sympathy、Hump Back、チロル…… さいきん心に響いた女の子の歌

おっさんだから、アイドルでもガールズバンドでも、女の子が歌っているだけでうるうるしてしまう。

チロル「ロックンロールが鳴り止まない夜」




神奈川県藤沢市出身の女の子3人組、チロル。「ロックンロールが鳴り止まない」なんて散々使い古された表現だし、「タバコの煙、ふわりふわり」「スポットライト」なんていう昭和的な言葉選びも、今時の女の子に使われるとおじさんとしてはなんかグッと来てしまうんだよ。それをひっくるめて、魂を揺さぶられるような“唄”。声もいいけどギターもいいよね。ストローク一辺倒で埋め尽くすわけじゃなくて、ギターを感情表現のひとつとして歌声に寄り添いながら弾き語る。そんなヴォーカリスト、男でも最近居なくなってるしさ。

リズム隊の2人もちゃんと唄を聴いて入ってくる感じがたまらなくよくて。レンジの広さと間の取り方が絶妙だよね。ゴリっとしたベースとガレージっぽくバシバシくるスネアの音色もいい。よく見るとギターはNavigatorのテレキャスターだし、ベースはXOTICだし、侮れん子たちだ。

チロル
WEBSITE
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Hump Back「悲しみのそばに」




ポップ性を削ぎ落とし、シンプルにストレートで攻めて来るHump Back。90年代末メロコアブーム以降の日本語ロックと、90年代初頭のUSオルタナの緩さをちゃんと自分たちの物にしてるといいましょうか。<チャットモンチー系譜>と言っちゃえば早いのかもしれないけど。まぁ、トリビュートも参加してたし。




Hump Back – 「拝啓、少年よ」Music Video

彼女たちの何がいいって、ストレートに見えて繊細というか、ストレートだからこそわかる細やかさ、とでもいうか。楽曲ごとに情緒があるんですよ。林萌々子の歌が、っていう問題じゃない気がするんですよね。

涙のゆくえ
Hump Back
バップ
Release: 2018/12/05

Amazon

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the peggies「ネバーランド」




あえて「好き!」と公言するほどじゃない“好き”ってあるじゃないですか。the peggiesも自分の中ではそういう位置のバンドだったんだけど(それも失礼な言い方ですよね)、最近ぐんぐん上がって来ている。そのきっかけがこの曲でした。元々、曲とか声は好きな感じだったんだけど、「なに?このアンサンブルはっ?!」と思った。ブレイクとか緩急の付け方が海外のバンドみたい。

the peggies
WEBSITE APPLE SPOTIFY
super boy! super girl!!
the peggies
ERJ
Release: 2018/01/24

Amazon Rakuten

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みるきーうぇい「朝焼け」




私は「若い者には負けられんぞー」みたいな気概は毛頭なくて。若い者には若い者の音楽があるし。そのぶん、年寄りにしかわからない音楽があるわけだし。いつの時代も「若者の代弁者」的なカリスマがいて。みるきーうぇいの伊集院香織もまた、そうした若者たちに支持されるタイプのアーティストなんだけど。

「カセットテープとカッターナイフ」以来、久々に聴いたらものすごく垢抜けていた。丸くなったわけではなく、相変わらずの棘を持ちながら、アーティストとしてすごく洗練された印象を受けました。いい味のヴォーカリストにもなっていて、いろいろ相まってグッと来た。バンギャな青春ラブソングだよね、この曲。

みるきーうぇい
WEBSITE TWITTER
地獄で会えたらキスしてね
みるきーうぇい
みるきーうぇい放課後レコーズ
Release: 2018/07/17

Amazon Rakuten

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鶯籠「ESCAPE」




はい、アイドルです。でも音聴けばこの並びにいてもおかしくないでしょ。鶯谷発のアイドル、鶯籠(とりかご)。ロック系のアイドルはわんさかいて、ラウドロックと対照的にポストロックや前衛的で実験的な音楽、ビジュアルコンテンツ含めてコンテンポラリー要素とともに落とし込んでいるスタイルも多くいて。鶯籠もそういうグループではあるんだけど「エモい、アツい」では表現できないものがあるんですよ。この曲の持つ清涼感の中のクサメロといい、なんかこう感情を弄られて歯痒くなりそうな不思議な感覚。2018年3月2日に活動開始したばかりなので、まだまだこれからって感じですが、今後が楽しみなグループ。

i cAn Fly
鶯籠
Uguisu Records
Release: 2018/08/28

Amazon

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sympathy「さよなら王子様」




最後はビクターからデビューしていたのに最近まで知らなかった、高知県産・超絶無名バンド sympathy

チャットモンチーと相対性理論の美味しいところを合わせて、GO!GO!7188で因数分解したようなオリエンタル無国籍な趣きもあって。素っ頓狂なかわいさ。

アイドルシーンって、サイクルも早いし情報量が凄まじいので追ってるとそこだけでいっぱいで。そこに特化するのもありなんだけど、自分はバンドも好きだからこっちのシーンも帳尻合わせるように定期的にチェックしているつもりなんだけど。うん、無名だけに知らなかった……不覚。




sympathy 4th mini album「泣きっ面に煙」ティーザー映像

11月28日リリースのミニアルバムいい感じですな。<respond>レーベル?と思ったら、ビクターのぼくのりりっくのぼうよみやAwesome City Clubがいる<CONNECTONE>系列の新レーベルっぽい。

泣きっ面に煙
sympathy
respond
Release: 2018/11/28

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