長渕剛『Stay Alive』 日本武道館を観てあらためて感じたこと

長渕剛アリーナツアー2012『STAY ALIVE』日本武道館。1995年『いつかの少年』以来のギター1本で360度客席のセンターステージ、しかも場所は日本武道館。武道館と言えば、86年の『STAY DREAM』センターステージの伝説がある訳で。これは期待せずには。

2日目に行ったんだけど、1日目は北乃きいが観に来たらしいですね。と思ったら2ショットまで!

なんだかんだ若い世代にも受け継がれてるんだなぁと。実際、客層も若い女の子増えたなという印象でした。元々昔はアイドル要素の強いフォークシンガーだったわけで、女性ファンは多かったんですよ。『とんぼ』辺りから無精髭だったり、小汚い…、いや男臭いイメージがついて男ばかりになったけど。ここ10年くらい、マッチョ化してからはクリーンなイメージになって、明らかに女性ファン増えましたね。先日は特に年齢層が若くなってきた気がする。

ギター1本のライブと言えば、2009年の『ACOUSTIC LIVE 30th Anniversary』があまりに濃くて。30周年のお祭りツアーだったし、センターステージじゃなかったけど、ホールツアーでアットホームな雰囲気もあって充実した内容だったから。それと比べちゃうとちょっと物足りなさみたいなものも正直あったんだけど。でもアリーナクラスならではの演出や臨場感、そして歌。やっぱり凄いなぁ、なんだかんだ歌の力を改めて実感した内容でございました。

長渕剛って人生を赤裸々に歌うタイプじゃないですか?己の弱さをさらけ出したり、時には政治批判だったり、湾岸戦争しかり、アフガニスタン、沖縄問題、などなど。そういうの嫌いな人も多いとは思うんだけど。近年は批判や不満をTwitterやブログで言うアーティストも多いけど、やっぱり歌で伝えることって大事かと。最近そういうアーティストって少ないと思うから。それが正しいとか偉いとかではなく、直接的な感情表現を歌に乗せられるアーティストって貴重だと思う。

この人はさ、自分に子供が出来ればその喜びを歌にする、母親がアルツハイマーになったときにはその悲しみを歌にしてきた。当時はよく解らないことも多かったんだけど、自分自身が歳を取って、親のことだったり、家族のことだったりを考えることが増えて。そういう歌が何年越しかに痛烈と心に響くようになってきたりもする。長年歌い継がれる歌って、こういうものなんだろうなと。本人は自分の気持ちに正直なだけだと思うんだけど。良く言えば素直、悪く言えば不器用。でも、だからこそ他人に響くんだと思うし。

剛が30代のときに「あと10年」という言葉をよく発していった時期があった。それは今の状況、アーティストとしての人気生命があとどのくらい続くのか、体力的な問題、いろいろあったと思うんだけど、聴いてる側としてはあまり実感ないわけ。「10年も」「10年しか」ともとれる訳だし。

当時の長渕剛って、かなりヤサグレていて。ドラマ『とんぼ』のイメージもあったし、インドに傾いていた頃もあったし。あのまま歳取ってたらどうなったんだろうな、なんて思う。若い頃は息巻いてたミュージシャンも歳と共に急激に老いちゃってる人もいるじゃない?見た目も行動も。ああいうのはイヤだなって。だから剛が急に何かに取り憑かれたように体力作りに勤しんで。それに関して賛否あるとは思うんだけど、結果良かったんじゃないかなと最近つくづく思ってます。実際、一番ヤサグレてた時期、『RUN』の頃(93年)より若いもん。あの頃のまんま歳取ってたらそのまま小さくなってヨボヨボな感じになってたのかなぁ、なんて思ってみたりもする。

 『身体を大事にするってことは、自分が好きなことを何歳まで出来るか延ばすことなんだ』

インタビューで語ってたこの剛の言葉が猛烈に響きます。

気が付けば、「あと10年」どころか、20年経ってた。現在56歳、この先10年も20年も、命果てるまでこのまんま突っ走っていくんだろうなぁ。

https://www.youtube.com/watch?v=EMtbGbGLQ2A
この映像がすごく好き。
自衛隊のみなさん、特にファンではないはずだけど、みんな生き生きしてるよね。まさに歌の力を感じます。

Stay Alive
長渕剛
NAYUTAWAVE RECORDS
Release: 2012/05/16

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