西東京マイルドヤンキーバンドに17歳清純派アイドルが入ってしまった、新生・赤い公園

「赤い公園」の対義語は「白い病室」だと思うんです。ええ、深い意味はありません。

「そうきたか!」と思わざるを得ない、赤い公園の新ボーカルに、元アイドルネッサンス・石野理子加入。その話題性とともに“賛”の嵐に包まれたアイドルヲタク界隈に比べると、やや冷やかな反応の赤い公園ファンサイド。当日の現場的には最初は正直誰だかわからず、「アイドルネッサンスの〜」と自己紹介があっても、やっぱり「誰?」というのが大方の反応。厳しいけど現実的なところはそんな感じでしょう。

赤い公園は大好きだけど、アイドルネッサンスは何回観ても「好きな人は好きなんだろうなぁ」としか思わず、グループの魅力は理解しつつも個人的な興味は湧かなかったおじさんとして、反感覚悟で新生・赤い公園について思ったことをつらつら書きます。

かつての赤い公園ではなくなった

率直な感想として、実際どうなのかと言われれば、アリっちゃアリだけど、かつての赤い公園ではなくなってしまったんだな、という現実を目の当たりにしました。それは当たり前のことなんだけど。石野理子のやや雲がかった歌声とその存在感は、明瞭で利発的な佐藤千明のスタイルとはまったくの正反対。合う曲もあるけど、「絶対的な関係」のような、佐藤の“マイルドヤンキー”が炸裂してたオラオラ曲はちょっと……と思うところも。

今後の展開など、現段階では何とも言えないところばかりですが、石野のヴォーカルスタイルありきに寄せすぎてしまうと、ありがちな女性ヴォーカルのオルタナティヴ・ロックバンドになってしまう恐れもあるわけで。赤い公園が、tricotとか、きのこ帝国とか、あの辺のバンドと被らなかったのは、やっぱり佐藤千明のフロントマンとしての圧倒的な男前感があったからこそ、だったと思うので。

バンドのイニシアチブを握る津野米咲という人の作家性は、非常に尖ってるなと思っていまして。狙って変なことをやろうとするタイプではなく、自然体でやっていることが他人から見ると変わっている、というタイプの天才肌だと思っています。

ポップだけどキャッチーじゃない

私は「大衆に媚びずに独自を得る」といったような精神が好きで。そうしたロックアーティスト&バンドの誉め言葉として「キャッチーだけどポップじゃない」という言葉をよく使っています。これは、かつてhideがTHE MAD CAPSULE MARKET’Sの魅力を「マニアックな音楽なのに、必ずどこかがキャッチー」と評していたことに起因しておりまして。大衆に沿うことと誰もが口ずさみたくなるもの、は似ているようでまったく別のベクトルであるということ。わかりやすく具体例をあげれば、メインストリームとはかけ離れたラウドロックであるのに子どもが歌っていても違和感がない、hide「ピンク スパイダー」でしょうか。

対して、赤い公園は逆で「ポップだけどキャッチーじゃない」という変わったバンドだと思います。一聴して耳馴染みの良さがあるものの、歌ってみると息継ぎやら音使いやら、ひたすら難しい。インディーズ〜初期の、目に見えて一筋縄でいかない感じも、狙ってやっている部分は少なからずあるんだろうけど、おそらく自然体なのかとも。これも偏に津野米咲の作家性によるところが大きいのではないかと。

アルバム『猛烈リトミック』(2014年)以降の外部プロデューサーの導入は、メジャーによるありがちなバンドの軌道修正というより、津野米咲の才能とバンドの振れ幅を広げるため、という目的があったと思っております。そして、なにより本人たちがそれを望んでいたようにも思えます。この手のバンドには珍しく、ナチュラルに「売れたい」という貪欲性が滲み出ているバンドなんですよね。

赤い公園はデビュー当初から関係各所から絶賛の嵐でしたし、津野の外部提供の活躍を含め、話題性と独特の存在感はロックファンの誰もが知るところでした。ですが、それに見合ったセールスとライブ動員があったのか、といえば、そうとは言い切れない厳しい部分もありました。

そうした中での昨年2017年の活動は、3枚のシングル、アルバム、その楽曲とビジュアルワーク……明らかにバンドの方向性に迷い、焦りみたいなものを感じておりました。だから佐藤千明の脱退も、ファンの中には予感してた人も少なくはなかっただろうし、「なんで?」という声をあまり聞かなかったのもそういうことなんだと思います。

新生・赤い公園の可能性

今回の件、考えれば考えるほど、いろんな意味で複雑な心境にもなりましたが、赤い公園がSMA(ソニーミュージックアーティスト)に移籍 した、と知り、「そういうことか」とすべてが腑に落ちました。EMI出身バンドですし、元鞘に収まった感。

新生・赤い公園──。その可能性は未知数ですが、いちばんの懸念事項は約10歳近くの年齢差。元々、軽音部の先輩後輩によるバンドです。伝説の『オールナイトニッポンゼロ』で見せていたような18禁悪ノリの、西東京マイルドヤンキーバンドに17歳清純派少女が入ってしまって大丈夫なのか……そこが、おじさんいちばん心配です。機材車で廻る全国ツアーとかね。まぁ、そこも含めてなんだかんだ今後の活動は楽しみにしてます。

赤飯(初回生産限定スペシャルプライス盤・~熱唱祭り盤~)
赤い公園
Universal Music
Release: 2018/02/14

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