海外では古くから英国放送協会BBC LIVEのような公共電波を使ったアーティストのライブが放送されておりますが、それに比べて日本は少ないように感じます。昔はNHKやTBSによるラジオ局のスタジオライブもよくやっていたましたが、近年は殆どない。歌番組もバンドはいつからか当て振りが主体となり、生演奏で行われる機会もなく、まぁ、歌番組もほぼ無くなって来ている現状もあるわけですが。TBS『カミスン!』はアメリカCBS放送『Late Show with David Letterman』あたりを意識していると思うのだが、どうだろう。
日本はどうしても歌謡曲文化が土台としてあるので、テレビにおけるロック系バンドものの扱いは難しいところでもあるとは思うけど、往年のTVK『LIVE Y』やフジテレビ『FACTORY』的なライブ番組は頑張って欲しいものです。
海外ではネット動画を主体とした『〜Sessions』といったちょっと趣向の違う形でのスタイルのライブセッション動画が盛んに行われてアップされています。ネット動画系はテレビ・ラジオに比べてフットワークが軽く取っつきやすいのだけど、ネット上における著作権等に非常にシビアな我が国の保守的な姿勢では難しいんだろうなぁ。未だにオフィシャルの動画チャンネルすらないアーティストも沢山居るのが現状。
ちょっと、今回はそういった変わった趣向のセッション動画をいくつか紹介します。
Live on KEXP | KEXP 90.3FM
シアトルのラジオ局KEXPによるスタジオセッション。
壁一面に掛けられた電飾イルミネーショーンが印象的。
こちらは自転車屋のガレージで行うライブ。「何故に自転車?」と訊いてはいけません。
構図がシュールなシチュエーション。
Tiny Desk Concert | NPR Music
アメリカ、ワシントンにあるラジオ局NPRによる、Tiny Desk Concerts
NPRのオフィス内で行われるアコースティックセッション。“Tiny Desk=小さな机”の名の通りですが、キレイに整理されてるとはお世辞にも言えない棚をバックに、というのが実にいい味出してます。
ロックやポップスは勿論、クラシック、ジャズに至るまで様々なアーティストによるセッションが頻繁に行われています。
Bandstand Busking
“Bandstand”というのは、イギリス各所に古くからある野外ステージで、とはいえ、日本で言う日比谷野外音楽堂的なものではなく、丘の上にある屋根のついた休憩所的なものを想像してもらったほうが良いかもしれない。
画像見てもらったほうが早いか >> bandstand google画像検索
本来は小編成のブラスバンドや音楽団等が休日にちょっとしたフリーコンサートを行うためのもので、大小様々なBandstandがあるようだが、現在では使用されていない場合も多く、ならばそれを有効活用しようではないかと始まったのがこの企画。
休日の午後に演奏する側も聴いてる側も伸び伸びと音楽を愉しんでる独特のゆるさがいい雰囲気です。
SK* Session | SOUL KITCHEN
フランスの音楽情報ウェブマガジン『SOUL KITCHEN』による、SK* Session
世界的な有名アーティストというよりは本国ローカル向けのアーティストが主流ですが、フランスのインディーズシーンというのも興味深いところ。
アーティストに合った様々なセッション動画が公開させています。それにしてもどの動画も質感、色のコントラストがレベル高い。
4AD Session | 4AD
泣く子も黙るイギリスのインディーズレーベル、4ADのセッション
ここまで来ると一つの映像作品としてクオリティが高すぎる。しかも各アーティスト5,6曲のボリューム。ライブ映像を超えたMVというか、売り物レベル(実際後に販売する場合もある)
レーベルの各アーティストの持ち味を1曲のMVに収めるのではなく、複数曲のライブによって伝える、というのはレーベルのカタログ的要素として大きく宣伝効果になっているのではないでしょうか。
しかし、Blond Redhead然り、St.Vincent、Gang Gang Danceといい。
と思ったら丁度昨日付けでMark Laneganの動画がっ!!
やっべ、やっべ、これすっげ、
WEBSITE
The Mahogany blog
ロンドン発信、新進気鋭の音楽情報ブログ。ここはセッション動画を主としている節もあり、アーティスト情報を載せてはいるものの、明らかに中の人の好みが色濃く出ている選択。日本の音楽情報サイトって全ジャンル網羅で手広くやろうとしちゃうところがあるけど、海外ではこういった偏ったアーティスト選っていうのが結構あったりして、こういうほうがハマる人にはハマるのかも。
“Mahogany(マホガニー:ギター材として多く使用される木材の名称)”の名の通り、アコースティックセッションが主流です。
THE VDUB SESSIONS
’77年製フォルクスワーゲンワゴンの中で行われるアコースティックセッション、車内という密閉感の中アーティストとカメラマンのみ、古いワーゲンならではのエンジン音、適度な横揺れが妙にアットホームでほんわかさせられます。
BLACK CAB SESSION
車内ライブと言えば忘れてはならないのがこちら。ロンドンと言えばタクシー、BLACK CAB内で繰り広げられるセッション。
Brian Wilson、The Flaming Lips、Fiestなど層々たるアーティストたちが出演しており、この手のセッションでは最も有名な企画です。
http://vimeo.com/41351122
他アーティストはオフィシャルからどうぞ
BLACKHOUSE SESSIONS
個人的に大好きなのがコレ。ロンドンの路地裏というかシアトルのスラムっぽいというか、週末になると夜な夜な酒を持ち寄って騒ぎまくるというような、子供じゃ絶対近寄れない大人だけの秘密基地。
いやぁ、これちょっとホントに最高。
Boblog IIIやTom Walbankなんていういかにも、という人からSolange La Frange、Bubble Starなんていうちょっとアブない人まで。
こういうライヴハウス行きたいわー。
他アーティストはオフィシャルからどうぞ
こうして改めて色々見てみると、発案者の企画力を前提に、それを面白がっているアーティスト、必要最低限の楽器と自分の声さえあればどこでも音楽が出来るんだというフットワークの軽さを感じます。だから有名無名問わずに色んなアーティストが参加している。
仰々しいステージセットも照明も設備もないからこそ、身近に感じられる音楽、こういうことって今の日本の音楽シーンに足りないところでもあるのかななんて。
ネット上でこういう動画を見ることが出来るって、凄い重要だと思っています。