St. Vincent 鬼才アニー・クラークの奇才な機材周り’14

St. Vincent(セイント・ヴィンセント)のニューアルバムがいよいよ来週(2/25)発売ということで盛り上がって参りました。
前作『Strange Mercy』のときは日本盤発売が数ヶ月後だったり、初来日公演も取材なしの大して話題にならなかった気がしますが、、、

最近は国内ニュースサイトでもよく名前を見かけるようになったので、それなりに認知度は上がってきているのかなぁと。




先行試聴等で聴ける楽曲から察するに、昨年のデヴィッド・バーンとのコラボの影響が良い方向に出ているようで。ミステリアスさにファンタジック要素が炸裂した快作になるんじゃないかと。アーティストとしては大変魅力的で大好きな人なんだけど、『Strange Mercy』が名盤かと言えばそうでもなかったり。あのときは今後の方向性が定まってきた世界観の過度期、そしてそのツアーでそれは確立されたと思っております。

そんなこんなで過去に何度かマニアックな観点から、アニー・クラークについて、主にギター周りについて触れていますが、微妙に変わったところもあるようなので改めて。

アニーのことならおれにまかせろー!

使用ギター

Music Man Albert Lee HH

David Byrne & St. Vincent @ Bonnaroo 2013
photo by April Siese

デヴィッド・バーンとのコラボツアー時から、メインのHarmony Bobkat同様に使用頻度が高くなっているのが、このMusic Man Albert Lee HH。オプションでアーム付きのタイプです。

解る人だけ解るカッコ良さ。どうしてかな日本では不人気なこのシェイプ、海外では結構人気で、マイク・アインジガー(Incubus) など、個性的なギター選びをする人が使い出したり、女性ではKimblaやジュリエット・シムズ(Automatic Loveletter)も使っています。鋭角的で近未来感とビザール感が同居する不思議なシェイプ、これはアニーが使うのも必然といえば必然。

かくして私もSt. Vincentに興味を持ったきっかけが「Harmony Bobkatを抱えるアニーの姿」にヤラれたわけで、ギターの趣向が似ているんだなと勝手に思ってまして。下手の横好きでストラトをAlbert Leeに改造してしまったこともあったんだけど、その矢先にアニーがAlbert Leeを持ち出した!これは運命だなっ!

私事ですが、あの嘘っ子Lee、ただいま更なる大改造中でして。完成したらまたお見せします。今月中に出来ればなぁ。(現在塗装中)

しかし、このMusic Manという会社、日本だとVan HalenのAxis(旧EVH)のイメージが強く、テクニカルなHR/HMギタリストが好むギターという印象だけど、ジョー・ボナマッサがスティーヴ・モーズ・モデルやジョン・ペトルーシ・モデルをメインのレスポールと同等に使用したり、ジョン・フォガティ、イーグルス、ジョン・メイヤー、、、ヴィンテージギターを好むギタリストにも多く好まれているのが興味深いところ。

元はレオ・フェンダーの作った会社。アーニー・ボール社傘下になった現在のCEO スターリング・ボール氏は、アルバート・リーと旧知の間柄で、サポートベースを務めた敏腕プレイヤー。
キース・リチャーズの使用で有名になった、Silhouette(シルエット)は、アルバート・リー氏の助言の元、開発された。
スターリング氏がルカサーやモーズと楽しげに談笑する動画も数多く見られ、CEO自らアーティストとの連携、信頼があるのだなぁ、と。単にモニター契約とは違う何かを感じています。

どのモデルも一貫して斬新なインダストリアルデザインのシェイプとトーンブロックという、ストラトでいうなら、弁当箱ザグリを空けてから、一端マホガニーで全て埋め、そこに3シングルのキャビティを開けて、アルダーで蓋をするというような非常に拘ってる作りをしていたりと、伝統と現代テクノロジーの共存、他メーカーとは一線を覆してます。

このMusic Man Albert Lee、元々はエディ・ヴァン・ヘイレンの為に開発されたものの、気に入られず、逆にアルバート・リーが気に入って改良を加えて自分のモデルにしたんだけど。その3シングルを2ハムバッカーに!と唱えたのがブルース・サラセノ。
サラセノさん、このシェイプが大層気に入ったらしく、自分のモデルとしてラメフィニッシュを使っています。




2ハム仕様が製品化されたときのレビュー。“Many, Many Request!! Thank You!!!”本当にメチャクチャうれしそうなのがもの凄く微笑ましい。

Harmony H17 Bobkat

http://www.youtube.com/watch?v=k9xCXtZPwwA
話が大分それましたが、最新ライブ(2014/02/13)の映像からトレードマークのおなじみ、Harmony H17 Bobkat(ボブキャット)
ヴィブラートユニットがギブソン・ショート・バイブローラ(通称:板バネアーム)タイプに交換されています。Bobkatのヴィブラートユニットの基本構造は後期TeiscoやThomasに見られるような“はかない掛かり心地”のBigsbyの変化幅を更に狭めたようなタイプなので、音程変化としてはショート・バイブローラと似てるかも。多分オリジナルのユニットが壊れたのでしょう。オリジナルのユニットは勿論現行生産されているわけでもないので。

こちらはかつてのメイン機ではなく、サブ機に搭載されたものと思われます。変則オープンチューニングの楽曲で使用しているようです。

Guild Blues Bird

http://www.youtube.com/watch?v=PUYz1J-WkV4
こちらも先日(2014/2)のライブから。パっと見、以前から使用しているHagstrom Swedeのようだがどうも様子が違う。ヘッドには“Guild”の文字が。

Guildのレスポールシェイプと言えば、M-75ですが、これ、ヘッドストックがギルドの上に広がってるタイプではなく、ギブソンに近い形状。クラウンのインレイもナシ、ピックアップもDeArmond製ではなく、おそらくDiMarzio製。よって、60年代後期以降のBlues Birdだと思われます。ちょっとこの暗い映像だけでは判断しかねるんだけど。

よく、M-75=Blues Birdだと勘違いする人が多いのですが、Blues Birdというモデル名がついたのは後々になってからなので。だから正式には60年代初期までのM-75をBlues Birdと呼ぶのは正確にいうと正しくはない。
50年代の登場時にはセミアコースティック構造、60年代中期にピックアップがDeArmond製からDiMarzio製に。70年代にセミアコースティック構造からソリッド構造に変更。60年代中期頃に”Blues Bird”という名前が登場。ただ、Guildに関しては正式な資料が残っていなかったりもするので。
近年は”M-75 Aristocrat”という名称で50年代スタイルのM-75がリイシューされています。

<2014年11月追記>
2014年11月付けでGuildの輸入代理店が山野楽器からキクタニミュージックに変わってました。もしや?と思ったけど、フェンダー傘下じゃなくなったっぽい?Fender USAからもリンクが消えてました。現在の製造?はCordoba Musicというところのようです。

Pedal Board

前回、Eventideの動画を紹介しましたが、そのペダルボードの中身が固まってきました。

▼歪み
Z Vex Mastotron
Death By Audio Interstellar Overdrive

▼ピッチシフター/空間系
Boss Super Shifter PS-5
Eventide PitchFactor
Eventide Space
Moog Expression Pedal

▼電源
Voodoo Lab Pedal Power 2 Plus
Voodoo Lab Pedal Power digital
KORG pichblack PEDAL TUNER (Black Chrome)

これらを、RJM Music Technology社のMastermind MIDI Foot Controllerで制御している。
その他はカスタムによるバイパススイッチと、Tapのテンポスイッチ。

ケーブルはMogami & Swichcraft、
システムを組んだのはNice Rackというところ。

アンプは元々、執着心のない人だから決まってないんだけど。
デラリバだったり、JCだったり、ステージ上に置いてない場合もあるので、ラインで出してる可能性もあり。

多分想像しているよりもシンプルなセットなんじゃないかと。
ギターも安物が多いし。Music Manは他に比べればそこそこ高いけど。
エフェクターで奇抜にというよりも、プレイが変態なんですよ、やっぱりこの人は。

http://www.youtube.com/watch?v=NE7R4nKBK8Y

St. Vincent – Guitar Moves – Episode 8

フィンガーピッキングを中心にプレイについて語ってる。
こういうの見ると変態だし、ホントうめぇなぁと改めて思う。

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