テイラー・スウィフトばかり聴かないで!カントリーガールズのススメ

世界的に巻き起こっているテイラー・スウィフト旋風。それは日本でも例外ではなく。アメリカで彗星のごとく現れ、話題になってるのに日本で全くCDが手に入らなかった頃が懐かしい…。テイラーの何が凄いのかといえば、アメリカの土着的音楽であるカントリー・ミュージックを国民的のみならず、国際的にポップミュージックとして知らしめ、どこか年齢層の高かった同ジャンルのリスナー層を10代にまで下げた。日本に置き換えるとどういうことなのかといえば、美少女演歌歌手が登場して女子高生に話題で、国民的どころか海外でもバカ受けしてる、みたいな。

『1989』のアメリカ本国での売上の約8割が、iTunes Music Storeとスーパーマーケットの“TARGET”だというのも興味深いところ。いくら、アメリカのCDショップ数が激減してるとはいえ、全国チェーンのスーパーに置けば売れるかといえば、そうもいかないわけで。それだけ需要が幅広くあったということでもあります。

本国ではメジャーレコード会社がそれ専門もレーベル会社を立ち上げているくらいのマーケットはあるけど、日本では馴染みも浅く、好きな人は無茶苦茶好きですが、よほど好きな人でないと聴かない悲しきカントリー。なぜか日本でカントリーの名前を出すだけで敬遠される傾向もあり、テイラーの日本での成功は、カントリーという文字を封印することだったといっても過言ではない。日本においても若い女性に支持を受けている彼女ですが、そういった層からは、カントリーのアーティストだと思って聴いている人はほぼ居ないでしょう。

そんな迫害を受けているカントリー・ミュージックですが。フォーク寄りのウエスタン、民謡寄りのヒルビリー、マウンテンミュージックなど、ひとくちにカントリーといっても様々なものがあるんだけど。ウチでは布教活動さながら結構コアなアーティストも幾度となく紹介しておりますが。ここで原点に立ち返り、テイラー好きにも受け入れられるようなメジャーで聴きやすいカントリー女性アーティストを紹介していこうかなと。

まず、序章知識も兼ねて、カントリーをオススメしたい理由をば。

カントリー・ミュージックをお勧めする理由

1. 歌・演奏が上手い

ギターの速弾きも、エフェクトペダルもカントリーが発祥。奏法も機材もカントリーに適した形で発展したと言って良いのです。バンジョースタイルの高速スリー・フィンガーのアルペジオ、カーター・ファミリーピッキングなどなど。カントリーだから上手いのか、上手いからカントリーをやるのか、というよりも、上手くないと出来ないのがカントリーです。演奏が上手いということは、必然と上手い歌が必要になりますし、その逆も然り。

2. 音が良い

倍音成分の少ない電子音ではなく生楽器が中心であり、アコースティックギター、バンジョー、マンドリン、フィドル(バイオリン)など、中高音域の倍音命の弦楽器が中心。そうした各楽器の音を明確にクリアに突き詰めてるのが、このジャンルの音。“ウエストコーストサウンド”なんて言われますが、各楽器の分離と抜けのよいスネアドラム、よく言われる“抜けの良い、乾いた音”というヤツです。低音重視の四つ打ちのようなサウンドとは真反対にあるサウンドでもある。最近はハイレゾが持て囃されてますが、そうした数値的な音質ではなく、聴覚上の音の良さ。洋楽コンプレックスなんてあまり言いたくはないけど、この辺のサウンドは日本人じゃ適わない。MP3だろうが、圧縮音源だろうが音が良いものは良いんだよ、ということが解ります。

なので、カントリー好きはオーディオマニアになる可能性が高い。

3. 美人

テンガロンハット、ウエスタンブーツにホットパンツ並に切り上げたデニム、ブラウスの裾を縛ってヘソ出して、そんなカウガール・スタイルなんてのもありますが。セレブ感たっぷりのディーヴァなオーラも凄かったり。

さて、本題に入りましょう。

古くは1930年代に成立したと言われるカントリー・ミュージック。歴史が長い分、伝統を重んじ保守的なところもあり、メジャーシーンには中々入り込んでくることは少なかった。シーンに登場し脚光を浴びるのは90年代に入ってからです。

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Faith Hill(フェイス・ヒル)

Faith Hill – “Breathe” (Official Video)

アメリカ人なら誰もが認める「カントリー界で最も美しい女性」。カントリーを一躍世界メジャーのフィールドに押し上げた立役者。1967年生まれ、1993年のデビュー作『Wild One』のヒットを期にスターダムへと。一時期、カントリー色を抑えた時期があったものの、アルバム『Fireflies』(2005年)からは原点回帰のコテコテなカントリー色を強めて今尚、女王として君臨しております。

キャリアも長く、時期によって方向性も色々ある方なんで、一口に説明出来るわけではないんだけど、ポップスとカントリーを絶妙に歌い分けているヴォーカル・スタイルはさすが過ぎる。

Where are you Christmas? Faith Hill

映画『グリンチ』での「Where are you Christmas?」は、日本における山下達郎「クリスマス・イブ」くらいの定番曲。

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Shania Twain(シャナイア・トゥエイン)

Shania Twain – When

カナダ・オンタリオ州出身、1965年生まれ。1993年デビュー、『Come on Over』(1997年)は総売上枚数3500万枚という驚異的な数字を持っており、これはアメリカ国民の三世帯のうち、一軒は彼女のアルバムを所有している計算で、女性アーティスト、カントリーアルバムにおける売上世界一を記録している。同アルバム収録の「When」は日本でもドラマ『チープ・ラブ』(1999年)の主題歌にもなった。

フェイス・ヒルはカントリーに則ったポップスを展開して成功を収めたが、シャナイアはよりポップミュージック色を前面に打ちだし、見方によってはカントリーではなく、カントリー風味のポップスと捉えることもできる。それは「カントリーの産業化」など、保守的なカントリー・ファン層を中心に揶揄されることも多く。だが、驚異的なセールスを見ても、カントリー・ポップスを世界的に知らしめ、ジャンルの発展に貢献した最大の功労者である。

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Carrie Underwood(キャリー・アンダーウッド)

Carrie Underwood – Cowboy Casanova

オーディション番組『アメリカン・アイドル』出身の1983年生まれ。アメリカにおけるアイドルは日本のそれとは意味合いが違うが、ルックスにも重きを置いたオーディションで選ばれたという事例は同性からの支持も厚く、昨今のテイラーブームに見られるようなリスナーの低年齢化の土台を築いたと言ってよい。デビューアルバム『Some Hearts』(2005年)が500万枚売上、2007年グラミー賞最優秀新人賞受賞。2006年CMAアワードでフェイス・ヒルを抑え、最優秀女性ボーカリスト賞を受賞したことも話題に。

元々歌唱力の高いジャンルの中でもソウルシンガー並みのパワー感のあるヴォーカルと声量。そして何といってもヴォーカリストとしての存在感が圧倒的。

そんな、シーンを席巻した彼女であるが、日本でのリリースはアルバム4枚のうち、1枚のみという、何とも…

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Dixie Chicks(ディクシー・チックス)

Dixie Chicks – Goodbye Earl

Emily Robison(エミリー・ロビソン、ギター、バンジョー)、Martie Maguire(マーティ・マグワイア、フィドル、マンドリン)とNatalie Maines(ナタリー・メインズ、ギター)の三人組。ナタリーのリード・ヴォーカルを中心としたコーラスワークと卓越した演奏技術。バンジョー、フィドルをふんだんに取り入れたブルーグラス(スコットランドの音楽から伝承したジャンル)をカントリーに融合した独自のスタイルを確立し、このバンドスタイルは世界中のカントリーバンドの一つの形として広まっている。

歌だけではなく、プレイヤーとしての評価、女性というアイコン意味合いも含めその人気はカントリーのみならず波及し、今までの総売上は全ジャンルを通して女性グループにおいての史上最多数を記録している。

そして、近年メジャーのカントリーバンドで主流になっているのが、男女混声のスタイルである。

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Lady Antebellum(レディ・アンテベラム)

Lady Antebellum – Need You Now

Hillary Scott(ヒラリー・スコット、ヴォーカル)、Charles Kelley(チャールズ・ケリー、ヴォーカル)、Dave Haywood(デイヴ・ヘイウッド、コーラス・ギター・ピアノ)の三人組。“Antebellum”とは「南北戦争」で「南北戦争以前の夫人」の意。

2007年全米デビュー、2009年の2ndアルバム『Need You Now』のヒット。同アルバムで翌2010年にワールドデビューを果たし、100万枚を売上げ、2011年グラミー賞で6部門ノミネートされ、5部門を受賞。「Just A Kiss」がテレビ東京系列『水曜ミステリー9』のエンディングテーマに起用されるなど、日本でもプッシュされていたんだけど、いまいち知名度が低いような…

ヒラリー嬢のキレイな声と、チャールズの渋くて包容力のある歌声が織りなす絶妙なハーモニー、どこか懐かしさと暖かみを感じる楽曲たち。これといった特徴的なサウンドや突発した楽曲というものでもないけど、このグループにしか出来ないものを感じたり、何よりもほっこりする。何度でも聴いていられる飽きの来ない音楽。

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The Band Perry(バンド・ペリー)

The Band Perry – If I Die Young

Kimberly Perry(キンバリー・ペリー、リード・ボーカル、ギター、ピアノ)、Reid Perry(リード・ペリー、ベース・ギター、バック・ボーカル)、Neil Perry(ニール・ペリー、マンドリン、ドラム、アコーディオン、バック・ボーカル)の3人姉弟。

姉・キンバリーの美しい歌声に二人の弟の安定した演奏。歌メロはかなりポップスというか、耳馴染みもよく、日本受けするはずなんだけどなぁ。

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Little Big Town(リトル・ビッグ・タウン)

Little Big Town – Tornado

Karen Fairchild(カレン・フェアチャイルド)、Kimberly Schlapman(キンバリー・シュラプマン)、Phillip Sweet(フィリップ・スウィート)、Jimi Westbrook(ジミ・ウエストブルック)の4人組。リードヴォーカルがおらず、女性2人/男性2人の四声ハーモニー。曲によって、誰かがメインを取ることもある。

四声コーラスでしっとり聴かせたり、時にパーティー的に盛り上がったり、リードヴォーカルの違いで多彩な面を見せたりと引き出しの多さが凄い。とはいえ、根本にあるカントリー魂がしっかりしているので、とっ散らかってる感は皆無。

黒髪美形のカレンと、カワイイ系カーリーヘアのキンバリーという絵面的な部分もあるが、上記「Tornado」MVに見られるようなカリスマオーラが凄い。

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さてさて、ある意味超ド真ん中の有名アーティストばかり並べてみましたが、やはり我が国における知名度や人気はイマイチで。コアな洋楽ロックファンですら、中々手を出してないカントリー。テイラーが人気あるとはいえ、売り方を見ても、カントリーを普及させようというプロモーション展開は微塵も感じないし…。結局はリスナー次第でもあるので、少しでもカントリーに興味を持ってくれる人が居たらいいな、と思ってる次第です。

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