モッズな華の87年組デビューバンドの巻 - ジェイロック回顧主義 #13

将軍:人生なんて、ずっとミリオンクロスロードだよ

執権:またそういうこと言う

将軍:ウチ的に言うと、あれだな、池袋じゃなくて町田だ、三塚交差点24時!

執権:マニアックすぎるぞ、町田駅から結構離れてるじゃねぇか

将軍:何言ってんだよ、246と町田街道と駅前の道を繋ぐ重要な交差点だよ。あの辺に昔、エイベックスの本社があったんだよ。

執権:すげー、どうでもいいし。

将軍:あの辺を説明するのに未だに「東急ハンズが、」と説明しちゃうの止めたい。もうないのに、なんだっけあのビル、聞いてもすぐ忘れる。

執権:ミーナ町田な

将軍:『数学女子学園』の“町田ニーナ”とごっちゃになるよね。昔、横浜線の駅があの辺だったんだよ。原町田という名前で。

執権:誰も興味ないだろ。

将軍:なに言ってんだよ、横浜線の駅が今の場所に移って「町田」になっても小田急とはずーと別駅扱いで連絡切符買えなかったんだぞ、定期券が1枚で済むようになったのはここ10年くらいで、その感動解ってないだろ、ヨーロッパがユーロで統一されたくらいの歴史的事件なんだぞ

日本のモッズ魂、ザ・コレクターズ




GROOVE GLOBE/ THE COLLECTORS from the 25th anniversary live@HIBIYA MUSIC BOWL

──ということで、the pillowsやスピッツにも大尊敬されているバンド、ザ・コレクターズ。デビューが1987年だから今年で27年目。他のバンドと違ってバンドブーム期から今まで活動休止もインディーズになったこともない。BUCK-TICKと同期でJ-Rockのいにしえを知るバンド。
しかし、加藤ひさしさんの声は50過ぎても素晴らしい、衰えない。古市コータロー氏含め、極悪ポッドキャスト人気もあるけど、良い感じの年の取り方、ちょいワルオヤジ具合がいいよね。

コータロー氏、クソかっこいいよな。コレクターズは私にモッズを教えてくれたんだよ。まずBOØWYあたりでロックに目覚め、次の段階で洋楽に行くじゃない?でもいきなりどれ聴けばいいかよく解らないから、洋楽ルーツが色濃く出てる日本のバンドを探すわけ。そこでコレクターズを知って。
なんだろ、あの頃ってみんなボンタンだったじゃん、太ももゆったりで裾がつぼんでるズボン。上は肩幅の広い背広、ジャケットじゃないよ、背広って感じの。

──それこそ、BOØWYやBUCK-TICKのヤンキーロックみたいなヤツね。湘南爆走族ノリな。

だから、コレクターズのバチっとした細身のスーツが何か凄くカッコよく見えてさー。ビートルズのビジュアルは知ってたけど「ああ、これがモッズというのか」と。そこでThe WhoやSmall Facesにハマっていくわけよ。
雑誌とかでも加藤さんがモッズファッション特集みたいなのやってて。サイドベンツとかズボンの裾は15cmじゃなきゃいけないとか、そんで色々真似したりね。

──それいくつのときだよ。

中学の時。だから本物のモッズスーツ買えるわけないじゃん。だから、母親にイジってもらったり。あとほら、当時学生服を違法改造してくれる店あったじゃん?ガキのためのブティックみたいな。ああいうところでさー。

──あー、裏ボタン売ってるような店ね。違法改造って(笑)ブティックって(笑)

あとは、マルカワとか。

──それ、町田の人しかわかんねぇよ(爆)

マルカワは安かったんだよ、ジーンズメイトより安かった。学生服も違法改造してくれた。中学生の味方だよ。
裏ボタンもさ、近所のブティックには龍や虎しかなかったけど、マルカワに行けば「B」「O」「Ø」「W」「Y」があるぞ!って。

──ヤンキー文化だな、丁度五文字だし。あれ今考えると著作権も商標もないよね。

何言ってんだよ、竹下通りはもとより、修学旅行行けばパチもんのグッズだらけだった時代だよ。なんかエセジッポみたいなオイルライターや折畳み手鏡にさ、「TOMOYASU HOTEI」とか彫ってもらうんだよ。

──あー、そんなのあったわ。自分の名前ならともかく、、、しかし京都や日光にまで行って何故BOØWYなのか。

みんなヒムロックや櫻井あっちゃんなのに「恒松で」「おーシブイねぇ!」なんて彫師の兄ちゃんに言われて。しかもなぜか、BOØWY、BUCK-TICK、X、あたりしかダメなんだよ。ブルーハーツ頼んだら、断られた友人がいました。手彫りなんだから何でもいいじゃねぇかよ。

──またそうやって話が脱線するから!今はモッズの話

まー、そんで、中学生は制服脱いだ放課後こそ命じゃん?だからさ『さらば青春の光』ばりにチャリンコをベスパに見立てて、ユニオンジャックやターゲットマーク・ラウンデルのステッカー貼って、ネクタイ締めてモッズコート、当時はミリタリーパーカーって言ってたな、それ羽織って塾に行くわけですよ。

──イヤなガキだな。で、実際コレクターズ自体はどうだったの?

それが、肝心の音はイマイチピンと来なかったんだよね。何か声が優等生過ぎたのかなぁ。それは、最初WhoよりもJamのほうがビビっときたのにも似てるけど、やっぱちょっと悪そうなのに惹かれたのがあったから。何枚かアルバム買って頑張って聴いてたんだけどね。あんま馴染めなかったなぁ。それが巡りに巡って、ここ数年で大好きになって。

──それこそ極悪ポッドキャストの影響?

いや、きっかけはメロン記念日。何かハロプロにずぶずぶハマっていった時期にメロン記念日がロック化計画というのを掲げて、BEAT CRUSADERSやニューロティカとコラボ始めたの(2009年)。その流れでコレクターズが来て。それが凄い良かったんだよねぇ。グっときた。それで昔の音源掘り下げて、ポッドキャストも知って、、、改めてドハマりしました。




メロン記念日×THE COLLECTORS – 青春・オン・ザ・ロード

──良い曲だよなぁ。しかし、ビークル、ニューロティカ、ミドリと来て、ここでコレクターズぶつけてきたアップフロントも凄いよね。

そこね、のちのちBuono!が『初恋サイダー』でモッズスーツ風衣装だったり、CDの盤面がラウンデルだったり、フーあたりのブリティッシュバンドのジャケットオマージュしたりしてたから、これ制作に絶対モッズがいるぞと。

──ブルーハーツのトリビュートもその頃だっけ?あれ良かったよね。(2010年)

「リンダリンダ」なんてうちらの世代では絶対コピーバンドやカラオケで嫌われる曲No.1じゃん、ただキレてバカ騒ぎしたいだけというさ。でもそれをちゃんとコレクターズ節にしてるのは流石過ぎる。そして原曲リスペクトももの凄い感じる。そこは旧知の間柄っていうのが一番大きいんだろうけど。

──あ、最近の子達は知らないと思うけど、ヒロトもマーシーもモッズ出身です。

ヒロトがThe COATS(ザ・コーツ)って言うパンク寄りなバンドで、マーシーがTHE BREAKERS(ザ・ブレイカーズ)っていう、ビートルズのリバプール系のバンドで。勿論スーツ着て。80年代に東京モッズ・シーンというものがありまして。そこで80年代中期トップにいたバンド。当時からそれぞれのバンドで『NO NO NO』や『アンダルシアに憧れて』とかやってたんだよね。
その二人がスーツを脱ぎ捨てて、革ジャンを着てパンクをやろうと思って結成したのが、ブルーハーツ。で、当時THE BIKEをやってた加藤ひさしさんをベーシストとしてブルーハーツに誘うという。

──当時普段からスーツ着て、アメリカの音楽を絶対聴かない絵に描いたようななモッズだった加藤さんは二人の新しく始めようとするブルーハーツのパンクスタイルに共感出来なく、加入を断ると。

で、ブルーハーツもコレクターズもメジャーデビューが1987年というのがまたね、




The Collectors – リンダリンダ

──改めてなんだけど、そもそもモッズというのがいまいち解るようで解らない人もいると思うんだけど

音楽よりも文化だよ、60年代の若者のファッションの。細身のイタリアン・スーツでスクーターにまたがって。そういうやつらが黒人音楽やモダンジャズ(”Mods”のモッド、モッズの由来と言われている)を好んだ。対象的にロッカーズという文化もあって。こっちは革ジャン革パンみたいな。この二文化の闘争はスタンリー・キューブリックで有名な『時計仕掛けのオレンジ』でも描かれている。
のちにモッズ文化はレゲエに傾倒していったり、スキンヘッドになったり変化はしていくんだけど、モッズのロックという部分では当時パンクムーヴメント真っ只中だった77年のイギリスで登場したThe Jamの影響は大きい。
で、1979年に『Quadrophenia / さらば青春の光』が公開されるんだけど、これがある意味モッズのバイブル。60年代の若者の暴走と葛藤を描いてる。それこそロッカーズとの闘争もあるし。

モッズとギター

紆余曲折、時間も掛かったけど色んな意味でコレクターズに影響受けてますよ、私は。まぁ、ほとんど聴かなかった時期も機材誌で古市コータロー氏はよく見てたし。常に一目置く存在。ハイエンドなヴィンテージの先駆け、Vanzandtのギターも立ち上げの時から使ってたし、Z.Vexで有名になったPCI(Prosound Communication、輸入機材を中心とした代理店)もそうでしょ。
文句なしに立ち絵からしてカッコイイし。インタビューでも突如、宇宙人の話ぶっ込んできたり、そういうカルト的な要素も。あと、フェンダー・ジャガーに憧れたのもこの人。

──古市氏と言えばリッケンバッカーじゃないの?

世界で一番リッケンバッカーの鳴らし方を解ってる人だけど、リッケン手に入れる前に使ってたんだよ。オレンジ色のジャズマスターと水色のジャガー。そんでコステロも知って。だから私の中ではジャガーもジャズマスターもグランジよりモッズ、イギリスの楽器ってイメージ。レアカラーの塗りつぶし、白ピックガードだとサーフだけど、メタリックのレアカラーにべっ甲ピックガードだとモッズ。
あ、ジャガーと言えば、BAD MESSAIAHが途中からジャパメタ路線からファンク要素が強くなって。フロイドローズ付きのストラトからいきなりジャガーに持ち替えたんだよ。シャーウッドメタリックの。ファンションもマッシュルームカットにスーツのモッズスタイルになって。それが死ぬほどカッコよくて。

──バッドメサイア!いたなぁ。ゴメン、名前しか覚えてない。

クソカッコいいから今から聴き直したほうが良いって。定期的に聴いてる。




──あー、これやべぇかも。今メンバーどうしてるの?

ボーカルの馬渕太成氏はSAっていうバッドメサイアやる前にやってたバンドで、海外含めて活動してる。今、ギターがラフィン・ノーズのNAOKI。ギターの佐野昌樹氏はDie In Cris解散後のKYOさんソロの手伝いやって、Harvestというユニットもやってたんだけど。そこまでしか知らない。知ってる人いたら教えてください。

──東京モッズ・シーンからはスカパラも出て来たし、こういうブラスを取り入れたファンクやスカもあったよね。そうだ、レピッシュも1987年デビューですよ。




MAGUMIさんの一見クールなんだけど、スイッチ入ってブチ切れる感じね。ニヒル、って今は言わないよね。そんな感じがね。やっぱ今見てもカッコイイ。
あと、狂市氏の研ぎ澄まされたテレキャスターの音がねぇ、、、ジャズコのディストーションスイッチ使うんだよ。皆ジャズコはクリーンばかりで、ディストーションスイッチの活用が解らない人が多かったんだけど。歪むというより割れるんだよね、使いづらい。だけど、狂市氏はディストーションをONにする。あ、おれらの世代はジャズコだよJC(ジェーシー)なんて言いません。このナスカテレキャスといい、ああ、もうクソかっけぇなぁ!

──これ、フェルナンデスから出てたよね?やたらギターにペイントするのが流行ってた時代だ。

そうそう、HIDEのモンキーポッドのペイントMGあったじゃん?あれ、狂市ナスカテレが元ネタなんじゃないかと今でも思ってるんだけど。
とりあえず、カッティング派の人たちは『胡蝶の夢』弾けたらヒーローになれたんだよ。




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