亜流な変態ギタリストの機材紹介を、そのビザールギターの世界を交えてボソボソと。
Annie Clark [St. Vincent] / Harmony Bobkat
St. Vincentの初来日の際、Annie Clark(アニー・クラーク)のギター/機材に関して書きなぐったこともあったけど、貴重なペダルボードを垣間みられる動画がありました。
30代以上のギタリストなら誰もが一度は憧れた、Eventide(イーヴンタイド)のオフィシャルから。
Annie Clark of St. Vincent / Eventide Stompboxes
イーヴンタイドのエフェクターをアニーが試すという内容だけども、実際いつも使用しているボードに組み込んでお馴染のフレーズを弾いたりしてくれています。
最近のギターキッズは高く積まれたラックシステムよりも個性的なペダルボード並べることに魅力を感じるんだろうけど、昔はイーヴンタイドとブラッドショウで冷蔵庫並みのラックシステム組むんだ、なんて夢見たものです。
そして、Pitchforkが色々と面白い動画を公開したりしてるんだけど、中でもシュールなのが”60 Seconds Left”というコーナー。そこにアニーさんが登場。所謂1分劇場です。
楽屋で神経質そうに弦交換するアニー。そんな事は気にも留めず、MacBook弄ってるトーコさんと時折カメラ目線になる上半身裸でストレッチにいそしむマット・ジョンソン、、、
弦交換って性格出るところだと思っていて、巻き方ひとつで鳴りもテンションもサウンドも変わってくるし。プロミュージシャンはギターテックやローディーが交換する場合が殆どだから、本人が交換する画って貴重。
機材と同等に使用弦が気になるのも私だけではないはず。アニーは太い弦張ってるんだろうなと思ったら、ERNIE BALL “POWER SLINKY”でした。Bobkatはスケール短いしね。アニーだけにアーニーボーr
ブリッジを神経質に弄ってるけど、固定してないんですね。フルアコはトップがアーチになってるから固定しなくとも、ある程度の位置は解るけど、Bobkatのトップは平面だからね。弦全部外したら終わり、もう解らない。ただ木を削ってるだけのブリッジだし、弦高調整はかろうじて出来るけど、かなり大ざっぱ。低くしたいならブリッジ削るかネック調整のシム挟むしかないから。
でもそんな構造なんだけど、位置さえちゃんと掴めば大体オクターブ合うから不思議。うちのHarmony Stellaもちゃんとオクターブ合うんですよ。最近の安価テレキャスの3コマやレスポールJr.のバーブリッジより合うかもしれない。まぁ、厳密なこと言えば絶対合ってないんけど。(どっちだ
5,60年代のギターって設計段階のフレット計算含め、今よりずっとアバウトというか手作業な部分が絶対あったはずだから、この辺は職人技なのかもしれない。昔、土屋昌巳氏が「ギブソンにはフレット打ちの名人がいて、全て目分量で行っていた。だから気分で調子が変わる。朝、奥さんと喧嘩したときはフレット打ちの出来が悪かったり。だから調子の良いときに出来たギターが現在名器と呼ばれてるんですよ。」的な話をしていたが、大袈裟に言ってるところもあるだろうけど、そういうことも実際あったんだろう。
アニーみたいな鍵盤や打ち込み多めのアーティストがこういう単純構造のギターを使用していることが興味深い。この人レベルくらいになると微妙なチューニングの狂いは絶妙なタッチで弾きながら調整してそうだけど。
Dan Auerbach [The Black Keys] / Harmony H78
1965 HARMONY H-75 Guitar * 3 Pickups * OSSC [via: Main Street Vintage Company]
Bobkatの話になったところで。BobkatはHarmony製ギターの中で最も廃価モデル、では最高級モデルといえば、1960年に登場した H75 “3 pickups”。ダブルカッタウェイのフルアコ、ギブソンで言うES-330スタイル。
ハーモニーの箱モノと言えば、H53に代表されるRocketが有名だけど、Rocketがシンプルな作り、バーチ材?を使用している野に対し、H75はメイプルでバインディングやインレイ、このモデル用に改良された(ポールピースやカバーの形状が違う)DeArmond “Golden Tone” ピックアップなど、それそうなりの作りをしている所が興味深い。
それにしてもHarmony、H15やH53など型番の他に、”Bobkat” “Rocket” “Stratotone”などのモデル名がついているわけだが、このH75に関しては先述のような気合いの入った作りなのに対し”3 pickups”という、ネーミングセンスゼロの安易なモデル名なのは何なのか。
この時代のギターは「ピックアップやスイッチがたくさんついてるほうが偉い」という世界共通の認識があったわけで、我が国のTeiscoやGuyatone、英・伊製Voxなどを見れば一目瞭然、元を辿ればソリッドエレキギターの模範となったフェンダーがテレキャス、ストラトと来て、最高級モデルとしてのジャガーの登場を考えると、他メーカーが色々スイッチを付けたがるのも無理の無いこと。
話は逸れたが、このAクラスなB級ギター、3 pickupsをメインでガンガン使っているギタリストと言えば、The Black Keysのヴォーカルギター、Dan Auerbach(ダン・オーバック)その人。
「White Stripesが白ならBlack Keysは黒だ」なんていうベースレスのロックデュオの対比的表現もある。それはバンド名だけじゃないかと小バカにしていたものの、色白イケメンキャラのジャックと女ドラムのメグコンビが白で、髭ぼうぼうのむっさいおっさん二人がやっているのが黒、だなんてことを考えたりすると言いえて妙。
ダン・オーバックはハーモニーを始め、アメリカンB級ギターをこよなく愛していて、そういう意味でも機材周りは気になっていたものだが。昨年末に発売された『El Camino』が日本でも評価された節があるが機材情報は皆無、ここ何年も来日すらしてないから仕方ないか。
そう思っていたところ、アメリカの機材情報サイト、Premire Guitarで機材特集動画が!
アンプやペダルは勿論のこと、愛用するギターがズラリ。
メインで愛用しているHarmony 3 pickups(ダンはH75の後継上位機種にあたるH78を愛用)を始め、Guild Thunderbird、Supro、National、などなど、B級アメリカンビザールギターがズラリ!この動画だけで酒呑めるわー。
それにしても、H78と合わせてよくステージで手にしている1カッタウェイのギター、ずっとバーニー・ケッセルモデルあたりだと思っていたんだけど、StratotoneにP90を載せたものだったとは。勉強になります。
このPremir Gutarのチャンネル、新製品レビューであったり色々な動画があるんだけど、中でも注目すべきは”Rig Rundown”というプロギタリストの機材紹介動画、本人やギターテックが事細かに解説しています。
Brian SetzerやEric Johnson、Billy Gibbonsなんていう、全ギタリストは絶対見ておくべき巨匠たちからDJ Ashba (GN’R)、Kenny Wayne Shepherd(何故かケニーだけ44分もある)に至るまで、人選が完全にツボなんだけど、個人的に狂気乱舞したのはこの人ですね、
Nels Cline [Wilco] / Jazzmaster
変態インプロヴァイゼーションギタリスト、最近はWilcoのギターと言ったほうが通じるのか。
トレードマークのボロボロジャズマスターからダンエレクトロのダブルネック、Wilcoのステージでは弾いてるのを殆ど見かけないGuyatone製のペイントギター、激レアなドイツ製ギター、Hopeも紹介されてる。Charlie Christian Pickupを付けたジャガー、あまりにカッコよくていつか試してみたいんだよな、テレキャスターに付けてるのはよく見るけど、ジャガーに付けてるのはこの人だけ。
最後のほうにエフェクターを使用した演奏も少しあるけど、ネルスおじさんと言えば、『ピューと吹く!ジャガー』ならぬ『ピューと吹く!ジャズマスター』奏法(私が勝手にそう呼んでます)ピックアップに向かって「ブォーーーーっ!!!」て言ってるヤツ。あれを是非やって欲しかったところ。
冒頭でも紹介されておりますが、この人と言えば、Mastary Bridge、ジャズマスター/ジャガー使いは一度試す価値があるブリッジですな。サイバー感とレトロ感の共存する素晴らしいブリッジだと思う。Gretsch Syncro-Sonic Bridgeみたいだし。
そう言えば、テレキャスター用も出たんだよなぁ。ちょっと試してみたいところ。どうせだったら、一弦側のブリッジサイド削って欲しかったな、Jim CampilongoやDanny Gattonみたいに。
これのチューン・O・マチックタイプも出ませんかね、元々チューニング合うから作る必要ない?だってABRとかコマ不安定だし、弦高調整のネジ、弦外すと動いちゃうじゃなですか。でも一番は見た目で言ってます。
Mastary Bridge搭載したES-355なんて絶対カッコイイもん。いや、ES-335すら持ってないんだけど。
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本人にしても、ローディーにしても愛用ギターや機材紹介している姿はホントに生き生きしてる。
プロアーティストでも永遠のキターキッズの表情。
こういう機材紹介動画も映像と音があると雑誌より説得力が増すのは言うまでもないところなので、是非日本でも積極的にやってほしいところですよ、リッ○ーミュージックさん!