ジャパメタとビーイングの巻 - ジェイロック回顧主義 #2

──友人が先日のゴシックロックの記事で紹介していた『Gothic Rock – the Ultimate Collection』を買おうとしたら売り切れになっていたそうです。

あら、結構買ってくれた人がいたみたいですね、有難うございます。輸入盤に関してはAmazon本社自体に在庫がなくとも、タイトル下の〈新品の出品〉というところから海外の店舗から代行して注文できるようになってます。海外から届くので発送まで時間が掛かるんだけど、送料含めてもAmazon在庫より安く済む。輸入盤を買う場合、Amazonに在庫があっても急ぎでない限り、こちらから買うのも手です。Amazonが仲介入ってるから安心だし、日本語でOK。最近はAmazonより安く海外発送してくれる外国盤専門の販売サイトもあるんだけど、Amazonの〈新品の出品〉で出てくる海外店舗のほうが送料入れても安かったりする。あとそういうところは有名どころしかないので、インディーやUS、UK以外が少ないんですよ。タワーもHMVもWebショップはマニアックなインディー系意外と弱いですよね。その辺はやっぱAmazon強いです。

──ちゃっかりアフィリエイトの宣伝ですか。

そりゃ、アフィ経由でうちから買ってくれると有り難いですが、取り上げたアーティストや音源が売れるの見ると紹介し甲斐がありますから!ただでさえコメント少ないブログなんだから、そういう反応は嬉しいです。

──コメント付かないのは理屈っぽい文章をうだうだ書き並べてるからコメントしづらいんだと思います。

…..。 今日の話題に入りましょうか。

ビーイングが日本の音楽シーンに及ぼした影響力を考えると、、、

──今回はジャパメタの話から始めようかなと思っているんですが、このブームにもやはりビーイングが発端となっているんですよね?

元々LAZYとして活動してたメンバー、当人たちはハードロック志向だったにも関わらず、事務所の移行でアイドル路線で。当時は洋楽と言えば、やっぱりベイ・シティ・ローラーズで。それが葛藤となり、解散。のちに本格派ハードロックバンド、LOUDNESSを結成し、81年デビュー。この結成〜プロデュースに関わっていたのがビーイング。その数年後、世界進出を果たしたときに離れるんだけど、後年の作品でも結構な割合で制作には関わってます。EARTH SHAKERもそうだし。

──ビーイングのヘヴィメタルというと浜田麻里のイメージも強いんですが。

ビーイングが仕掛けた「H.M.(ヘヴィメタル)」イニシャルの歌姫たちですね、“麻里ちゃんはヘヴィメタル”の浜田麻里、“魔女伝説三部作”の本城未沙子、“歌謡メタル・エンジェル”早川めぐみ、44MAGNUMプロデュースの橋本ミユキ、あとは「H.R.(ハードロック)」イニシャルの“15才のハードロック少女”早瀬ルミナという人も居ました。この辺の魂はちゃんと90年代ビーイングブームに受け継がれてます。

──あー、KIX・Sとか、FEEL SO BADとか。

ZARDもバック演奏はハードロック志向だし、前回「T-BOLANやZYYGはBOØWY意識だ」なんて言いましたけど。もちろん歌も楽曲はそうなんだけど、演奏自体はハードロック。現にFEEL SO BADもT-BOLANもEARTH SHAKERの西田昌史のプロデュースだったり。歌謡曲メロディにハードロックギターというのは完全にビーイングのお家芸ですね。44MAGNUM解散後の広瀬さとしが先述のプロデュースした橋本みゆきとTOPAZを結成して90年にデビューしてます。これがハードロックからJ-Popに繋がるお家芸の転機なんじゃないかと。TOPAZ自体はビーイング所属ではないんだけど、制作はビーイング系列です。そしてのちに広瀬さとしはビーイングに移籍して、片山圭司(BLUEW)と山下昌良(LOUDNESS)と共にspAedを結成したのが94年、これはビーイングが同所属若手バンドに対しての煽り、大御所の意地みたいなものあったんじゃないのかなぁ、なんて思ってるんですけど。まぁ、成功したかというとs(ry

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──ある意味、カラオケやタイアップ狙いの印象が強いビーイングですけど、やっぱり歌と同時にロックギターが全面に出てますよね、なんだかんだエレキギターはロックの花形ですし。

テクニカル系のギタリストを発掘するのが得意なんですよ、LOUDNESS高崎晃の後は17歳の天才ギタリスト、X-RAYの湯浅晋だったり。松本孝弘(B’z)、北島健二(FENCE OF DEFENCE)は言わずもがな、ジェットフィンガーの異名を持つ横関敦も本城未沙子、早川めぐみのサポートだったし、筋肉少女帯の橘高文彦もきっかけは浜田麻里のバックバンドがそのままAROUGEとしてデビューする形だったり。松川敏也(BLIZARD)という人も居たし。

──松川さんって、hideの1stソロツアーのリードギタリストの方ですね。

そうですね、“RAN”って言ったほうが解りやすいか。今でも熱狂的なファンが多い伝説のギタリストです。今は引退しちゃったのか、消息がよく解らない(爆)。この人のソロアルバム『BURNING』(1985年)で当時ビーイングの研修門下生だった稲葉浩志が参加してるんです。“Mr.CRAZY TIGER”という名前で(笑)

──それは貴重な(笑)でもそう考えると、B’zが途中からハードロック志向になったのも自然な成り行きだったような気がします。

その界隈では有名な『HEAVY METAL GUITAR BATTLE』(1985年 現在廃盤)っていうビーイング所属ギタリストのオムニバスアルバムがあるんですよ。松本孝弘、松川敏也、北島健二、橘高文彦っていうメンツ。多分これが、松本孝弘という名前が公になった最初のアルバムなんじゃないのかなぁ。

──北島健二、松本孝弘、この辺はTM NETWORKのサポートギタリストでしたし、BOØWY、ZIGGYしかり、LINDBARGもそうか、ビーイングの日本の音楽シーンの関わり方凄まじいですね。健全な日本人なら絶対聴いたことある作品に関わってます。

プリプリやユニコーンのプロデュースで有名な笹路正徳もビーイングの人です。こう改めてビーイングが日本の音楽シーンに及ぼした影響力を考えると恐ろしくなってきました(笑)

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44MAGNUMも後期はメタルやめちゃったでしょう

──ビーイング以外のシーンにも目を向けたいと思うんですが、ジャパメタシーンでLOUDNESSと共に外せないのがBOW WOWですよね。

BOW WOWも大手芸能事務所がメンバーを集めたバンドですよね。そう聞くと芸能界の香りがしてイヤかもしれないけど、同級生が集まってバンドを始めライブ動員を増やして晴れてメジャーデビューなんて構図はバンドブーム以降の美学ですから。当時はバンド人口もライブハウスも練習スタジオも今よりずっと少なかったわけですし、オーディション主体で人材を集め、事務所やレコード会社が仕組んで行くバンドは普通でした。
元々はやっぱりベイ・シティ・ローラーズみたいなアイドル構想があったらしいんですけどね、いかんせんギタリスト山本恭司のプレイ、テクニックが凄くて、本格ハードロック志向になったという。ロッキング・オンの渋谷陽一もこの辺りに一躍買っていて、それもあって、洋楽ファンに支持されたとこはあると思います。

──世界デビューはLOUDNESSのほうが先だったんですよね。

デビューは76年だから全然BOW WOWのほうが先だし、早くからエアロスミスやKISSの前座もやってたんだけど、本格的に世界進出をしたのはヴォーカルが人見元基になって、VOW WOWになってから(1984年)だからなぁ。LOUDNESSのほうが83年にアメリカツアーはやってる。今でも40代のアメリカン・ハードロック・オヤジは“AKIRA TAKASAKI”の名前は知ってます。ちなみにLOUDNESSはアメリカ中心だったけど、VOW WOWはイギリスを中心に活動してた。

──そして、先ほど名前があがった44MAGNUM、再結成後はマーヴェリック(デンジャークルー)のイベントに参加したり、瀧川一郎・菊地哲の師匠ということで最近の若いバンギャルにもお馴染のバンドですが。

金髪でしたから(笑)みんな長髪にしても脱色はしてませんでしたから。ビールかけると脱色できるとみんな思ってたんだよ(笑)そういう意味では当時からヴィジュアル系要素が強かったのかもしれない、メイクもしてたし。目黒鹿鳴館のシーンに繋がって行くのかな。JIMMY(広瀬さとし)も魅せるタイプのギターでしたし、タッカンも山本恭司もテクニックで圧倒するタイプだったけど、この人はステージングで圧倒してた。この手のギタリストでは一番ストラップ長かったし。

──白いフライングVの貴公子って感じでした。

橘高文彦が出てくるまでは“フライングV=JIMMY”って感じでしたよね。フェルナンデスの一回り小さいヤツ。でもこの人、ハードロック畑でありながら割りと色んな素養を取り入れようとしてた節は強いですね、先述の解散後の動向もそうだけど、44MAGNUMも後期はメタルやめちゃったでしょう。あれ何気にBOØWYの影響あったんじゃないかと思ってるんですが。

──ここでもBOØWYですか。

事務所が同じだったんですよね。85年のアルバム『FOUR FIGURES』に布袋寅泰が参加してる。メンバーそれぞれが別プロジェクトで作ったアルバム。BOØWYの中では伝説イベントとなっている「ロックステージ イン 新宿」(都有3号地)でも共演してますよね、吉川晃司と山下久美子や大沢誉志幸、共演者も映像見ても明らかにマグナムだけ場違いなんですよ。その辺が直接影響してるとは限らないけど、でも後年のインタビューであの頃はニューロマンティックの影響をかなり受けていたとJIMMYさんが語ってた。ギターもVを封印したし。

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ヘヴィメタの“魔”要素はエンタテインメント

──そう言えば、そんな弟子にあたるD’ERLANGERもヘヴィメタからそっち側に転身したバンドです。

D’ERLANGERはBOØWYよりもBUCK-TICKよりもゴシックだったし、ポジパンだった。でも当時瀧川氏は「バウハウスがきっかけで」と言ってたはずなんだけど、CRAZE始めた頃に「BOØWYを聴いてレスポールからテレキャスに持ち替えて、マーシャル売ってJC(ローランド)買った」と言ってた、いや解ってたけど(笑)CRAZE初期に「BOØWY神話は塗り替えなあかん」なんて言ってたし。
その頃師匠は何やってたかと言えばspAed。師弟揃ってヘヴィメタ→ニュー・ウェーブ→ビートロックと流れて今は結局、原点回帰という流れになってるのが面白いところです。

──前回のゴシックに通じるもの、ヘヴィメタにもダークな要素がありますよね。悪魔とか魔界的な。

悪魔的なエンタテインメントパフォーマンス、ドクロや棺桶というのはScreamin Jay Hawkins(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス)というアーティストが元祖なんです。

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Screamin Jay Hawkins – I Put A Spell On You

その後、レッドツェッペリンの黒魔術、ブラックサバスの悪魔の音、KISSのメイクやパフォーマンスからイメージする怪物的な要素であるとか、そう言ったものがいつの間にかヘヴィメタルの定番イメージになりましたよね。
LOUDNESSも『THE LAW OF DEVIL’S LAND〜魔界典章〜』なんてアルバムありましたけど、内容は別に“魔”でもない気がする。聖飢魔IIは露骨に悪魔だったけど。でもああいうヘヴィメタの“魔”要素はエンタテインメント、人を楽しませようとする手段の延長戦上にある解りやすさ。戦隊モノの悪役というか「着ぐるみの中に人入ってるんだろ」「ヒーローが変身してる間に攻めれば勝てるじゃないか」なんて多分誰しもが一度は思ったことだろうけど、それやったらつまらないというか、そういう予定調和含めて楽しむと言うような。

──話が物凄い極端な気もしますが(笑)何となく解ります。聖飢魔IIだって本当に悪魔かどうかだなんて考えちゃいけない。

LAメタルのスーパーサイヤ人、鎧みたいな衣装だったり、火を吹いたり血糊とか。凄い解りやすいパフォーマンス。ゴス・ポジパンの連中はもっと捻くれてたから、そこは微妙に違う。XのYOSHIKIは『破滅の美学』を提唱してたけど、あの人の“破滅”はやっぱり〈ドラムを壮絶に叩いてそのまま最期を遂げる〉という感じでしょう。でも黒服の連中は〈誰も知らないところでひっそり消えてなくなりたい〉というタイプだから。

──そこが前に言ってたヘヴィメタとゴスの畑の違い、一緒のようで本質が違う部分ですね。

でも本音は両者ともそんなことは思ってない、ただのかまってちゃんなところは同じなんですけどね。最近はそういう差も無くなってきましたけど。でも当時からその垣根を取っ払ってた人が居ました。魔界から地上に降り立って、最終的に宇宙に行っちゃった人なんですけど。

──DEAD END(笑)最近の再結成後やCraeture Creatureから知った若い子はDEAD ENDはジャパメタと言っても理解できないかも知れませんね。完全に伝説のヴィジュアル系バンドのレジェンド枠になってます。

LUNACY(LUNA SEA)のRAYLA(RYUICHI)が「魔界のプリンス」なんて言って出てきたとき「まんま、MORRIEじゃん!」って誰もが思ったし。hydeも清春もことあるごとにリスペクトの念を示してましたね。そういったバンドはヴォーカルだけでなく、ギターソロもサウンドも、もろに足立YOU節入ってたし。ハーモニックマイナースケールにディミニッシュで。
数年前の再結成ブームあたりにメディアでよくやってたアンケート「復活して欲しいバンドは?」、やっぱりBOØWYなんですよ。でも一般論でしょ?業界関係者やバンドマンに統計とったらダントツでDEAD ENDが一位だったと思う。少なくとも自分の周りはそうでした。ただ、そう言ってた人たち、復活後は特に何も言ってないのがアレなんですけど、、、

──昔はやたら男のファンが多かったんですけどね。

ヘヴィメタって、LAZYの影響なのか割りと女性ファンが多いんですよね。そんな中、DEAD ENDはダントツで男が多かった。今は、、、

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ダサイと思われても勝てば官軍

──そして外せないのが目黒ライブステーションと鹿鳴館のシーンだと思うんですが、この辺はXの印象が強いのですが。

その辺はGASTUNKのほうが早かったんですけどね。その筋の人はGASTUNKとDEAD ENDをよく名前上げるんだけど、Xは『VANISHING VISION』からなんですよ、88年だから結構後の話。成功例で言えばXは圧倒的だからその前の話って美化されてる気もするんですよ。インディーズの売上だったら先のDEAD ENDのほうが先に売れていたし。よく大槻ケンヂが「ぼくはXと同時期にお化粧を始めた」なんて言っていて、多分今の人は半分ネタのように思ってるのかもしれないけど、ナゴムレコードって82年に有頂天が作ってるんですよね。筋肉少女帯のナゴムでの本格活動は86年くらいなのかな。Xがエクスタシー作ったのも86年、大体あってるし、当時のインディーズシーンで言えば、ナゴムのほうが全然上だったから。ナゴム・トランス・キャプテンレコードと言う時代。有頂天、THE WILLARD、LAUGHIN’ NOSEが〈インディーズ御三家〉なんて言われて、85年放送のNHKの特番『インディーズの襲来』で紹介されていたし、これにGASTUNKも出てたんだけど、この番組でGASTUNKに衝撃を受けた人、相当いますよ。X本体は別としてエクスタシー自体がレーベルとして機能するのはもっと後なんで。たまに「日本のインディーズシーンの元祖はエクスタシー」みたいに言ってるメディアを見かけるんですけど、ちょっとあんまりだなぁと思ったりもする。

──やっぱり、のちの成功からそれこそ美化されてるんですかね。X含め、当時のヘヴィメタバンドはやたらメンバーが流動的でしたよね、良く雑誌は先ず最初に第何期〜みたいな相関図の説明が入る。

『元〜の誰々→○○』とか入り乱れてましたね、あれを雑誌より細かくまとめてる機関紙みたいなの配ってた子が原宿辺りに良く居たなぁ。同人誌とも言えない新聞みたいなヤツ。

──Xの世間的認知は「元気が出るテレビ!!」に出てからですよね、メンバーも固定されてブレイクし始めたのは。

87年かな?あれが今でも続くYOSHIKI流のメディアの巻き込み戦略、凄いですわ。当時のバンドマンやシーンからは賛否両論どころか否ばかりだったと思うし、ダサイと思われても勝てば官軍。ああいうことやっていてもやっぱり楽曲もライブもズバ抜けて凄かったわけですから。周りだって非難しつつも認めざるを得ないという部分もあったと思います。

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──Xの話が出たところでHIDEの話に行きたいと思うのですが、長くなってしまったので次回に持ち越します。

90年代の日本のロックシーンにおける最重要人物ですね。というかこのシリーズ、このペースで行くといつまで続くんでしょうか?

──当初はあまり触れられていない〈2000年前半のゴスあたりのロックとファッションの関連性〉なんかをするつもりが、その基礎知識で予想外の展開になってしまいましたので。

そう言えば、そうでした。まぁ、気長にやります。


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