Harmony Stella – アメリカ生まれの小っさいブルースおっさん

60's Airline (Harmony) Stella

60年代後半のAirlineブランド(Harmony製)のパーラーギター、Stella(ステラ)。初心者向け、ステューデントモデルです。

Airlineのギターはジャック・ホワイト使用の縁日のお面みたいな素材“Res-O-Glas”で出来ているギター(正式名称がないので、カラーリングと奇抜なボディシェイプ含め、アニメから取った“JETSON”ギターとも呼ばれています)が有名ですね。Harmonyは色んなブランドのOEM生産をしていたことで有名ですが、Airlineは通販中心のブランドです。恐らく「Airline→空輸→通販」に掛けてるんだろうな、「すぐに届くよ!」というノリの。対して同じHarmony製でもスーパーやデパートで販売していたブランドが、HOLIDAY(休日)。この辺は一種のアメリカンジョークだよね、笑うところです。楽器屋なんて今ほど無かっただろうし、そもそもアメリカは広いので、街に出るまで数時間、、、日本の田舎の比じゃないですから通販が普及したのも頷ける。この辺りは今のアメリカの音楽シーンにも表れてる気がするんですよ、AmazonやiTunes Music Storeも現代の通販でしょう。日本でiTMSがイマイチ普及しないのも日本では全国どこでも街に行けばCDショップがあるから。

このギター、現存するStellaの中では比較的状態が良いものです。加え、Airlineブランド、リッケン風?サンバーストはあまりない気がする。茶色いサンバーストや薄緑っ掛かった白(グレッチのアニバーサリーモデル風カラー)は見かけるんだけど。(形は同じだけど各ブランドが独自のペイントを施してました)とはいえ、プレミア付かないのが不人気モデルっぷりがうかがえます。

状態の良い個体で中古市場適性価格2〜3万といったところでしょうか。日本ではそんなに有名ではないモデルなんで、6万円で売ってるの見たことあるけど、それはふっかけすぎだろと思いました。アメリカではStellaばっかり集めてるオッサンとか居るんですけど。eBayで探すと50〜200ドルくらいで沢山出品されてます。安いギターだから粗悪に扱われて状態良いモノが少なくなってるんですけど。B級ビザールギターの宿命です。

Harmonyのアコギといえば、Sovereign(ソヴリン)という立派なアコギもあるんですけどね。そっちはジミー・ペイジが使用していたり、元々が高級機種なので、中途半端なGibsonのヴィンテージより高値で取引されています。

木材とか、よくわかりません

一見、トラ目に見えるボディトップ、バインディング、ポジションマーク、全て手書きペイントです。塗装なんていうちゃんとしたものではなく、DIYのノリでペンキの筆書きやスプレーペイント、バインディングはフリーハンドで太さがまちまちだし、ポジションマーク(というより指板をスプレーで塗っただけ)はフレットにインク乗っかってるし、、、爪で擦ると、、、(涙)ん?指板の色変わってね?あ、剥げてる!これ、白木をローズウッドに模して茶色に塗ってるだけじゃないか!

ボディ材はバーチ。メチャクチャ音がデカイ。でもそれはバーチ材だから、ヴィンテージだからという理由ではなく、普通のアコギに比べると表板、裏板、側板全ての材が薄いからだと思います。(押尾コータローの真似してトップ叩いたら割れると思う)
ブレーシングらしきものはあるけど、完全にこれはトップが変形したいための補強。だから、これを俗に言う“鳴る”と表現するのも違う気がするんですよ。それが“いい音色”かと尋ねれば、“味のある音”としか応えられません。音デカイくせにサスティーンはまったくないし。

この時代のこのクラスのギターって、木材不明なものが多いんです。アコギはバーチが多いみたいだけど、エレキなんて殆どがよく解ってない。アルダーっぽい木だったらラッキー、みたいなノリ。カタログにもボディ材表記はナシ、ボディ材なんてこだわってない時代。
50年代のHarmonyやNationalはリンバウッド(マホガニーよりコリーナ)、60年代はホワイトウッド(バスウッド、ポプラ)の類いが多いみたい。

ボディ材による音響特性なんて騒がれ始めたのは80年代以降オーダーメイドギターが普及しだしたり、ヴィンテージブームが来てからだと思うから。フェンダーだってネックは強度の問題があるからともかく、ボディに関しては入手のし易さと加工性を考えての選択だったろうし。そもそも電気通すんだからボディ材なんて関係なんてないだろ、だったと思うんですよ、当時は。木目がキレイだからナチュラルカラーはアッシュ、塗りつぶしは木目関係ないからアルダー、みたいな。実際、60年代の塗りつぶしのフェンダーにはバスウッド材も普通にありますし。ギブソンのサンバーストって、木目・杢目を活かしてるけど、フェンダー60年代の3トーンサンバーストって塗りつぶしじゃないですか。あのグラディーション具合、特に黄色の部分を表現するためにアルダー材をものによっては漂白していたらしく、そこまでするなら始めから赤っぽいアルダーよりも白っぽいバスウッドが適していたということらしい。

だからこれがバーチなのも入手しやすかったからでしょう。古いアメリカ家具といえばバーチ。日本の同年代のビザールギターにラワン材が用いられてるのも同理由からだと思われる。エレキと違ってアコギって側板の曲げがあるから、Martinみたいに硬いローズウッドを曲げるのには手間も技術も必要だっただろうし。バーチがスネアドラムの胴材として一般的なのも、その理由だと思う。結果論としてそれがスタンダード、基準になったというだけで。

ダメダメだからこそ愛は深まる

話は逸れましたが、このギター、とにかくネックが太いです。所謂1インチネックと呼ばれる棍棒タイプ。ナット幅約44mm、ネック厚1フレット付近で260mm。丸太を真っ二つに裂いたような形状、テーパーなし。カポタストは勿論ハマらない。クラシックギター用のカイザーカポじゃないと無理でした。もちろんトラスロッドが入っていない。この時代の安いモデルはロッドが入ってないものが多く(補強のために入っている場合もある、調整は不可)、強度を保つため太いネックがほとんどだけど、その中でも太い部類だと思う。勿論個体差はあると思われますが。

スケールは同ブランドのステューデントモデルに多く採用されている24″1/4。(ムスタングやジャガーは24″)だから弾けると言う感じ。ネックの太さもあるけど、指板真っ平らだし、フレットは針金みたいに細くて低過ぎるし、エッジの処理とか皆無だし。私は人より手が大きくてネックは太いほうが好きなんだけど、お世辞にも弾きやすいとは言えません。

インストのソロギターなんて持っての他、ストローク主体の弾き語りもにもあまり向いてないかなぁ。そもそもボディサイズがパーラーサイズの上に、トップもサイドも薄い板なので低音は出ません。弾き語りをやる人には解ると思うんだけど、なんだかんだ歌の伴奏にはドレッドノートサイズがしっくりくるんだよね。ボディサイズが小さくなればなるほど歌いづらい。低音の心地よさもあるだろうけど、小さいギターの倍音や周波数と声がぶつかるんだろうなぁ。女の子だったらOOO(トリプル・オー)サイズでもイケるけど、男声でOOOは気持ちよくない。クラプトン風フィンガースタイルはイケるど、小さいアコギでニール・ヤングは無理です。

じゃあ、何に向いてるんだと言えば、Stellaは完全につま弾くブルース用ですね。実際に元々は戦前に黒人ブルースマンに愛されてきたモデルなんですよ、ただ戦前のStellaはHarmony製でもないし、形も仕様も違う別物なんどけど。

オープンGにして、なんていったところでスケール短いから元々テンション弱いし。ロッドなしのネック、異様に薄い表板、太い弦張るの恐いよ、0.11限界でしょ、弾かないときは弦緩めとかなきゃ、0.12張ったらネックが反るというよりもギター全体的が曲がりそう、ブレイシング補強も気休め程度だし、そもそもこのペグ、耐久性どうなんだろ?不安ばかりのギターなんですよ。寧ろそこが愛せるところでもあるんだけど。せめてもの救いはブリッジとテールピースが別れているところでしょうか。普通のアコギのようにブリッジがトップに張り付いてる仕様だったら、50年以上経った今、トップの膨らみどころの騒ぎじゃ無かったと思われます。

ママ・ギタァのアルバム『MAMA GUITAR SINGS MAMA GUITAR』でStella抱えてますね。
MAMA GUITAR SINGS MAMA GUITAR

結局、このギター、器材整理の際に手放してしまいました。(ヲイ

いやぁ、ビザールギターもエレキは各メーカー、各モデル、ピックアップの特色やら配線やら音色の個性で、色々使い道あるけど、アコギは生音だけに難しいですよ。チープだけど別に奇をてらったような変な音なわけでもないし。。。

でも、元は取ったと思います。散々楽しんだし、色々勉強になりました。

追記
グレッチから、このステラを基にしたパーラーギター、G9500 Jim Dandyが発売になりましたね。ネーミングセンスかっこいい。もちろん、弾きやすくアレンジされています
G9500 Jim Dandy Flat Top
GRETSCH

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