おれたちの青春「セックス、ドラッグ&モトリー・クルー」

かねてから噂されていた、Mötley Crüeが解散発表。

 >> モトリー・クルー解散 さよならツアーの日程を発表 | シネマ・トゥデイ

ボーカルのヴィンスは、「オリジナルメンバーの1人だけ残っていたり、誰かの兄弟が残っていたりというバンドにはなりたくなかった。モトリー・クルーの設立メンバー4人で終わりを迎えたい、頂点にいる時にやめたいと思ったんだ」とコメントした。

ギターのミック・マーズの持病、強直性脊椎炎への配慮からともいわれているが、オリジナルメンバーの最高潮のうちに解散しておきたいという、最高のロック・バンドの有終の美。80年代の活動からロックスターダムに昇り詰め、90年代にはメンバーチェンジ等、紆余曲折あった中での2004年のオリジナルメンバーでの復活から10年、だからこそ説得力のある決断とも言える。

ロックバンドというものは変化し、勿論歳も取る。やりたいことは年々変わっていき、時に迷走する事も行き詰まってしまうことだってある。売れたら昔からのファンからは「変わってしまった」と言われてしまう。成功すれば金銭的なトラブルもつきまとう。
長くやることが全てなわけでもなく、歳を取れば若い頃の勢いは失われ、それを熟年の凄みと進化として活かすことが出来れば良いが、そういうことが出来ない場合だってある。

再結成ブームが訪れ、伝説のバンドが“奇跡の復活”として持て囃される。ただ、実際はどうだろう。懐古・同窓会的に一時的に騒がれておしまいだなんてことも少なくはない。中には期待に胸膨らませた再結成後の新譜にがっかりしてしまったバンドも。
結局ライブで盛り上がるのは往年の懐かしいナンバー、、、

何が正解なんて後になってみなければ解らないし、いや、そもそも正解などは存在しない。
ただ、頂点に立っている時、人気絶頂期に終わらせれば、色褪せることはない。本人達にとってはとても勇気のいる大英断。

最近の若者は、「ロック=ワル」という構図が全く理解出来ないらしい。
本当にワルではなくとも、ちょっと悪ぶったものがロックの理想であったし、憧れだった。
そんなR30世代のロックへの憧れ、絵に描いたようなバッドボーイズなロックスターバンドが、Mötley Crüe だった

そんなモトリー・クルーについて触れていきたい。

Sex & Drug & Rock N Roll

モトリーはRATT、Quiet Riotと並んで、中性的なメイクとド派手な衣装で一世を風靡した“Glam Metal(グラム・メタル)”と呼ばれたハシリのバンド。日本では、DokkenやPoisonなどと一緒に〈LAメタル〉と言ったほうが馴染みがあるかもしれない。LAメタルは日本のみで通用する造語。
そんな中でも“Sex, Drug & Rock N Roll”というロックスターの象徴のようなアブないヤツら感がプンプンしてたバンド。デビュー直後、KISSのツアーに帯同することがあったが、ドラッグと酒の粗暴でツアー序盤でクビになる。

グラム・メタルが流行れば、メイクをやめて黒ずくめに、オルタナティブロックが台頭すれば、そちらに転身するという、この辺りはバンドの司令塔でもあるベースのニッキー・シックス(Nikki Sixx)の嗅覚の早さとでも言うべきなのだろう。

1983年バリバリのグラムメタル時代

 

HR/HM界のいぶし銀ギタリスト

Mick Mars from Motley Crue
Photo by danlindeberg

モトリーの特徴として、「HR/HMの花形であるギターが目立たない」というのがある。
いや、そういうと語弊があるか。バンドの最年長であるギタリスト、ミック・マーズ(Mick Mars)は、ただベースぶら下げているだけで圧倒的な存在感を放つニッキー・シックスと、360度ドラムセットが回転するなど、ド派手な演出を好んだトミー・リーに隠れてしまっているのは否めないのだが、所謂技巧派ギタリストではないため、HR/HMギタリストの中では地味なタイプのギタリストであるということだ。

エディ・ヴァン・ヘイレンを筆頭に速弾き全盛だった80年代HR/HM界の中ではビックリするくらいギターソロが少ない。というよりもテクニカルなプレイをしない。そこは当時ヤングギターを教科書にしていたギターキッズにとっては「モトリーはコピーしても面白くない」という声が多かった反面、バンドとしてのグルーヴの醍醐味を味わえるリフ主体のプレイは、速弾きを毛嫌いしたブリティッシュロック好きにこの好まれていたのは確かである。

何となくだが、“Just A Rock N Roller” という意味で、ジャンルもスタイルも違えど、ミックはアンディ・マッコイ(Andy Mccoy)、モトリーと、ハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)に同じ匂いを感じていたのは私だけではないはずだ。

特に『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』に出て来そうな近年の怪しい風貌が好きだ。

気が付けば、現在、モトリーのメンバーは、50代前半であるが、ミックだけは60代に突入してしまっていた。(2014年2月現在62歳)

オルテナティヴ・ラウドロック化

1992年、ヴォーカル、ヴィンス・ニールの解雇。新ヴォーカルとしてジョン・コラビを迎えて、リリースされたバンド名を冠した『Mötley Crüe』をリリース。時代の流れからオルタナティヴ色の強い作風で、新ヴォーカルに馴染めない昔のファンからは評判が悪い。ただ、固定観念さえなければ、かなり完成度の高い作品だと思うのだが。どのみち好き嫌いの別れるアルバムである。

1997年、ヴィンス・ニールの復帰。その年にリリースされた『Generation Swine』、個人的に一番好きなアルバム。1997年と言えば、KORNが『Life Is Peachy』と『Follow The Leader』の間に挟まれた年であり、第1回目のフジロックが開催されRage Against The Machineが初来日を果たした年。
かくして私もそんなラウドロック三昧を過ごしていたわけだが、今更モトリーとは思いつつもヴィンスの復帰となれば聴かないわけには行かない。そんな半分義務的にしか考えて居なかったのだが、予想を覆す激震が走った曲がこれ。

Motley Crue – Shout At The Devil ’97 – Official Music Video

言わずとしれた1983年発表の代表曲のセルフカヴァーなのだが、文句ナシにカッコイイ。大幅アレンジというわけでもなく、メロはそのまま、BPMを若干上げてリフをメリハリを効かせたグルーヴ色の強いリズムにする。たったこれだけのアレンジなのに、80年代のちょっと古めのLAメタルが、当時最先端だったインダストリアル風味のラウドロックになった。とは言え、モトリー節は損なわれていないどころかより強固なものになっている。

保守的であり、様式美に拘るHR/HMバンドが多い中、このあたりの吸収力はニッキー&トミーの嗅覚の早さと、リフ職人、ミック・マーズの成せる技といったところだ。

オルタナティブロックへの傾倒はニッキーのサイドバンドでもあった、Brides Of Destruction(ブライズ・オブ・ディストラクション)と一時、バンドを脱退したトミー・リーのMethods Of Mayhem(メソッド・オブ・メイヘム)として思う存分堪能できる。特にMOMの1st『Methods Of Mayhem』は90年代のラウドミクスチャーアルバムとして個人的に5本の指に入る歴史的名盤だと思っている。

Brides Of Destruction – Shut The Fuck Up
Methods Of Mayhem – Get Naked (Uncensored)

 

J-Rock界に多大な影響を与えたベーシスト、Nikki Sixx

Mötley Crüe
Photo by William Sharp

ニッキー・シックスといえば、その佇まいや風貌、オーバードースによる心配停止など、素行の悪さが際立って「ニッキーのベースプレイの特徴は?」と訊かれれば返答に困り、「オーソドックスなベースラインかな、」としか応えようがない。ただ、この「オーソドックスさ」が非常に重要な気がしている。

ニッキーのトレードマークと言えば、B.C. Rich Warlock、Spectorのシグネイチャーモデル、そして何と言ってもGibson Thunder Bird。
ただでさえ、大きくネックが長い上に一番の悩みの種はヘッド落ち。これを改善する方法として、右手のピッキングの位置を工夫している。ニッキーのスタイルはブリッジ寄りでピッキングすることにより、硬めの音を出すというパンクロック的な奏法であるのだが、ヘッド落ちを回避すべく、右手でボディを押さえつつピッキングする。更にブリッジ端に小指を添えることにより、右手首のポジションを固定。それにより安定したオルタネイトピッキングをすることが出来る。のちにブリッジエンドに小指を引っかけるフック(モデルによっては皮ベルト)を装備した。

Mötley Crüe – “Saints of Los Angeles” 右手小指の位置に注目

このヘッド落ちを回避するために生まれたピッキングは、〈ニッキー・チルドレン〉とも言うべき、戸城憲夫(THE SLUT BANKS, ex.ZIGGY)、恩田快人(ex. JACKS’N’JOKER, JUDY AND MARY)、HEATH(X JAPAN)は勿論のこと、変形ベースでなくともストラップを長めにベースを低く構える時には都合が良く、LUNA SEAのJを始め、多くのJ-Rockバンド、特に最近のV系バンドの多くはこのニッキーフォームだったりする。

一時期J-Rockで流行っていた佐久間正英秘伝の逆アングルピッキング、手首でぶった切るように弾く松井常松スタイルの「男は黙ってダウンピッキング」とはまた違ったスタイルである。

さて、最後にモトリーの話題と離れるがが、ちょっと触れておきたいギタリストが居る。

ニッキー・シックスの遺伝子を受け継ぐ男

Guns N' Roses - Dj Ashba - Toronto
Photo by LiveArt Pix

DJ Ashba(DJアシュバ)、冒頭のヴィンスの発言によれば、良くないバンドの見本?Guns N’ Rosesの現リードギタリスト。
アクセルしか残っていないGN’Rにどこが魅力があるのかという人も多いとは思うが、現在のステージをちゃんと観たことがあるのなら、今のGN’Rはバンドとして最高の状態であることはお解りのはず。

このDJ Ashbaというギタリスト、ニッキー・シックスとのバンド、Sixx:A.M.(シックス:エイ・エム)で注目を浴び、今やアメリカでも少なくなったバッドボーイズなアブナイヤツ、ニッキーの遺伝子を受け継いでいる男である。

ギタープレイ、ソングライティングセンスも抜群、そして何より、クールで整った顔立ちのミステリアスなルックスとファッション、派手で華麗なパフォーマンスからアメリカでは大人気ギタリストなのだが、日本ではビックリするほど知名度がない。自分が中学生くらいの頃にこんなギタリストに出会ったら真っ先に憧れたんだろうな、とは思っている。

hideとPATAを足して、SLASHを掛けてキース・リチャーズで割ったような、解りやすいギタリストのカッコ良さを凝縮したような魅せ方が凄い。最近めっきり少なくなった、「ギターヒーロー」という言葉がよく似合う。

30代以上の人、特にオバンギャの皆さんはビビっとくるのではないだろうかと思っているのだが。

Sixx AM – Life is Beautiful [LIVE] CrueFest 1
Sixx AM – Life is Beautiful [LIVE] CrueFest 1

こんなに泥臭くてコブシの効いてる余情的なギター弾く外人さん中々居ないよ、、、
中森明菜の「ミ・アモーレ」ってこんな曲だっけ?と一瞬考えてしまうくらい日本人が作った曲に聴こえてしまう、、、

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