのではないでしょうか。演歌はあくまで歌メインですから、歌を邪魔するトラックなんて作りませんし。歌もパンチイン/アウトしませんし。
ちょっと定位のいい環境で聴くと音の位置、音量バランス感覚がよく解ると思います。

打ち込みのドラムやベース音も一部を除いて、特別な良い音もしてないです。こういうと語弊があるように聴こえますが。
自分がアマチュアクリエイターやバンドと携わっている中で、音質にこだわってる人が多い。勿論良いことだし、大事なことだと思います。

ただね、ムダにこだわり過ぎてるんですよ。

ドラム等のサンプリング音源、プラグインや機材を凝ったところで、楽曲自体が良いものが作れなければ意味がない。音質にこだわって時間を掛け過ぎてしまうのなら、その時間で新しい楽曲作れよ、というね。
PODでギター録音してるのに、本当に24bitじゃなきゃいけない必要性はあるのか?とか。「弘法、筆を選ばず」じゃないけど、やっぱり良いもの作るのは道具じゃないな、と。

例えば、アレンジの段階でここにオーケストラ入れたいなと思った場合、フルオーケストラバンドを呼んでレコーディングをすれば、それは凄いものになるでしょうけど、お金も労力も時間も掛かります。
でも、本来必要なのは、フルオーケストラバンドではなく、フルオーケストラのアレンジなのです。
これは極端な例ではありますが、生のフルオーケストラでなくとも、アレンジや楽曲の出来が格段に下がるということはない、ということです。
限られたモノの中で最大限のモノを作るというプロの仕事、この辺りはクリエイターを目指すアマチュアミュージシャンはお手本にすべきところじゃないかな、と。

つんく♂の存在

ハローの全権を握っているのは言わずもがな、つんく♂なわけで、作詞作曲を手掛け、コンセプト立てもしてますね。
この人、プロデューサーという肩書き以前にミュージシャン、バンドマンというか、ボーカリストなわけで、そのスタンスは今尚崩れていない。クリエイター気質の小室哲哉や、サウンドプロデューサー色の強い小林武史、亀田誠治、とは全く違うプロデューサースタイルですね。
人に合わせるスタイルというよりも、あくまで自分を推し出すスタイルです。
これが好みが分かれるところだと思いますが、あまり流行廃りには捕らわれてないので、ある意味普遍的な部分が確立されているように思います。

90年代の小室楽曲を聴くとある程度古さを感じてしまいますが、『LOVEマシーン』を聴いても懐かしさはあっても古さは感じない。
歌モノに関しては新しいもの、流行や最先端のサウンドを取り入れすぎても後々古く感じてしまうことがあります。
そして、とにかくリズム命の人ですから、節回し、譜割り、言葉尻まで独特且つ、細かい。これをちゃんと若い子たちに継承してる。プロデュースというより師弟関係に思える節も多々ありますし。

実際、制作現場を知っているわけではないので、あくまで憶測ですが、この人の作曲法は鼻歌で、テーマと方向性だけ決めて、あとは編曲者に投げてるスタイルだと思います。(相当細かい指示はかなりしてそうですが)
自分の役割をちゃんと知っている。なんでもかんでも自分一人でやりたがる人が多い中、その道のプロに任せられることは任せる。
歌モノは“主メロ作った人=作曲者”が世界共通の暗黙の了解ですから問題ない。
この手法じゃないと、複数グループのシングル・アルバム、、、年間100曲は無理でしょう。中には年間200曲ものトラック含めた楽曲を世に出しているクリエイターも知ってはいますが、、、
この辺りは信頼出来る制作スタッフチームが形成されているのだと。近年TNXという会社も立ち上げたわけですから、この、作曲から音源制作に至る過程がよりシステマチック化されているんでしょう。
本人のブログやTwitter見てると仮歌や要所要所の制作現場には色々顔と口出してるようですし、この辺りは名前ばかりのプロデューサーとは違うんだな、と。

楽曲の数をこなすプロの作曲家は自らボツにするようなことはあまりしない。アマチュアだと「これは自分たちに合っていない」等の理由で制作途中の段階ですぐボツにする割合が高いかと思います。合っているか、いないか、曲の善し悪しは聴き手が決めるのです。

一部古いファンからは、事務所がダメ、宣伝がダメだの、つんく♂ネタ切れ、とか色々言われていますけど、その辺は有名税というか、アイドルに限らす、どこの事務所も叩かれるものですから。
確かにCD売上自体は下がってきているし、逆に他アイドルは盛り上がってるわけで、文句言うのも解らないわけではないのだけれど。
CDに関しては業界全体的に売上が下がってきているわけだし、マドンナや矢沢永吉のようにCDよりも興行収入に重きを置き始めたアーティストも多いわけです。
だから、ハロプロみたいにCD売上も動員も一時期ほどではないにしても、ちゃんと定期的にライブ出来る事実って凄いなと。
多分こんなに毎年ライブやってるアーティストってそう滅多にいないんじゃないでしょうか。
メディアや宣伝露出が少ないっていうのも、大人の事情はさておき、リスクを避けてるんでしょうな。今、無理矢理TV歌番組やタイアップ取ったところで、採算取れないし。

統括するとね、こういうレコード会社でもなく、レーベルでもない、団体?どう表現していいのか解らないけど、これを確立させたのは凄いと思う。
まぁ、この辺りはつんく♂の功績もあるでしょうけど、土台としてはやっぱりアップフロントさんの社風なんでしょうね。
思えば森高千里なんて宣伝も含め、歌唱力も音楽性も当時としては群を抜いてたと思うし。
音楽とかエンタテインメント性に長けてるスタッフが多いんだと。

何かね、ハロー!プロジェクトって要は宝塚歌劇なんですよ。

メディア露出少ないけど、定期的に良質なエンタテインメントを提供し続けて、熱狂的なファンも多く存在する。
他アイドルと比べたらイベントや商法的な部分を見れば保守的なんだけど、長い目で見たらどうなのか、って話ですよね。
世界的に見てもこういう存在が音楽シーンに居るってことはすごい意味があることのように思います。


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