Annie Clark(アニー・クラーク)こと、St. Vincent(セイント・ヴィンセント)初来日公演duo MUSIC EXCHANGEに行ってきました。もう何というか、久々にもの凄いもの観たぞ!って感じ。
アニーさん、美人なのは百も承知でございましたが、実際マジ美人すぎて吐きそうだった。
小柄な女性を勝手に想像していたのだけれど、意外と身長高めのスレンダー美女でした、推定165cm。だけど、小顔過ぎて、、、ギターのヘッドより顔のほうが小さいんじゃないの?ってさ、マジ美人すぎて吐きそうでした。
最近の4AD SessionやらMTV観てると、やたらとゴシックな世界観を作り込んでるから今回はどんなだ?と思っておりましたが、特に凝った演出はナシの常設照明オンリーのシンプルなステージ。でもこれがシンガーソングライター、そしてギタリストとしてのAnnie Clarkの凄さをまじまじと魅せつけられて非常によかった。前のほうで観ることが出来たので、アニーの美貌と凄まじいギタープレイ、そして機材周りをよく見ることができました。
バンドメンバー
バンドメンバーは元Blonde Redhead(ブロンド・レッドヘッド)で、現Enon(イーノン)のToko Yasuda(トーコ・ヤスダ)を中心にDaniel Mintseris(ダニエル・ミントセリス)のツインキーボード。トーコさんがmoogでオルガン的な、ダニエルがウワモノシンセキーボード、という役割分担でしょうか。たまにシーケンス・フレーズは流すものの、殆ど手弾き。
ドラマーは、Matt Johnson(マット・ジョンソン)。この方、良く知らなかったんだけど、ジェフ・バックリーで叩いたりしてる人なのね。堅実なプレイでカッコよかったです。
ドラムが完全に鳴り物ナシだった。ハイハットが2セット、ライドが1枚だけ。そのライドも数曲しか鳴らさなかったり、効果音として擦ってるほうが多かった気がする。24″くらいのバスドラと18″くらいのフロアタムを2バス仕様にして、フロアタムの下にスネアがもう一台。サンプラーのトリガーパットが2つほど。
かなり変則的なバンド編成だし、音楽を聴いていると妖艶で幻想的なイメージもありますが、ライヴはやっぱり生々しくて。シンセものとは言え手弾きの生ドラムだから、かなりバンドサウンドなんだけど。
The Pop Group『She Is Beyond Good And Evil』のカヴァーもやったりしたんだけど、ああいうパンクの凶暴性、狂気みたいなものが同居している、そんなステージ。
「好きなギタリストはダイムバック・ダレル」
MTVのインタビューでアニーはそう答えていたけれど、彼女のギタープレイはテクニック云々ではないところがやはり大きい。あまりにも別次元のところに逝ってしまっているプレイ。ウッドストックのジミヘン風にアメリカ国歌を弾きまくってたことありましたが、個人的にはやっぱり「ジミヘン+ザッパ」というイメージがあるな。歌はビョーク。
R&B系シンガーだと“咽からCD音源”なんていう呼ばれ方もあるけど、この人もそんな感じ。ただ、高らかに歌い上げるスタイルではないし、特別個性的なヴォーカルスタイルではないから目立たない部分もあるけど、実は相当上手い。絶対音感あるんじゃないかと思うくらい。少なくとも相対音感は超えてると思う。
実際観たらプリンスっぽいなとも感じたり。魅せ方とかギタープレイも。
ビョーク+プリンス+ジミヘン+ザッパだ、とんでもねぇ。
歌いながらよくこんなギター弾けるな、と思うギター・ヴォーカルはたまにいるけど、この人はそういうレベルじゃない。
基本指弾きだし、親指を軸とした3フィンガーのカントリースタイルだけじゃなくて、弦に並行に当てて弾くクラシックスタイルで弾くことが多いし。
なんでもバカテクジャズデュオ、Tuck & Patti(タック&パティ)の姪っ子さんだそうで、、、
それにしても変態フレーズしかり、歌のテンションが上がっているのに、ギターは淡々と無機質フレーズを繰り返していたり、、、
もし、これ読んで頂いている人でギターを弾く人がいたら、ちょっと挑戦してみてください。
・『かえるのうた』を歌いながら、輪唱部分をギターで弾きながら歌いきる。
どうですか?できないでしょ?
これ、かなり腕の立つプロのギタリストでも出来る人、中々いないんですよ。
こういうことを平然とやっちゃうのが、アニー・クラークという人。
終演後、アニーのエフェクトボード周りに群がっておりましたが、やはりみんな気になるようで。今まで機材特集等に登場したことないので、謎が多いです。もしかしたら海外で研究してるサイトあるのかも知れないけど。
>> 亜流ギタリストとUSB級ビザールギター
ちょっとアニー・クラークの機材周り、今まで色々個人的に分析したことを備忘録と記録用も兼ねて記しておきますね。
Guitar
アニーはプレイのみならず、ギター選びも個性的。どれも比較的手に入りやすい値段のモデルばかり。元はと言えば私がSt. Vincentに興味を抱いたのもHarmony Bobkatを抱える彼女の写真を見てからだったな。こういうステューデントモデル大好きなんですよ。ゴテゴテしたビザールギターもいいけど、極力シンプルで魅惑のアーシーサウンド。ビザールギターとちょっと違う、よりマニア向けのギタージャンル。Fenderだったら、MustangよりもDuoSonicやMusic Master、GibsonだったらLes Paul Jr.よりもMelody Makerっていうね。
Harmony Bobkat
アニーのメイン機として有名なのは、Harmony Bobkat(ボブキャット)
Harmony(ハーモニー)は1892年に設立されたアメリカのギターメーカー。
60年代にはAirline(エアライン)、Silvertone(シルバートーン)、KAY(ケイ)やHOLIDAY(ホリデイ)、、、などという別ブランドのOEM製造、通販もやっておりました。
フェンダーにCoronado(コロナド)という一風変わったセミアコがありますが、このモデルのボディはハーモニー製。
パワーはないし、サスティーンもない、ネックは“Baseball Bat Neck”と呼ばれる極太ネック(ナット幅、約45mm、厚みテーパー無しの1インチ、トラスロッドなし)、弦高は高いし、木製の溝切りしただけのブリッジ、このギターの辞書にはオクターブチューニングなんていう言葉はありません。多くを求めてはいけないギターです。
グレードによって型番が異なりますが、アニーが使用しているモデルはネックにバインディングがついてるので、H-17V。ちなみにバインディング無しだとH-15V。Vはオプション使用でヴィブラート、アーム付きの意味。
近年は弾きやすく設計しなおしてあるリイシューモデルも発売されておりますが、アニーはオリジナルモデルですね。60年代後半のもの。ちなみに製造年はピックガード裏いスタンプされているが、刻印ではないため、消えてしまっている場合が多い。
通常のギターと比べてと小さく、大体3/4くらいの大きさです。スケールは24″1/4。(ムスタングやジャガーの24″よりほんの少し長いスケール)
<追記>
Harmony製Bobkatリイシューは廃盤になりましたが、Eastwood Guitarsで細身ネック等、使いやすくアレンジされたものが発売されています。(H17ではなく、Airlineブランドで発売されていた1ピックアップ使用のHarmony H14タイプのリアレンジモデル)
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アニーがステージで使用するBobkatは2本。(昨日も2本)見た目、色と共に同じなので判別は難しいですが、ピックアップが異なります。
DeArmond(デュアルモンド)製のピックアップ”Golden Tone”(愛称は“ゴールド・フォイル”)と呼ばれるグリルカバーに覆われたのものと、”Mustache”Pickup(ムスターチェ)と呼ばれる通常のピックアップのようにポールピースありで、fホール状の模様が入ったピックアップカバーに覆われているもの(その仕様からこちらは66年製であると思われます)
前者のものをメインとして使っていることが多いです。
以前は同メーカーのSilvertoneブランドのSilhouette(3PU仕様だから型番はH1488)をメインとして使用していたこともありました。
Hagstrom Swede
スウェーデンのギターメーカー、Hagstrom(ハグストロム)は元々アコーディオンメーカーで、その製法を活かし、非常に50年代後期〜60年代にセルロイドを使った個性的なギターを作っており、ビザールギターマニアにはお馴染みのメーカー。
カート・コバーンが所有していたり、Tommy heavenly6のジャケットに登場してるので、見たことある人多いんじゃないでしょうか?これはGoyaというモデル
アニーが使用しているのは、Swede(スウェーデ、スウィード:スウェーデン語で“スウェーデンの”という意)という80年頃に製造されたモデルで見た目通りのレスポールを模したモデル。
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先日はライブ冒頭でシールドを差し忘れて音が出なくてちょっと動揺するアニー、カワイかった。
これは弾いたことないのでなんとも言えないけど、ハグストロムにしてはオーソドックスな音が出るんじゃないでしょうか?とは言え、ハグストロムのハムバッカーのついたセミアコもギブソンのそれとは全く異なるサウンドなので、なんとも言えないけど。
ちなみにハグストロムは1983年にギター製造を中止。そして2003年に復活。今は割と普通のギターを作っています。
Hagstrom Guitars
>> hagstromguitars.eu
Fender Deluxe Nashville Tele®
俗に言うメキシコフェンダー。
上記ギターと比べるとテレキャスターなんてオーソドックスな気もするけど、センターピックアップ付きのちょっと亜流のモデルのチョイスが実に彼女らしい。
オープンチューニングにしてるのかなぁ?という印象。
近年はこの4本をライブで主に使っている。
その他(以前に使っていたモデル)
Fender Jaguar
レースセンサーか、EMGのようなポールピースのないピックアップがついてるサンバーストのジャガー。塗装の質感とパーツ類から察するに恐らくはFender Japanのもの。
トップにはフレイムが浮き出ているけど、恐らく印刷。
オリジナルモデルかと思っていたのだが、Silje Nesが同じモデルを弾いているのを見かけたことがあるので、もしかしたら輸出向けに作られたモデルなのかも?
Gibson SG
チェリーのSG Standard(リイシューではなく現行モデル)、、アッシュボディのSG Special、白のSG Special(Epiphoneの可能性もあり?)
Epiphone Sheraton II
現行モデルのブラックを仕様
Danelectro (Silvertone)
良い感じに塗装のくたびれたDanelectlo風のギターを抱えてる写真がありますが、おそらくSilvertone(型番不明)
Acoustic Guitar
http://www.youtube.com/watch?v=VwyrZAxsc0k
現行モデルのEpiphone MASTERBILT DRを主に使っている模様
GibsonのスクウェアショルダーのJ-50(45?)、Takamine、詳細不明のシングルカッタウェイの黒いエレアコ、その他、KAYのアーチトップギターなど。
Amp
最近はFender Deluxe Reverbが多いみたい。昨日は日本でレンタルしたもの(某機材リース会社のロゴがありました、現行リイシュー品)
色々ライブ映像を見ると、Voxだったり、Ampegだったり、JCだったりするので、クリーントーン重視であればさほど拘りはない様子。箱に備え付けのものを使っていると思われる。昨日は中央にギタースタンドを挟み、上手側にデラリバ、下手側に15〜30w程度の古めかしいコンボアンプを置いていた。コンボアンプ、どこかで見たことあるアンプだったのだが、思い出せない。。。おそらくHarmonyかそのあたりの古いトランジスタアンプだと思われる。
追記:思い出しました、Kalamazooのアンプです。ツマミが3つだったと思うので、恐らく“MODEL TWO”だと思います。
憶測だが、ギターのアウトをパラアウトして原音をデラリバで出して、低音成分をこのアンプから出してるんじゃないかな?
ラインも混ぜてると思うけど。
といいつつも単純にクリーントーンとファズの切り替えだけなのかもしれない。
Effects
一番気になるところだが正直よく見えなかった。
今回のツアーで大幅に足下を変更したのは事実。以前はBOSSのBluse DriverとDigitechの青いツインペダル。それを中心にSmall Clone、mooger foogerやらLINE 6のディレイ・モジュレーションを時折変えていると言った感じ。
ボードの中核を成しているのはワーミーペダル。よくある踏み込んでいきなりオクターブ上げるようなトリッキーな使い方はせず、オクターブ下げっぱなしか、ハーモナイズ機能をで下を出すというオクターバーのような使い方をする。コーパスグラインダース時代の名越由貴夫がよくやってた使い方。
しかし、今回ワーミーがない!
見落としたかもと思っていたが、あんな真っ赤で目立つペダルを見落とすわけがない。エメラルドグリーンのBOSSコンパクトエフェクターがあったが、かわりにあれなのか?ピッチシフターか何か?Harmonist PS-6よりももっと鮮やかな色をしていた気がするので、、、うーん、
あとはね、正直よく見えなかった。
Albitっぽいのとか、エレハモっぽいのが3つくらい。
ProvidenceのPEC-2?MIDI?を導入したようなので、かなり足下すっきりしてましたね。以前は前と右側と“く”の字にボード囲んでたけど、今回は前方のみで済んだ模様です。
基本はBig Muff系ではないゲルマニウム系ファズトーンなんだけど、このメインの歪みのペダルが解らないんだよなぁ。
それにしてもギタマガ取材来てたのかなぁ?これ逃してたら、リットーさん、かなり損ですよ!