アイドルとバンドの狭間でPassCodeが叫ぶ

アイドルの“大人にやらされてる感”はマイナスに見られることもあるけど、うまくやれば武器になるし、魅力にだってなる。逆に、活動していく上で、そうした“大人の力”をアイドル本人たちが超える瞬間もあって。いうなれば核融合のような爆発的破壊力が生まれることがあるのです。

さて、先日、インディーズのオルタナロックアイドルの話をしましたが、今日はメジャーの話。

「アイドルもここまで来たか」と思った

昨年秋くらいに知り合いから「先日メジャーデビューしたアイドルがすごいから聴いてみてくれ」とCDを貸してもらった。“ロック系のアイドル”と言っていたので、そっち方面は正直お腹いっぱいであまり食指は動かなかったし、しかも今時の“エモ系ラウドロック”ときたものだ。もうそういう音楽で「うぇーい」できる歳じゃねぇし、なんて思っていた。

そんなこんなで大して期待もしてなかったんだけど。CDをふと手にしてみれば、フルライブが収録されているDVDがついてる。とりあえずこっちを、と再生してみたら、胸ぐらをつかまれてぶん殴られた。

PassCode / VIRTUAL Tour 2016 in Zepp DiverCity Tokyo -Digest-

EDM交じりのド派手なピコピコデジタル音にヘヴィなリフ…… 怒涛のように襲いかかる分厚いバンドサウンドに全然負けていない4人の女子。歌い手+バックバンドじゃなくて、ちゃんとヴォーカルがバンドを従えてる一体感がある。オートチューンが思いっきり掛かったケロケロボイスと猛り狂うグロウル。なんだこれ。そのステージパフォーマンスも、フロアのオーディエンスへの煽りも、カッコイイじゃん。序盤から思いっきり心奪われ、ライブが終盤に差し掛かる頃には目頭が熱くなっていた。アイドルもここまで来たかぁ、そもそもこれアイドルなのか?!

そんなわけで、すっかりPassCodeなるアイドルグループに魅せられてしまった。

MISS UNLIMITED(初回限定盤)(DVD付)
PassCode
ユニバーサル ミュージック
Release: 2016/10/26

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アイドルなのかバンドなのか、そんなことどうでもよくなる存在

STATIC Xあたりの90sミクスチャーをにおわせるはじまりと思っていたら……

どこがサビだかわからない、というよりも、そもそもそんな楽曲構成の既成概念にとらわれていない。展開が全く読めず複雑ながらも、なぜだか聴きやすさのある楽曲は平地孝次という人物によるもの。もともとは自身でバンド活動をしていたが途中で諦め、アイドルプロデュースに転向したという。数年前よりバンドマンや楽器奏者、DTMミュージシャンたちの新しい音楽表現のかたちとしてボーカロイドを使い、“ボカロP”というスタイルも生まれたわけだが、ここにきて“アイドルをプロデュースする”という選択肢も定着しつつある。

逆に言えば、ヤナミューやオサカナしかり、こうしたバンドマンが手がけるロックアイドルグループの台頭はロックバンドにとっても脅威となるわけで。だって、同じことやるんだったら、アイドルがやったほうがなんかカッコイイし、珍しいし、そもそも可愛いし、人気も出るでしょう。なんだんだ“カワイイは正義”なのだ。女の子ってズルい。

とはいえ、PassCodeは「バンドの楽曲をアイドルに歌わせました」感はなく、女性らしいしなやかさを活かすメロディであったり、通常のバンドでは成しえない複数ヴォーカルならではの成り立たせ方であったり、ちゃんとグループと楽曲が繋がったオリジナリティが確立されている。何より今田夢菜のグロウル南菜生の煽りを筆頭にこの4人にしか成り立たない音楽をちゃんとやっている。

PassCode – ONE STEP BEYOND (short version)

現在の音楽シーンの中で、この手の“ポスト・ハードコア”と呼ばれる音楽の雄、Fear, and Loathing in Las Vegasが主催する<MEGA VEGAS>に出演、そして<SUMMER SONIC 2017>への出演も決定しているPassCodeは、よもや、アイドルなのかバンドなのか、そんなことどうでもよくなる存在だ。8月2日には待望のニューアルバム『ZENITH』がリリース。ますますシーンを引っ掻き回してくれるであろうPassCodeから目が離せない。

PassCode
WEBSITE TWITTER
ZENITH(初回限定盤)(DVD付)
PassCode
ユニバーサル ミュージック
Release: 2017/08/02

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