音楽業界の負のスパイラルを考える


これ、面白かった。

悲観的ではなく、冷静に現在の音楽業界を捉えてますね。

DLは儲からない?

某アーティストの「DLだと利益がなくて、CD買って」という発言ね。色々波紋を呼んでるけど、この発言の前にファンから「試聴して気に入ったのですが、iTunesでポチるのとCD購入するのはどっちがいい?」という質問が来てる。それに対しての「アーティスト的にはCD買ってくれた方が」と回答した上での発言。そりゃ、どっちがいいかと訊かれたら誰だってCDのほうが、って応えるよ。

まぁ、ひと言多かった感は否めないけど、Twitterにおける前後の発言をちゃんと確認しないで独り歩きしてしまったよくある話とも言えるわけです。

単純に利益率で言えば、CDのほうが儲かるのか?っていう話なんだけど、そもそも「発売元/販売元」だの、解りづらい流通経路が色々入って、値段が高い。利益換算や分配率に関してはケースバイケースなので、単純に比べてしまうのはなんとも言えないところなんだけど。
制作者にとっての配信のデメリットといえば、アルバム単位で作ったものを1曲単位で購入されてしまうこと。CD1枚12曲、3,000円の売上見込みとその予算組んで制作したものが、1曲250円になっちゃうわけ。だから利益率云々以前に目先の売上金額が減っているという体感がある。昔は1曲だけ聴きたいがためにアルバムを買うなんてことも当たり前だったから。ユーザーにとってはメリットは大きいんだけど、売るほうはデメリットでもあり、不本意なところもあるよって話。

こういう話になると、必ず悪者にされてしまう配信事業。それを言うなら5枚1,000円で借りることのできるレンタルはどうなんだって。80年代〜90年代のディスクチェンジャーやらMDやらのオーディオ機器の発展に大きく貢献したレンタル事業に文句を言わない(言えない)っていうね。別にレンタルが悪いということじゃなくて、配信ばかり悪い印象与えるなよって話。
iTunesで1曲買ってみて良かったら、アルバム(CD)を買おうというきっかけになっても、始めからレンタルで済まそうとしてる場合は購入には至らないでしょ。

レンタル事業や日本の電機メーカーレコード会社の成り立ちに関しては過去に触れてますので。

制作費うんちゃらとかは、やっぱりアーティストは作品つくるだけが仕事じゃないんだから、それで補えないことは他でね。その辺りを上手く回すのはマネジメントであったり、そもそも制作費を捻出するのはディレクターやらの腕次第だったりもするので。それに「予算が足りなくてやりたいことが出来ない」なんて、アーティストに予算なんて与えたらキリないよ。そこを上手く回してガンガン飛ばしてる、制作事務所もあったりするので。

アーティストはファンを育てなければならない

露骨に「DLではなく、CD買え」じゃなくて、アーティストはその理由・意図を伝えなければならないんだよね。ファンの耳を育てて誘導していく。その辺は「洋楽離れ」も同じだけど、アーティストがどんな音楽を聴いてきたか、今どんな音楽を聴いているであるとか。昔はそういうこと教えてくれる人がたくさん居た。音楽雑誌が減ってる反面、ブログやTwitterで発言する場所は増えてるわけで。他愛のないことや政治批判してるんだったら、もっと音楽の発言したほうがいいよね、インタビューじゃ語りきれない話もたくさんあるでしょう。アルバムの曲順や曲間も拘ってるんだし、単体曲でなく、一つのアルバムを通し聴く意味と価値であるとか。そもそもそういう本質に触れてるインタビューや発言がなくなって来てると思う。それも時代性が違うんだからしょうがないというならば、その時代を変えろよ。それを作っていくのがアーティストの仕事。

「アナログ盤のほうが音がいい」みたいなものではなく、あの大きなジャケットのアートワークの価値観や、わざわざ針を落として聴く手間暇をかけて聴く楽しみ、というところも音楽の楽しいところであると思うんですよ。海外でアナログの売上が急激に増えてるというのもそういう嗜好品としての楽しみ方がウケてる。そして、必ず盤だけでなく、MP3ダウンロードも付属していている。普段は通勤通学中にiPodなりで聴いて、休日など時間のあるときはアナログ盤を部屋でじっくり聴く、という利便性との使いわけ。それによって、それぞれの良さを体感できるわけです。

変なバンドブーム

音楽業界の負の連鎖というならば、供給過多なんじゃないの。アーティスト、メジャーデビューしすぎだろう。そんなにCD売れないんだから、もっと数絞ってちゃんと売っていけよっていうのも本音。今のレコード会社にそういう余裕がないのは解ってるけど、だからこそ。

2000年くらいにインディーズレーベルがシーンに台頭してきた節もありましたが、結局それは「メジャーレコード会社がインディーズレーベルを作る」というよく解らない状況を生み出し、ユーザーは勿論、CDショップですら「メジャーとインディーズの違いが解らない」と今まで別だった売場を統合してしまうことになった。ネットの波及で誰もがインディーズとして、個人として自己表現の場所を自由に得ることが出来るようになったけど、単純にネットに上げるだけじゃ、そうそう話題にもならない。その辺りのノウハウを自分で得られれば良いんだけど、そうでないバンドやアーティストはやっぱり、レコード会社やレーベルに頼るしかなく。
レコード会社も売上が減ってきていることを焦って、すぐに結果を出せるようなものを求め、次から次へと、悪く言えば青田買いな部分も多いかと。そこはノルマと言う名で縛るライブハウス事情とも重なって、ちゃんとそのシーンに根付かないうちにデビューなんて。ライブ動員を着実に伸ばし、複数のレコード会社による争奪戦の上、華々しくデビュー!なんてものここ最近全くきいたことない。

ライブ興行が盛り上がってる風潮があるとは言え、それは極地的なところだけだし。メジャーでさえ、まともな全国ツアーが出来るアーティストは全体の何割居るんだ。ホントに盛り上がってるならイベンターは潰れないし、会場もネーミングライツする必要ないし、フェスだって盛り上がってるのはごくごく一部。
CD売上の穴埋めを大規模な興行で高いチケットを、なんてのも見かけたんだけど。チケットの値上げに関して言えば、昔ほど協賛・援助金が出なくなったから、というほうが正しい。そこはメジャーデビューに関しても同じだけど、昔はアーティストに対する育成費やらなんやらの名目で何かと援助があったんだけどね。

ガラパゴス化よりグローバル化

そんな暗い話ばかりしててもしょうがないんだけど、今の日本の音楽業界がおかしいと思っている人も増えているのも事実だし、「今のオリコン順位に意味がない」ってことだってここ1,2年でかなり実感してる人も多いかと。現時点で具体的にそれで何が変わるのかは解らないけど、徐々にみんな気付いてる。オリコンよりザ・ベストテンの順位が影響力を持っていた時代もあったんだ。そういう指標が変わるときは必ず来る。
「CD含めてアーティスト作品」と頑なに配信を拒んでいたリスナーも数年前ほど多くはなくなったはず。

日本の音楽業界の古い体質の根深いので、変わっていくのはまだまだ時間が掛かりそうだけど、やっぱり外部から風穴を開けるという部分でSpotifyには期待してます。目先の利益じゃないんだよ。テレビやラジオみたいなものだから。常に音楽が聴ける環境があるというところに意味がある。海外でアーティスト分配が、みたいな話もあるけど、それは改善していけばいい話。まだ始まったばかり。そもそもSpotifyの普及で音楽業界全体の売上が盛り返した国は多かれど、それが理由で売上が減った事例はない。勿論CD売上の話じゃなくて。

J-Rock/Popの海外人気が高まる中で、今までの特異な日本の音楽市場というわけだけにも行かないんだよね。ブームに便乗してバンドやアイドル含め、色んな人たちが海外進出してるけど、本当にそこに需要あるのか?って。実際は海外で人気のある日本のアーティストは限られてる。もの珍しさで最初は人も集まるかもだけど、持続性は難しいでしょう。未だにYouTubeでMVフル尺アップを拒んだりしてるのも見かけるけどさ。ガラパゴス化よりグローバル化だろ。

最近の若い人がCDプレイヤーを持たずにYouTubeで音楽を聴いてる現状に驚愕する世代も多いけど、それはあくまでまだ音楽への入り口にしかすぎない。そういう層をYouTubeだけでは満足出来ない、そう思わせていくのが、やはり音楽業界とアーティストの役目なんじゃないかなと。


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