サイサイのわくわくドキドキでカッコいい『GIRLS POWER』

昨年11月の武道館2Daysよりライブやイベントで、なんだかんだ月1で観ているSILENT SIREN。うん、サイサイ楽しすぎて笑いが止まらん。

先日は『サイファミ VS サイサイ ALL TIME REQUEST LIVE』に行って来ました。タイトル通り、事前リクエストで構成されるセットリスト。あまりライブで披露されてない楽曲が演奏される特別感。とはいえ、2015年のライブ『覚悟と挑戦』で全曲ではないにせよ、リクエスト形式は取られていたので、人気のある“隠れざる名曲”はある程度予想ついた。そんな中で1位に輝いたのは、私も投票したまさかの「Limited」。なんだよ、みんなわかってるじゃないか。

サイサイのパブリックイメージ「ガーリーなポップ」の大方はメジャーデビュー以降のものでして、インディーズ時代はマイナーメロディの内包的でヤサグれた詞の楽曲が多い。そんな、いわば“厨二病ソング”の面影を残したロックチューンが、この「Limited」。端的にいえばヴィジュアル系、Silver-Roseみたいな名古屋系ナンバー。黒夢よろしくのミュージックビデオも最高で、堕天使すぅさん以外の3人のメンバーの顔がほとんど映らない硬派仕立て。梅村のひなんちゅに関しては髪の毛振り乱してドラミングしてるから、一度もまともに御尊顔を拝謁できません。「ガールズバンドなのに顔売りしないんだ」と、演奏するシルエット重視とも言えるこのビデオに完全にヤラれたことが、私がサイサイの沼にズブズブハマっていった要因のひとつでもあります。

ちなみにリクエスト投票は1人3曲だったんだけど、私が他に投票したのは「escape」「サイレン」。どちらもインディーズ時代の厨二っぽさ溢れる病んでるソング。さすがに2曲とも圏外でした。

〈この檻抜け出して走り出すから〜〉なんていう厨二様式美の「escape」

今更ですが『GIRLS POWER』めっちゃいいアルバム

ギター好きにとっては“バーガンディー・ミスト・メタリック”(色的な意味で)、バンギャ的にいえば“くじら”(キャデラック的な意味で)なジャケット、最高

そういえば、昨年12月にリリースされたアルバム『GIRLS POWER』について触れていませんでした。端的にいうと、なんかすげーアルバムだな(語彙不足)。「一本筋が通ってる」とか「アルバムの世界観が」だとかではなく、1曲1曲の楽曲強度がものすごく強くて。知らない人が聴いたらどれがシングル曲かわからないというのは、これまでのアルバムでも感じてたことだけど、今回はその何倍もの強さを感じました。恍惚たる無敵感がビンビン。その分、アルバム通しての統一感はあまりなくて、ベスト的というかプレイリスト色が濃く。その辺りは今っぽいアルバムの価値観でもあるのかな。

楽曲の個性は強いけど、曲順と曲間がよく練られていて絶妙なんです

ここ数年ライブを観ていると、個々の演奏力云々よりも、バンドとしての懐がバカでかくなったなぁ、ということをもの凄く感じておりました。そんな彼女たちの現在がこれでもかというほど現れている楽曲群。もちろん、「フジヤマ ディスコ」のディスコビートや「パパヤパヤパ」のサンバリズムで見られるキラキラした躍動感、「ジャストミート」のリフアレンジなど、技術的側面での躍進も目覚ましいんだけど、サイサイ流AORというべき「さよなら日比谷」だったり、これまでであれば発想すらなかったのでは? と思わせるアレンジや手法がふんだんに盛り込まれているように思います。

映像に気を取られがちだけど、緻密なナイスサウンド「さよなら日比谷」

「Kaleidoscope」「KNiFE」は、それこそ若かりし頃の厨二感、言うなればロックへ憧れの初期衝動をきちんと現在のスタイルとして昇華したものであると思うし。「さくら咲く青い春」はありそうでなかったストレートなポップス。メロディに対する素直な言葉の置き方が新鮮。アルバム未収録曲「あわあわ」もそうだけど、あいにゃんの書く詞は童謡的で素朴なセンスが秀逸だと思うのです。サイサイ流のキラーポップチューンは数多くあれど、すぅの作家性は変化球、独特の言いまわし、言葉遊びによるところが多く。イントネーション、ブレス位置によって普遍的なメロディをぶち壊す、みたいなね。「八月の夜」「ぐるぐるワンダーランド」しかり。だから、こういう直球なポップソングで勝負できるようになったことは大きい。ベタだろうが、なんだろうが、もうどんな曲でもSILENT SIRENになる、という証だから。

スタイリッシュな無機質感「KNiFE」

あ、そうそう、初回盤のみ、ボーナストラックが入ってます。ラスト曲が終わってナゾの空白があって、なにか始まる……という、ひとむかしのバンドがみんなやってたシークレットトラック様式そのまんまで、ニヤリ。おっさん歓喜。ひなんちゅの前のめりなビート、ぐいぐいスラップ交えながらうねるあいにゃん、そこにタイム感を少しズラしたようなすぅのダーティーなギター、サウンドに分厚さを与えていくゆかるんのオルガン、ライヴでいつも体感している手グセ交じりの、“あのグルーヴ”がここに凝縮されております。おふざけ半分ながらも、この1分弱にサイサイのロックバンドの本懐があるような。

アルバム通して、とにかく音像が派手。前作『S』では、おそらく録音時期がいちばん新しいと思われる1曲目「チェリボム」のサウンドがやけに目だっていて。ゆえに次曲に繋がる際、聴感上の音圧が下がることが凄く気になったんだけど、今作は全曲「チェリボム」サウンドの仕上がり。この音圧問題はベストアルバム『Silent Siren Selection』でも感じられることでもあって、謎。録音環境なのか、はたまた当人たちの技術によるものなのか。とはいえ、コンプで潰したようなバキバキ感や重低音重視のマスタリングではないので安心。移籍後、ヴォーカルが若干引っ込んだミックスになったように感じたんだけど、アルバムのマスタリングで修正されてるような。まぁ、気になるほどではない。洋楽的な音の良さではないけど、各楽器のバランスと、細部まで行き届いた丁寧なミックスダウンはさすがのひとこと。

J-POPの多様性、メジャーらしいキャッチーさ、ガールズバンドとしてのキラキラ感、ロックバンドとしてのカッコよさと懐の広さ……、それらをこれでもかと堪能できる。散々語っておいてアレですけど、音楽性がこうとか、やれ演奏がどうとか、そんな細かいことはどうでもよくなる、聴いていて、わくわくドキドキする、ハッピーになれる最高のアルバムだと思います。

GIRLS POWER
SILENT SIREN
EMI Records
Release: 2017/12/27

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