聴いていると不思議な感覚に見舞われる、女性アーティストを紹介。
CUICUI
空前絶後のガールズバンド、CUICUI(キュイキュイ)
バンクーバーのシンセポップからブルックリンのドリームポップへと、シューゲイズしながらクロスオーバーしていくかのような心地よさ。いろんなことをやっていても一本筋が通っている、とか、どんなことをやっても自分たちのものになる、とかとか。それはアーティストとしてとても大事なことなんだけど、実際は後付けの結果論でもあることも多く。そこは考え方次第でもあり、やりたいことやってみたらとっちらかっちゃったけど、最終的に整合性が取れればいいよね、みたいな余裕な心意気を彼女たちから感じるのです。もちろん、そこへと纏め上げられる手腕があってこそ。
どこかひねくれた感性を独自のポップセンスに落とし込みながら行き着く先は、不条理でジャンクなエレガント。うむ、とんでもないバンドが出てきたぞ。ダンゴムシ〜 ダンゴムシ〜
『平成』銀の缶詰パッケージは、蔦谷好位置がかつて組んでいたバンド、CANNABISの大名盤『COUNT DOWN』を思い出してニヤリ。
テンテンコ
https://www.youtube.com/watch?v=m8mkCgkAB6w
独自のレトロフューチャーを体現している、ex.BiSのテンテンコ
前作では坂本慎太郎の楽曲提供で度肝を抜いたわけだが、新作『ALL YOU NEED IS CAT~猫こそはすべて』は川本真琴、KERA、中原昌也……、錚々たるメンツの参加。おいおい、なんなんだよこの世界線は。
上記MVはneco眠るフィーチャーのオリエンタルな雰囲気のアーシーなテクノ。中毒性高し。最近はYouTuberになった盟友プー・ルイの「新生YouTuber研究会BYS」動画でふざけている姿を観ることも多い彼女ですが。BILLIE IDLE®といい、Maison book girlといい、解散後も音楽愛好家を唸らせるような活動を続けている旧BiSの面々の強さを痛感している今日この頃でございます。
nuance(ヌュアンス)
https://www.youtube.com/watch?v=3YbCcTVBqgo
私の地元横浜発のアイドルということで、ずっと気になっていたnuance(ヌュアンス)
横浜とはいえ、商店街が企画するイベント「ガチでうまい横浜の商店街No.1◯◯決定戦」から生まれたもので、世間的な横浜イメージの“みなとみらい”なものよりももっとローカル。一聴して耳馴染みはよくも、深く耳を傾ければマニア心をくすぐる聴き心地。その中毒性の高さは元町や伊勢佐木町より横浜橋じゃん、赤レンガより六角橋に松原じゃん、という通っぽいノリを感じます。かつて、横浜には知る人ぞ知る<クラゲイルレコード>というカルトなレーベルがあったのだけれど、そこのアイドルと言われても信じてしまいそうな。誰がわかるんだって話ですけど。
奇譚でおしゃれでハイソなポップ。私が思い浮かんだ言葉は“ハイパー・シャンソン”。なんのこっちゃ。
Kolokol
90年代のオルタナロックというのはどこか内包的で、それは歌う当人のアーティスト性によるところも大きく、それが魅力でもあったんだけど。そうした負のエネルギーを、相反するアイドルというフォーマットに落とし込み、洗練されたいまのサウンドに乗せて外へ解放させると、このKolokolになるのかと。
表現力がハンパない人がいるんですよね、ものすごく好きな声。真嶋さんっていう子かな。0’20″くらいから歌い出す子。2’11″から背筋がゾクゾクして2’25″で昇天する……。ラストのファルセットもいい。
PassCodeの事務所と聞いて納得のクオリティ。
Homecomings
洋楽っぽさって、具体的な部分ではなく全体的な雰囲気から感じるものだと思うんだけど。そういう意味ではHomecomingsって、英語で歌ってる日本のバンドという印象で。ただ、メロディとしてのハマりが日本語よりもしっくりくるから英語で歌ってると思っていたんだけど。
日本語で歌ったほうが洋楽っぽいじゃん、って。なぜだかよく分からぬ。宇多田ヒカルが英語で歌ったとき、日本語のほうがこの人のリズムは映える気がすると思ったり、THE MAD CAPSULE MARKET’Sが英詞曲「WALK!」を日本語で歌ったときに「こっちだ!」と思った感覚に似てるのかなぁ。でも、Homecomingsに関してはどっちがいいという訳ではないのだけど。なんだか新しい見方が出来たなぁという。不思議なバンドだよね。