カントリー・ミュージックが日本でウケないと散々言ってきておりますが、比べて同じ土着音楽でも割と市民権を得ているのが、ブルース。特にエリック・クラプトンやジミ・ヘンドリクスをはじめとしたエレキギターでのブルース・ロックはギターを弾く人のみならず、人気もありまして。
そんな中でも、ロック色がより強く、ジミヘン以来多大な影響を与えた伝説のギタリストとして人気を誇っているのが、言わずと知れた、Stevie Ray Vaughan(スティーヴィー・レイ・ヴォーン)
フェンダートーンの極み、歪ませなくともここまで荒々しく、極上トーンから繰り出される魂を揺さぶるスタイルは一つのブルースロックの完成形になっています。
ギター弾きなら一度は弾いてみたい、挑戦してみたけど弾けない代表曲「Scuttle Buttin’」ですが、この印象的な主題リフの運指はすべて左手中指のスライドのみでやるのが本家流。
テンガロンハットとウエスタン・ブーツと。ストラトボロボロにしまくって、極太弦張ってみたけどテンションキツくて弾けねぇよ!気が付いたら Ibanez TS(チューブ・スクリーマー)が増え過ぎた!そんな人も多いのでは?(余談ですが私の知人のSRVフリークはTSだけで、48台持ってる…)
そんなSRVのテキサス魂は今でも脈々と受け継がれ、「レイ・ヴォーンの再来」だなんていわれるギタリストは世界中から出て来ます。そんな、“ポスト・SRV”なギタリスト特集。テキサス!テキサス!
Philip Sayce(フィリップ・セイス)
1976年、イギリスのウェールズ生まれのカナダ育ち、Philip Sayce(フィリップ・セイス)
2009年にデビュー、「ブルース・ロック界の貴公子」という謳い文句で話題になったギタリスト。
スリリングでエモーショナルなプレイに度肝を抜かれる。。。
ブルース寄りというよりも、ロック色が強くて、今っぽさもありつつ、オルタナティブな人。ヴォーカルも澄んだジミヘンの趣で良い声してます。デビュー当時、日本でもそれこそ、SRVフリークの間では話題になったけど、最近はめっきり聞かなくなってしまいました。でも今のほうが全然かっけぇから!
SRVスタイルを弾くにあたって、勘違いしがちなのは必要以上に右手の力を入れて弾いちゃうんだよね。でもアタックを出すのに大事なのは力じゃなくてスピードなんだってことを教えてくれます。思いきりが肝心。上記はヤマハのアンプ THR-10 の試奏動画だけどそれがよく解る。
使用ゲージは D’Addario 11-59。
Kenny Wayne Shepherd(ケニー・ウェイン・シェパード)
ポスト・SRVといえば、この人は外せないでしょうまぁ、そのまんまでしたからね。77年ロサンゼルス生まれ、1995年にデビュー。弱冠18歳でその名を轟かせた、Kenny Wayne Shepherd(ケニー・ウェイン・シェパード)
ジミヘンモデルで、レイ・ヴォーン Ver.の「Voodoo Child」弾くとは流石です。解ってらっしゃる。
ちなみにローズ指板で肉厚グリップのストラトをお探しの方はフェンダー・メキシコのケニーモデルをオススメしておきます。たぶん、現行フェンダーのヴィンテージスタイルのストラトの中では一番がっちりとしたグリップ。フラットな指板で太めのフレットは汎用性高い。サンバースト以外は変なラインやダガーがペイントされており、好み別れると思われ、よく特価で出てますね。(今、池部楽器で7割引き?くらい)
使用ゲージは Ernie Ball Power Slinky 7 strings
7弦セットから6弦を抜いて使用してる。つまり、1弦から 11, 14, 18, 28, 38, 58
John Mayer(ジョン・メイヤー)
John Frusciante(ジョン・フルシアンテ)、Derek Trucks(デレク・トラックス)と並んで現代の三大ギタリストと呼ばれることもある、John Mayer(ジョン・メイヤー)
顔良し、声良し、楽曲良し、でギターも上手いという、非の打ち所もない人ですが。どちらかと言えば、シンガー・ソングライターのイメージが強くなってる昨今ですが、やっぱり、クールで変態紳士、Pino Palladino(ピノ・パラディーノ、ベース)と野生的なのに正確な、Steve Jordan(スティーヴ・ジョーダン、ドラム)との John Mayer Trio がブルース魂を炸裂させていて真骨頂で最高です。
Ichiro
ちゃんと日本人もいるよ!ってことで、シカゴ仕込みのブルースマン、Ichiro
最近は長渕剛や矢沢永吉のサポートで有名です。自己主張してナンボ、というブルースギタリストの世界で、ちゃんと歌謡曲寄りの歌モノのバックやってるという珍しいギタリストでもある。他にはダイヤモンド☆ユカイとか、アクの強いヴォーカリストのサポートが多いけど… ソロ・アーティストとしては結構男臭い歌を歌ってたりするので、抑えるところと出るところをちゃんと解ってらっしゃるというのがこの人の強みなんじゃないでしょうか。荒々しさの中に非常に丁寧な部分を感じるプレイなんですよね、「SRVの中にCharがいる」とでもいうか。
ストラトのフロントピックアップの音が良いのは当たり前で、そんな中でもこの人のリアの音が非常に好きだったりもします。何か中高域にクセがある、音の延び方が尋常じゃないんだよな。サウンド、プレイともにすごく綺麗。
全然関係ないけど、みんな「レイ・ヴォーンが〜」と言う中で、この人は絶対に「スティーヴィーが〜」と言うんですよ。さすが本場仕込みだ。
原マサシ
知る人ぞ知る1997年にデビューした、Georgie Pie(ジョージ・パイ)のギタリスト、原マサシ。当時日本人でこんなギター弾く人いるのか!っていうほど衝撃でした……。
SRVとロリー・ギャラガーのおいしさを凝縮したような、「ホワイト・ブルース・ギターってかっこいいだろ!」と見せつけてくるようなプレイ。
バンド活動休止して渡英、ヨーロッパを渡り歩いて、帰国後「ハラマサシ・ブルースロックス」を始める。
が、ここ一年くらい活動止まってるんですけど…
2018年10月28日、肺炎にて亡くなられたとのこと……R.I.P.
最前列で地引き網?やってるおっちゃんたち和むわー。こんな光景が街中で見られるなんて、日本も捨てたもんじゃない。
オリコンだとか、理屈っぽいサブカルまみれで疲れたら、ブルースロック聴こうぜ!