子供向けだったアニメが大人の嗜みとして持て囃されるようになり、局地的嗜好として扱われてきたオタクがヲタクとして普通の趣味になりました。
アイドルソングが洋楽ファンの間で音楽的評価を受ける一方、未だに端っこに追いやられている感が否めないヴィジュアル系。あまり音楽側面を評論してる人も少ないような。
世間的には90年代後半のヴィジュアル系ブーム、近年ではゴールデンボンバーあたりのイメージが強いかとは思いますが。
元を辿れば、海外から入ってきたものが日本で独自の進化と発展を遂げた典型的な文化・音楽であるので、面白くないわけがないだろ。
夏フェスだと騒いでる20代後半以上の音楽ファンだって、きっかけはXやLUNA SEAだったりする人多いだろ?そこら辺で止まってるだろ?
最近の若いロキノンファンは当時の黒服バンドを今のロキノン系バンドが継承してるって知らないだろ?
ということで、「ヴィジュアル系」という言葉に偏見を持っている洋楽厨・ロキノン厨あたりに薦めたいヴィジュアル系ロックバンド」。中でも活動、デビュー10〜15周年あたりのR35中堅バンドを5つほど。このくらいの活動歴はバンドしての経験も音楽性も熟成期に入っているし、怒濤の90年代後半にデビューしているので良い意味で洋楽志向だった黒服黎明期の血を受け継いでいる、所謂00年代のキラキラヴィジュアル系じゃないです。そっちの需要は承知の上で敢えて「ヴィジュアル系」という言葉で誤解されているバンドを。
そこそこ有名で何となく名前は知ってるかも?だけど、実際音はよく聴いたことないみたいなメンツだと思います。
その道の人たちには「今更これかよ!」と思うかもしれませんが、この辺のバンドって実際一般世間層には知られてないんですよってことで。
とは言え、アクの強いバンド・ジャンルなので、好みは分かれると思うけど。
オフィシャル関連の動画しか貼ってませんので限られた中から選んでます。(日本のバンドも色々オフィで動画やれよ)
DIR EN GREY
世界的な〈J-Rock/Visual-kei ブーム〉のパイオニア、世界で最も有名な日本のロックバンド。知名度はナントカジャパンの比じゃn、DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)
「ディルがヴィジュアル系!?ムキーッ」という虜の方がいらっしゃったら、今回の主旨とはお門違いなのでそっとブラウザを閉じてください。
1999年デビュー時には黒服〜鬱〜グロテスクの正統なV系流れでデビューしたものの、徐々にヘヴィロック化、2003年あたりから世界的に注目が集まり本格的に世界進出。2006年にKORN主催の「THE FAMILY VALUES TOUR」に参加。その後、「Rock Am Ring」「DOWNLOAD FESTIVAL」などなど世界中の有名音楽フェスへの出演や勢力的な世界ツアーを行っている。
彼らの成功は、地道な海外公演とツアーの積み重ねによる賜物。最初の頃、向こうのオーディエンスは冷ややかな反応だったとか。宣伝を兼ねたイベント、公演ではなく、本格的な全米・全欧ツアー、フランス、イギリス、主要国を始め、ポーランド、ハンガリー、ロシア、南米ではチリやブラジルでの公演も。日本国内と同列に、毎回と言ってほどこれほど海外ツアーを行っているバンドは他に居ないだろう。
彼らと言えば、放送コードに引っかかるような過激なMV。これ、シングル楽曲なんだぜ。こんな曲をシングル切った彼らと事務所、レーベルの大英断は凄いと思う。
日本じゃないよ、フランス・パリ公演の映像です。「激しさとこの胸の中で絡みついた灼熱の闇」なんていう日本人ですら厄介な卓越した中二病文章を合唱するフランス人。。。
〈ヴィジュアル系、総ヘヴィロック化〉と言わんばかりの影響を後発のバンドに与えたDIR EN GREYですが、決して“洋楽かぶれ”になることはなく、日本語詞しかり、どこか和のテイスト、ワビサビや陰鬱感を残していたり、歌も所謂ヴィジュアル系の節回しを捨てなかったのも成功の要因であると思います。
しかし、何オクターブやねんっていう伸びやかなハイトーンと「ゲロロロロrブォォォォォォッォーーーーおあわあsんじゃkscかいやーーーーーーーー」っていう京シャウトは何度聴いてもこの人の喉はどうなってるんだーと。
MERRY
2001年結成、2003年に清春のレーベルからリリース、2005年にビクターからメジャデビューし、現在はDIR EN GREYと同じ事務所Sunkradに所属、MERRY(メリー)
ヴォーカル、ガラの西城秀樹、沢田研二、氷室京介、流れの嗄れたハスキーボイスが印象的。
彼らは良い意味で洋楽影響下に居ないところが強みですかね、あまり流行サウンドに囚われないし。あくまで根底にあるのは日本の歌謡曲であり、キャッチーな歌モノであることをポリシーにしている。
ただ、ヴィジュアル的な魅せ方は色々やりたいタイプなようで、いまいち一貫性が見えずらいところもあったけど、ここ数年は方向性がハッキリとし、キャッチーさと攻撃性を兼ね備えた本来のこのバンドの魅せ方がより洗練されてきているので、面白くなってきました。
昨年リリースされたベスト盤から最初期楽曲のSPOT。寺山修司、丸尾末広あたりに通ずる昭和感「哀愁歌謡」「エログロ」というテーマ性があり、ヴィジュアルと楽曲共に強烈なインパクト。しかし、普通に良い曲多いよなぁ。
学校の学習机を踏み台に三点倒立やトラス昇るわ、墨汁履くわ、のガラのパフォーマンスは狂ってる、気持ちわr、通り越して清々しい。
Plastic Tree
ヴィジュアル界のBUMP ○F CHIKIN、いやそんなこと言うと色んな人から怒られそうですが、、、1993年結成、1997年メジャーデビューのPlastic Tree(プラスティック・トゥリー)
陰鬱文学詞を「もっとはっきり歌えよ」と言いたくなる儚げな歌い方の有村竜太朗はサブカル系女子が大好きな絵に描いたような男子だろ。病弱、色白、根暗… まるで幽r メンヘラわっしょい。
デビュー当時は和製4ADと言いましょうか、UK直系のシューゲイザーサウンドを主体としておりましたが。97年当時と言えば華やかなヴィジュアル系ブームの頃でして。プラのような暗く難解で、かといって攻撃性のないロックは世間から余り受け入れられずインディーズに。
ギターのナカヤマアキラがCOALTAR OF THE DEEPERSに参加するようになってから、楽曲の幅が拡がり人気もジワジワと、メジャー再デビューで10年目にして武道館公演。正直、ブレイクらしいブレイク期もきっかけもなく、いつの間にか不動の地位を確立したバンド。
根本的なところはUKギターサウンドだし、コードアレンジもサウンドも秀逸なバンドなので、下手なロキノン系バンド聴いてるより面白いと思うんですがね。最近は中性的なか細い男性ヴォーカルも割りと人気だと思うので。
ワッシュバーンN4(ヌーノモデル)でこういう音出す人も珍しいよね。
cali≠gari
1993年結成。2002年にビクターよりデビューした cali≠gari(カリガリ、正確な表記はcali∦gari)
黒服主流だった当時のヴィジュアル系黎明期に80年代アングラ、ナゴムの流れを組む、白塗り+包帯といったような出で立ちでギターの桜井青がレーベル「密室ノイローゼ」を設立。
桜井氏はれっきとした“ゲイ”なので、その辺の感覚、二丁目ノリやオカマバーのショービジネス性は決して普通の男じゃ持つことの出来ない感性を持っている。そこがビジュアル系とアングラとの親和性の高さというべきか、化学反応を起こして爆発してしまったとも言うべきか。
幾度かのメンバーチェンジと共に、大正ロマンをモチーフとした芸風から奇形メルヘン音楽、異能派音楽集団と様式を変え、現ヴォーカル・石井秀仁を迎えてからはニューウェーヴ色が濃くなり、2003年に活動休止、2009年の復活後はよりエレクトロ色が強くなり、派手なサウンドになっている。見た目も。
一歩間違えば色モノ、ダサくなってしまうもことを如何に大真面目でセンスよくスタイリッシュに出来るか、というバンドブーム期のオケバンの流れをちゃんと継承しているといいましょうか。勿論そこには確固たる音楽ポリシーをハッキリと持っている。根底にあるのは、紛れもなくポジパン、それは今も昔も変わっていない。
今のヴィジュアル系ではめっきり少なくなってきたモジュレーション混じりのキレの良いシングルコイルの往年のカッティングギターがかっこいいんだわ。
80年代アングラパンキッシュ、スターリンや初期MAD CAPSULE「あやつり人形」「ギチ」あたりを彷彿させる楽曲。MVのセンス含めてサイコーです。
最近こういう毒々しいバンドが居なくなったものですなぁ。。。
MUCC
1997年結成、cali≠gari主催の「密室ノイローゼ」に所属後、2003年にメジャーデビューした MUCC(ムック)
昭和歌謡メロディに重厚なサウンドが特徴的であり、そういう意味では先述のMERRYと比較・並べられることも多いが、MERRYとは対象的にMUCCは流行りのサウンドをすぐさま取り入れたり、楽曲やアルバム毎に色々な音楽要素で変化球を投げてくることが多い。
昭和歌謡フォークソングとKORNのカヴァーをやったりと振り幅の広さもさることながら、ヘヴィロックとヒップホップの融合(ラップコアではなくて)、この辺はKORNが早くからやっていたことではあるが、そういったダウンテンポ、ダブステップのリズムをいち早く日本で取り入れたバンドでもある。というか、ダブステップやってる人力のバンド自体、日本では殆ど居ないのだが。
カヴァーに定評のあるバンドとしても有名で、有名どころで言えばLUNA SEAやBUCK-TICKを原曲の世界観を完璧に再現するとともに完全に自分たちのモノにしてしまうという、、、雑食とも言える自分たちの音楽性と共に楽曲イメージの世界観を直感的なインスピレーションで表現するのが本当に上手いんだと思う。それでいて支離滅裂にならないのは人を喰ったような強烈なインパクトを与えるヴォーカル・逹瑯の存在感と言ったところか。
いつも以上に多彩で派手な現時点での最新アルバムでそれを改めて感じることが出来る。
ケーナ風のイントロいい、いつの昭和ソングかよ!っていう大好きな曲です。
上手い具合にヴィジュアル系とそうじゃないところを行き来していた時期もあって。化粧するしない含め。ちゃっかり、Guns N’ Rosesのオープニングアクトを務めたり。
別段、演奏が上手いわけでもなく、捻くれてるわけでも特別凄いことやってるわけでもないのに、唯一無二の存在感を放ってる。ロックバンドとしてはある意味、正しい形の完成形です。