北欧家具の定番“ソープフィニッシュ”石鹸塗装をギターに施してみた

RS Guitarworks的な発想で作っているコイツ。

modern

アッシュ材なので木目を活かしたフィニッシュがいいなと考えていたところ、「桜色」というものを思い立ち。ざっくりいえば、シースルーのシェルピンクなのですが、もっと和色っぽくしたい。うっすらとピンク懸かっているような。Gibson Moderneシェイプだから、“Sakura-Modern 桜モダーン”なんて名付けようかと。

弁柄と胡粉を柿渋で溶いて、淡いピンク“桜色”が、、、

実際に塗ってみたら、導管に色が入り込むだけで全体的にまったく色がつかない、、、(汗)。杉板で試し塗りをしたときはうまくいったんだけどなぁ、アッシュめっ!!

杉とアッシュ、わりと木目が似ているから、うまくいくだろうなんて安易な考えを持っていたのですが、甘かった。これが針葉樹と広葉樹の違いか。ドイツ自然系塗料のリボスが「針葉樹用“メルドス”」「広葉樹用“アルドボス”」と分けている理由がわかった気がする。

ちなみにエレキギターのボディで使用される木材の多くは広葉樹(アッシュ、アルダー、マホガニー…)。針葉樹はスギ、ヒノキなどで、ギター材では、パインやスプルースといった松の類

アクリルガッシュにそれっぽい和色、ジャパネスクカラー〈一斤染〉があるし、ステインっぽく“桜色”を出すことは可能なんだけど、なんかそれだと意味ない気がして。柿渋などの日本古来の塗装方法で“和”を表現したかったのです。なら、バタースコッチブロンドやホワイトブロンドといった、テレキャスターの定番色も考えたのだけど、結局「アッシュはナチュラルがいちばんカッコいい」という結論に達し、色をつけるのは諦めました。ほら、ミュージックマンやG&Lや、ブルース・スプリングスティーンのエスクワイヤーとかさー。やっぱりナチュラルアッシュのカッコよさってあるじゃない。

さて、気を取り直して、失敗した塗装をしっかりと剥がし、いざ、オイルフィニッシュ!と思ったのですが、前々から気になっていた「ソープフィニッシュ」を施してみることに。

北欧家具でもっともポピュラーなソープフィニッシュ

ソープフィニッシュ(Soap Finish)とはその名の通り、石鹸塗装。日本ではあまり馴染みがないけど、デンマーク家具ブランドのカール・ハンセン&サン(Carl Hansen & Son)をはじめ、北欧家具ではもっともスタンダードな仕上げ。ハンス・J・ウェグナーのCH24(通称:Yチェア)が有名です。ラインナップには輸出向けのオイルフィニッシュもありますが、北欧国内はほぼソープフィニッシュ。オイルよりもさらに薄く、自然な木のままの仕上がりになります。

「Y Chair」ソープフィニッシュ CH24BNS
Carl Hansen & Son

Amazon Rakuten

簡単に説明すれば、木の表面に石鹸水を塗ることにより、洗浄と保護が同時に出来るというもの。石鹸の成分は油脂であり、水で溶いて塗ることによって木部に浸透しやすくなり、のちに水分が乾燥して油分だけが木に残るという、手法は違えどほとんどオイルフィニッシュと変わらないものです。

soap01

ソープバー・ピックアップ!

ソープフィニッシュで使用する石鹸は、無添加のものであればなんでも良いのですが、比較的手に入りやすい「シャボン玉石けん」を使用しました。

解けやすいようにうすくスライスして、お湯に溶かし、泡立てます。

soap02

桜の花びらみたい。ある意味、“桜モダーン”(←何気に気に入っている)

soap03

ひたすら泡立てる

「お背中、お流しいたします」

その泡を材の表面にスポンジでのせていく。木地調整における“水引き”の要領で、木目に沿ってやさしく。めちゃくちゃ汚れが落ちます。

泡をしっかり拭きとり、陰干し自然乾燥させれば終了。木地調整も同時に行うことになるので、ケバ立ちがあるようだったら#400くらいのサンドペーパーで整えます。これを2〜3回繰り返す。

で、仕上がりは?

さらさらすべすべの肌触りで、最高です。オイルフィニッシュより「そのまんま木っ!」って感じ。だが、これがギターの塗装に適しているのかは疑問符が残る。(ヲイ)

というのも、オイルに比べて保護力が弱く、汚れも付きやすい。家具は数ヶ月に1回くらいソープフィニッシュすることで、長持ち&愛着が沸いていくのですが、電装系パーツがたくさん乗っかってるエレキギターをそんな頻繁に石鹸水洗いするのは効率が悪い気がする。

そして、なにより、アッシュ材に向いてる仕上げではない。

アッシュの魅力って、木目と導管がハッキリしていることですよね。ソープフィニッシュの特徴は、本来の木の白さを引き立たせる、濡れ色にならない自然な風合いなのです。見た目は完全に無塗装状態。オイルしかり、ラッカーもニスもウレタンも、塗装することによって濡れ色になり、木目・杢目が際立ってくるのがカッコいいわけで。つまり、濡れ色にならないということは木目を活かしきれないことにもなります。

やってはもたものの、こういう結果になることは想定内でしたから、なんら問題ないです。単に興味があって、ギターにソープフィニッシュしてみたかっただけだし、木肌の洗浄、木地調整にもなったし。

ソープフィニッシュの家具は、ビーチ材やメイプル材といった、堅くて木肌がなめらかで、木目の少ない木材であり、そうした“白木っぽさ”を活かすには最適な仕上げです。Yチェアの滑らかな曲げ木具合との相性はバッチリ。いつまでも触っていたくなる。

ん?メイプル材、滑らか、触り心地……

あ、ソープフィニッシュって、ネックの仕上げに向いてるんじゃね?!

つづく

オイルフィニッシュしたら茶トラになった、テレモダーン

ハンス・ウェグナーの椅子100
コロナ・ブックス
平凡社
Release: 2002/10

Amazon iTunes

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北欧家具の定番“ソープフィニッシュ”石鹸塗装をギターに施してみた

RS Guitarworks的な発想で作っているコイツ。

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アッシュ材なので木目を活かしたフィニッシュがいいなと考えていたところ、「桜色」というものを思い立ち。ざっくりいえば、シースルーのシェルピンクなのですが、もっと和色っぽくしたい。うっすらとピンク懸かっているような。Gibson Moderneシェイプだから、“Sakura-Modern 桜モダーン”なんて名付けようかと。

弁柄と胡粉を柿渋で溶いて、淡いピンク“桜色”が、、、

実際に塗ってみたら、導管に色が入り込むだけで全体的にまったく色がつかない、、、(汗)。杉板で試し塗りをしたときはうまくいったんだけどなぁ、アッシュめっ!!

杉とアッシュ、わりと木目が似ているから、うまくいくだろうなんて安易な考えを持っていたのですが、甘かった。これが針葉樹と広葉樹の違いか。ドイツ自然系塗料のリボスが「針葉樹用“メルドス”」「広葉樹用“アルドボス”」と分けている理由がわかった気がする。

ちなみにエレキギターのボディで使用される木材の多くは広葉樹(アッシュ、アルダー、マホガニー…)。針葉樹はスギ、ヒノキなどで、ギター材では、パインやスプルースといった松の類

アクリルガッシュにそれっぽい和色、ジャパネスクカラー〈一斤染〉があるし、ステインっぽく“桜色”を出すことは可能なんだけど、なんかそれだと意味ない気がして。柿渋などの日本古来の塗装方法で“和”を表現したかったのです。なら、バタースコッチブロンドやホワイトブロンドといった、テレキャスターの定番色も考えたのだけど、結局「アッシュはナチュラルがいちばんカッコいい」という結論に達し、色をつけるのは諦めました。ほら、ミュージックマンやG&Lや、ブルース・スプリングスティーンのエスクワイヤーとかさー。やっぱりナチュラルアッシュのカッコよさってあるじゃない。

さて、気を取り直して、失敗した塗装をしっかりと剥がし、いざ、オイルフィニッシュ!と思ったのですが、前々から気になっていた「ソープフィニッシュ」を施してみることに。

北欧家具でもっともポピュラーなソープフィニッシュ

ソープフィニッシュ(Soap Finish)とはその名の通り、石鹸塗装。日本ではあまり馴染みがないけど、デンマーク家具ブランドのカール・ハンセン&サン(Carl Hansen & Son)をはじめ、北欧家具ではもっともスタンダードな仕上げ。ハンス・J・ウェグナーのCH24(通称:Yチェア)が有名です。ラインナップには輸出向けのオイルフィニッシュもありますが、北欧国内はほぼソープフィニッシュ。オイルよりもさらに薄く、自然な木のままの仕上がりになります。

「Y Chair」ソープフィニッシュ CH24BNS
Carl Hansen & Son

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簡単に説明すれば、木の表面に石鹸水を塗ることにより、洗浄と保護が同時に出来るというもの。石鹸の成分は油脂であり、水で溶いて塗ることによって木部に浸透しやすくなり、のちに水分が乾燥して油分だけが木に残るという、手法は違えどほとんどオイルフィニッシュと変わらないものです。

soap01

ソープバー・ピックアップ!

ソープフィニッシュで使用する石鹸は、無添加のものであればなんでも良いのですが、比較的手に入りやすい「シャボン玉石けん」を使用しました。

解けやすいようにうすくスライスして、お湯に溶かし、泡立てます。

soap02

桜の花びらみたい。ある意味、“桜モダーン”(←何気に気に入っている)

soap03

ひたすら泡立てる

「お背中、お流しいたします」

その泡を材の表面にスポンジでのせていく。木地調整における“水引き”の要領で、木目に沿ってやさしく。めちゃくちゃ汚れが落ちます。

泡をしっかり拭きとり、陰干し自然乾燥させれば終了。木地調整も同時に行うことになるので、ケバ立ちがあるようだったら#400くらいのサンドペーパーで整えます。これを2〜3回繰り返す。

で、仕上がりは?

さらさらすべすべの肌触りで、最高です。オイルフィニッシュより「そのまんま木っ!」って感じ。だが、これがギターの塗装に適しているのかは疑問符が残る。(ヲイ)

というのも、オイルに比べて保護力が弱く、汚れも付きやすい。家具は数ヶ月に1回くらいソープフィニッシュすることで、長持ち&愛着が沸いていくのですが、電装系パーツがたくさん乗っかってるエレキギターをそんな頻繁に石鹸水洗いするのは効率が悪い気がする。

そして、なにより、アッシュ材に向いてる仕上げではない。

アッシュの魅力って、木目と導管がハッキリしていることですよね。ソープフィニッシュの特徴は、本来の木の白さを引き立たせる、濡れ色にならない自然な風合いなのです。見た目は完全に無塗装状態。オイルしかり、ラッカーもニスもウレタンも、塗装することによって濡れ色になり、木目・杢目が際立ってくるのがカッコいいわけで。つまり、濡れ色にならないということは木目を活かしきれないことにもなります。

やってはもたものの、こういう結果になることは想定内でしたから、なんら問題ないです。単に興味があって、ギターにソープフィニッシュしてみたかっただけだし、木肌の洗浄、木地調整にもなったし。

ソープフィニッシュの家具は、ビーチ材やメイプル材といった、堅くて木肌がなめらかで、木目の少ない木材であり、そうした“白木っぽさ”を活かすには最適な仕上げです。Yチェアの滑らかな曲げ木具合との相性はバッチリ。いつまでも触っていたくなる。

ん?メイプル材、滑らか、触り心地……

あ、ソープフィニッシュって、ネックの仕上げに向いてるんじゃね?!

つづく

オイルフィニッシュしたら茶トラになった、テレモダーン

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