Fujigen PP – 質実剛健な日本製ビザールギター「ふじこ」

Fujigen PP4-380
Fujigen/フジゲンブランドの知る人ぞ知るビザール風味漂う、PPシリーズです。
あまり情報の少ないギターなので、色々まとめておきます。

60年代から輸出向けのギターを中心に、その流れからIbanez(当時の読み方はアイバニーズでもイバニーズでもなく、“イバニエズ”)、80年代にはFender Japan、Orville by Gibson、EpiphoneのOEMを経て、90年代後半に自社ブランド“Anboy”を立ち上げた富士弦楽器製造が初めて会社名をブランド名として冠したモデル、1999年発表です。

1999年といえば、各メーカーがこぞってビザール・レトロ風味の新モデルを発表しておりました。90年代初頭からのグランジ・オルタナブームでのジャズマスター/ジャガーの再評価を経て、リットー・ミュージックが93年にムック本『BIZARRE GUITARS』を刊行。当時は一部のマニア層にウケただけのものが、ジワジワと浸透し、その数年後には、テスコやグヤトーンなどの空前のビザールギターブームが到来するわけです。そのピークを迎えたのが98年〜2000年頃です。Danelectroが韓国製で復活したのもこの頃。

その時期に発表されたモデルの中で、Ibanez TALMAN、Charvel Surf Caster(復刻)、そしてフジゲンブランドと同時期(99年)に立ち上がったディバイザー社のBacchusブランド、BBS(SOPHIA豊田和貴モデルで有名なシェイプ)と並んで秀逸なデザインだと個人的に思っているのが、このPPシリーズ。

Airlineレゾナイト製ギター(ジャック・ホワイトで有名な“Jetson”ギター)の“Agular”シェイプをオフセットボディにリデザイン(ジャガーシェイプというよりもGalanti Grandplixのほうが近い)、ピックガードデザイン素晴らしい。6弦側のフック形状は個人的に一番カッコいいピックガードデザインだと思っているZen-On ZESの1Pickup使用もの(Kurt Vileが使ってるタイプ)の雰囲気もあります。どこかDanelectroっぽい印象もあるカラーリングはポップなんだけど、どこか和の雰囲気漂うなんとも言えないボディカラー(フジゲンだから藤色!?)が絶妙です。

ただ、「ビザールギター=スイッチが沢山ついている」という認識もあり、人気でしたので、こういったステューデントモデルを意識したシンプルなギターって人気無かったんですよ。主に島村楽器で半値以下で投げ売りされていました。今では、想像つかないかもしれませんが、当時は「フジゲン?なにそれ?」なんていうのがほとんどでしたし。

これ、ネット上ではPP-320、PP-420という型番で知られているのですが(ネック外すとそういう型番がスタンプされている)、実は間違い。ちゃんとしたカタログが存在していなく、正式な型番があまり知られていないのですが、正しくはPP4-380です。

このPPシリーズ、ピックアップやパーツのスペック違いで4タイプありました。
PP3がアルダー、PP4がバスウッドです。

▼ PP3-950
 (シングル+ハムバッカー、チューン・O・マティック、大きめのテールピース、カラー:白、青(群青)、金)
▼ PP3-550
 (3シングル、 チューン・O・マティック、カラー:白)
▼ PP4-450
 (2シングル、LP Jr.のようなテールピースのみのブリッジ、カラー:水色、ピンク)
▼ PP4-380
 (2シングル、チューン・O・マティック、カラー:青(藤色っぽい)、赤(黒みのある赤))

380や950という型番がそのまま定価になるわけです。その他、少年ナイフの山野直子モデルというのがありまして(これが一番有名)。こちらは通常のボディ厚(45ミリ)で、AirlineやTeiscoに見られるジャーマン・カーブを施し、厚めの乳白色のピックガード、ネックジョイントが凝っていたりしています。これもPP-NYという型番で知られているようですが、普通に「山野直子モデル」というモデル名だったと思います。曖昧ですが。

Body

Fujigen PP4-380 (Shape)
印象的なオフセットボディは38ミリとかなり薄く、バスウッド材と相俟ってかなり軽量です。自分の個体は約2.5kgでした。

漆喰、コールタールの壁のような凹凸のある塗装。触ると独特の質感が何とも言えません。つや消しのマットフィニッシュは仕上げのバフ掛け工程を省くといったコスト削減面で低価格帯ギターにはよく採用されますけど、さらにその上を行く手抜k(ry
粗めのスプレーで吹きつけただけのようなこの塗装が良い意味で木じゃないようなチープ感が出ております。通常、木に塗装する場合、塗料のノリを良くするシーラーといった下地処理・平面出しをするわけですが、(バスウッドに目止めは要りません)この塗装ならムラになってもそれが味になるので、シーラー工程さえも簡素化出来るという何とも合理的な。だから見た目よりも塗装自体はもの凄く薄く仕上げられてます。ちなみにこの塗装はPP4-380だけですね。450になるともう少し細かいマットフィニッシュ。

Neck & Headstock

Fujigen PP4-380 (Head)
ビザールとモダンを足したようなヘッド形状。
インパクトのある手書き風縦書きロゴはこのPPシリーズと原田喧太モデル(マニアックすぎる)でしか見た事がありません。通常のポリ塗装の上からフェンダーの水貼りデカールを意識したシルク印刷で、コーティングされていません。なので、爪で擦ると剥げてしまいます。ポリッシュも厳禁。

半光沢に仕上げられたネックは薄めのUシェイプ。結構薄めなんだけど、Cシェイプよりもネック裏の外周(面積)が大きいので、薄過ぎる感じはしません。かまぼこ型を潰したような。Ibanez J Customのシェイプに近いかと。薄めだけど、ウィザードネックほど「薄っ!」という印象はない感じはなく、最近のギターにありがちな薄いネックが苦手な人にも違和感ないかと。とにかく硬くて丁寧な作りで、やっぱりネックは数字ではなく形状というか、作り次第なんだなと感じさせられるネックです。硬めのネックと言えば、Vanzandtが有名ですが、それよりも握った感じは硬く感じる。だから心なしか弦のテンションもキツメに感じます。フレットは国産ミディアムジャンボ、指板は300Rくらい。

ネックジョイントはフェンダーと逆形状の3ボルトタイプ。二等辺三角形ではなく、頂点が微妙に6弦側に寄っていて、ハイポジションの演奏性を考えると非常に合理的なデザインなんじゃないかと。4ボルトのヒールレス加工というよりも、ミュージックマンで採用されている5ボルトに近い、なだらかな曲線を描いたジョイント外周に仕事の丁寧さを感じます。3ボルトはネックのセンターずれなどが問題になることもあるけど、あれはジョイント方式よりも精度の問題だと思うので。力学的に考えれば、中途半端な四点よりも三点のほうが安定するわけだし、ジョイント強度を考えれば、ネックの端が一点になってるフェンダー3点よりも2点で支える逆三角形のほうが理に適ってる気もします。そういえば、フェンダーよりも先に3ボルトを採用したHarmony Bobcatも特殊な形状してますね。

Pickup, Bridge, Hardware

Fujigen PP4-380 (Hard)
メッキ風の塗装が施されているピックアップカバー。子供の頃、超合金のロボットが古くなってくるとメッキが剥げ、場所によってはプラスチックが剥出しになり「金属じゃないじゃないか!」と思ったのを思い出しました。ピックアップ自体はムスタングのようなボビンに揃えたフラットボールピースではなく、ストラトの出っ張ったボールピースの高さを揃えてるだけ。ザグリは弁当箱、薄くて軽いボディと重なって妙な箱鳴り感があります。

1Vol. 1Tone、ノブはオリジナル形状、ピックアップカバーと同様のメッキ風塗装、プラスチックの類いです。

ピックガードは一体型ではなく、コントロール部分がセパレートしています。さりげないけど粋な計らい。450だとそれぞれ別の柄なんだけど、380は同じ材。遠目で見れば一体型にみえるので、良い意味でのチープ感はこちらのほうがあります。

このモデルより値段の高い450がテールピースのみのブリッジなのに、380がTOM(チューン・O・マティック)タイプなのがよく解らないのですが。フェンダー系のボディにTOMというのは個人的にはかなり無理があると思ってまして。通常深さ17mmのフェンダーネックポケットにはTOMの弦高調整幅は設計上、合いません。ジャズマスター/ジャガーのフローティングトレモロにおける弦落ち防止のため、TOMに交換するというのはよくある改造だと思いますが、ちゃんとしたリペアマンならギブソンのようにネックジョイントに角度を付けてくれます。(でも実はそこまでしてくれない楽器屋が殆ど)弦のテンションもありますが、正しい弦高調整をするため、というところもあるのです。

このPPは廃価モデルですからそんな凝った仕様でもなく、名のあるメーカーでもないただのコピー品ブリッジですので、目一杯ブリッジを下げても弦高があまり下がらない。低めにセッティングするにはネックジョイントにシムを挟むかしかないのですが、駒自体が非常に背が高いので、駒を削れば多少下がりますが、ブリッジ本体自体の高さも結構あります。ギブソンのコピーや、GOTOH製TOMタイプであれば、ブリッジ本体も駒も背が低いので交換するのもアリです。テールピースとブリッジ自体の間隔も少し狭く、これがテンションにも影響しているのかな。

Sound

サウンドはDanelectroをちゃんとした木材で丁寧に作ったらこうなるのかなという感じ。立ち上がりが早くてちょっとテレキャスターな匂いもします。
パワーはなく、サスティーンもあるほうでは無いのでハードロックや速弾きにはあまり向かないけど、あまりクセがない音色で結構オールマイティだと思います。ギター自体はとても弾きやすいし、ピックアップ次第でどうにでもなりそうな印象もあります。逆に言えばビザールギター独特のアーシー感はなくて。自分はそれがなんか中途半端に感じて最終的には手放してしまいました。

「ちょっと変わったギターが欲しいけど、テスコやグヤトーンは弾きにくくてしょうがない」という人にはぴったりかと。比較的手に入りやすい中古市場価格ですし。(1万後半〜2万円代くらい)ただあまり見かけませんけど。

Fujigen PP4-380

トータル的に見て、定価3万円代のギターとはとても思えません。塗装など、もちろん制作コストを下げてる部分もありますが、下げて良いところと譲れないところをしっかり分けています。

ギター弾きならなんだかんだ「日本製ギターの安心感」って絶対にあると思いますが、低価格ながら、フジゲンならではのこだわりが感じられるモデルなんじゃないでしょうか。

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Fujigen PP – 質実剛健な日本製ビザールギター「ふじこ」

Fujigen PP4-380
Fujigen/フジゲンブランドの知る人ぞ知るビザール風味漂う、PPシリーズです。
あまり情報の少ないギターなので、色々まとめておきます。

60年代から輸出向けのギターを中心に、その流れからIbanez(当時の読み方はアイバニーズでもイバニーズでもなく、“イバニエズ”)、80年代にはFender Japan、Orville by Gibson、EpiphoneのOEMを経て、90年代後半に自社ブランド“Anboy”を立ち上げた富士弦楽器製造が初めて会社名をブランド名として冠したモデル、1999年発表です。

1999年といえば、各メーカーがこぞってビザール・レトロ風味の新モデルを発表しておりました。90年代初頭からのグランジ・オルタナブームでのジャズマスター/ジャガーの再評価を経て、リットー・ミュージックが93年にムック本『BIZARRE GUITARS』を刊行。当時は一部のマニア層にウケただけのものが、ジワジワと浸透し、その数年後には、テスコやグヤトーンなどの空前のビザールギターブームが到来するわけです。そのピークを迎えたのが98年〜2000年頃です。Danelectroが韓国製で復活したのもこの頃。

その時期に発表されたモデルの中で、Ibanez TALMAN、Charvel Surf Caster(復刻)、そしてフジゲンブランドと同時期(99年)に立ち上がったディバイザー社のBacchusブランド、BBS(SOPHIA豊田和貴モデルで有名なシェイプ)と並んで秀逸なデザインだと個人的に思っているのが、このPPシリーズ。

Airlineレゾナイト製ギター(ジャック・ホワイトで有名な“Jetson”ギター)の“Agular”シェイプをオフセットボディにリデザイン(ジャガーシェイプというよりもGalanti Grandplixのほうが近い)、ピックガードデザイン素晴らしい。6弦側のフック形状は個人的に一番カッコいいピックガードデザインだと思っているZen-On ZESの1Pickup使用もの(Kurt Vileが使ってるタイプ)の雰囲気もあります。どこかDanelectroっぽい印象もあるカラーリングはポップなんだけど、どこか和の雰囲気漂うなんとも言えないボディカラー(フジゲンだから藤色!?)が絶妙です。

ただ、「ビザールギター=スイッチが沢山ついている」という認識もあり、人気でしたので、こういったステューデントモデルを意識したシンプルなギターって人気無かったんですよ。主に島村楽器で半値以下で投げ売りされていました。今では、想像つかないかもしれませんが、当時は「フジゲン?なにそれ?」なんていうのがほとんどでしたし。

これ、ネット上ではPP-320、PP-420という型番で知られているのですが(ネック外すとそういう型番がスタンプされている)、実は間違い。ちゃんとしたカタログが存在していなく、正式な型番があまり知られていないのですが、正しくはPP4-380です。

このPPシリーズ、ピックアップやパーツのスペック違いで4タイプありました。
PP3がアルダー、PP4がバスウッドです。

▼ PP3-950
 (シングル+ハムバッカー、チューン・O・マティック、大きめのテールピース、カラー:白、青(群青)、金)
▼ PP3-550
 (3シングル、 チューン・O・マティック、カラー:白)
▼ PP4-450
 (2シングル、LP Jr.のようなテールピースのみのブリッジ、カラー:水色、ピンク)
▼ PP4-380
 (2シングル、チューン・O・マティック、カラー:青(藤色っぽい)、赤(黒みのある赤))

380や950という型番がそのまま定価になるわけです。その他、少年ナイフの山野直子モデルというのがありまして(これが一番有名)。こちらは通常のボディ厚(45ミリ)で、AirlineやTeiscoに見られるジャーマン・カーブを施し、厚めの乳白色のピックガード、ネックジョイントが凝っていたりしています。これもPP-NYという型番で知られているようですが、普通に「山野直子モデル」というモデル名だったと思います。曖昧ですが。

Body

Fujigen PP4-380 (Shape)
印象的なオフセットボディは38ミリとかなり薄く、バスウッド材と相俟ってかなり軽量です。自分の個体は約2.5kgでした。

漆喰、コールタールの壁のような凹凸のある塗装。触ると独特の質感が何とも言えません。つや消しのマットフィニッシュは仕上げのバフ掛け工程を省くといったコスト削減面で低価格帯ギターにはよく採用されますけど、さらにその上を行く手抜k(ry
粗めのスプレーで吹きつけただけのようなこの塗装が良い意味で木じゃないようなチープ感が出ております。通常、木に塗装する場合、塗料のノリを良くするシーラーといった下地処理・平面出しをするわけですが、(バスウッドに目止めは要りません)この塗装ならムラになってもそれが味になるので、シーラー工程さえも簡素化出来るという何とも合理的な。だから見た目よりも塗装自体はもの凄く薄く仕上げられてます。ちなみにこの塗装はPP4-380だけですね。450になるともう少し細かいマットフィニッシュ。

Neck & Headstock

Fujigen PP4-380 (Head)
ビザールとモダンを足したようなヘッド形状。
インパクトのある手書き風縦書きロゴはこのPPシリーズと原田喧太モデル(マニアックすぎる)でしか見た事がありません。通常のポリ塗装の上からフェンダーの水貼りデカールを意識したシルク印刷で、コーティングされていません。なので、爪で擦ると剥げてしまいます。ポリッシュも厳禁。

半光沢に仕上げられたネックは薄めのUシェイプ。結構薄めなんだけど、Cシェイプよりもネック裏の外周(面積)が大きいので、薄過ぎる感じはしません。かまぼこ型を潰したような。Ibanez J Customのシェイプに近いかと。薄めだけど、ウィザードネックほど「薄っ!」という印象はない感じはなく、最近のギターにありがちな薄いネックが苦手な人にも違和感ないかと。とにかく硬くて丁寧な作りで、やっぱりネックは数字ではなく形状というか、作り次第なんだなと感じさせられるネックです。硬めのネックと言えば、Vanzandtが有名ですが、それよりも握った感じは硬く感じる。だから心なしか弦のテンションもキツメに感じます。フレットは国産ミディアムジャンボ、指板は300Rくらい。

ネックジョイントはフェンダーと逆形状の3ボルトタイプ。二等辺三角形ではなく、頂点が微妙に6弦側に寄っていて、ハイポジションの演奏性を考えると非常に合理的なデザインなんじゃないかと。4ボルトのヒールレス加工というよりも、ミュージックマンで採用されている5ボルトに近い、なだらかな曲線を描いたジョイント外周に仕事の丁寧さを感じます。3ボルトはネックのセンターずれなどが問題になることもあるけど、あれはジョイント方式よりも精度の問題だと思うので。力学的に考えれば、中途半端な四点よりも三点のほうが安定するわけだし、ジョイント強度を考えれば、ネックの端が一点になってるフェンダー3点よりも2点で支える逆三角形のほうが理に適ってる気もします。そういえば、フェンダーよりも先に3ボルトを採用したHarmony Bobcatも特殊な形状してますね。

Pickup, Bridge, Hardware

Fujigen PP4-380 (Hard)
メッキ風の塗装が施されているピックアップカバー。子供の頃、超合金のロボットが古くなってくるとメッキが剥げ、場所によってはプラスチックが剥出しになり「金属じゃないじゃないか!」と思ったのを思い出しました。ピックアップ自体はムスタングのようなボビンに揃えたフラットボールピースではなく、ストラトの出っ張ったボールピースの高さを揃えてるだけ。ザグリは弁当箱、薄くて軽いボディと重なって妙な箱鳴り感があります。

1Vol. 1Tone、ノブはオリジナル形状、ピックアップカバーと同様のメッキ風塗装、プラスチックの類いです。

ピックガードは一体型ではなく、コントロール部分がセパレートしています。さりげないけど粋な計らい。450だとそれぞれ別の柄なんだけど、380は同じ材。遠目で見れば一体型にみえるので、良い意味でのチープ感はこちらのほうがあります。

このモデルより値段の高い450がテールピースのみのブリッジなのに、380がTOM(チューン・O・マティック)タイプなのがよく解らないのですが。フェンダー系のボディにTOMというのは個人的にはかなり無理があると思ってまして。通常深さ17mmのフェンダーネックポケットにはTOMの弦高調整幅は設計上、合いません。ジャズマスター/ジャガーのフローティングトレモロにおける弦落ち防止のため、TOMに交換するというのはよくある改造だと思いますが、ちゃんとしたリペアマンならギブソンのようにネックジョイントに角度を付けてくれます。(でも実はそこまでしてくれない楽器屋が殆ど)弦のテンションもありますが、正しい弦高調整をするため、というところもあるのです。

このPPは廃価モデルですからそんな凝った仕様でもなく、名のあるメーカーでもないただのコピー品ブリッジですので、目一杯ブリッジを下げても弦高があまり下がらない。低めにセッティングするにはネックジョイントにシムを挟むかしかないのですが、駒自体が非常に背が高いので、駒を削れば多少下がりますが、ブリッジ本体自体の高さも結構あります。ギブソンのコピーや、GOTOH製TOMタイプであれば、ブリッジ本体も駒も背が低いので交換するのもアリです。テールピースとブリッジ自体の間隔も少し狭く、これがテンションにも影響しているのかな。

Sound

サウンドはDanelectroをちゃんとした木材で丁寧に作ったらこうなるのかなという感じ。立ち上がりが早くてちょっとテレキャスターな匂いもします。
パワーはなく、サスティーンもあるほうでは無いのでハードロックや速弾きにはあまり向かないけど、あまりクセがない音色で結構オールマイティだと思います。ギター自体はとても弾きやすいし、ピックアップ次第でどうにでもなりそうな印象もあります。逆に言えばビザールギター独特のアーシー感はなくて。自分はそれがなんか中途半端に感じて最終的には手放してしまいました。

「ちょっと変わったギターが欲しいけど、テスコやグヤトーンは弾きにくくてしょうがない」という人にはぴったりかと。比較的手に入りやすい中古市場価格ですし。(1万後半〜2万円代くらい)ただあまり見かけませんけど。

Fujigen PP4-380

トータル的に見て、定価3万円代のギターとはとても思えません。塗装など、もちろん制作コストを下げてる部分もありますが、下げて良いところと譲れないところをしっかり分けています。

ギター弾きならなんだかんだ「日本製ギターの安心感」って絶対にあると思いますが、低価格ながら、フジゲンならではのこだわりが感じられるモデルなんじゃないでしょうか。

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Fujigen PP – 質実剛健な日本製ビザールギター「ふじこ」」への2件のフィードバック

  1. 私も最近このギターの3ピックアップのホワイトを手に入れました。情報参考にさせていただきます、ありがとうございます。PP3-550にあたると思うのですが、強度といい、木のにおいといいおそらくバスウッドかと思ったり

    • 有難うございます。
      良いギターですよね。3ピックアップ、レアですね。実物見たことないです。

      仕様に関してはカタログが存在していないため、当時の記憶とロッキンFの特集記事、フジゲンの方の話を元にしていますが、ボディ使い回しの可能性もよくあるので、バスウッドもありえないことはないですね、、、

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