テイラー・スウィフトが豪華ゲストを迎えて現在行っている『1989』ツアー。先日8月25日にベックとSt. Vincentが登場し、その動画がアップされたんだけど。
テイラーのスタイル、ハンパねぇな!
って、そこじゃなくてアニーさんが弾いてるギター。Crucianelli(G.Loveが使用して有名になった)や Galanti のようなイタリアンデザインっぽくもあり、でもヘッド見ると、ミュージックマン?…、謎だったんだけど、
とうとう全貌が明らかにっ!!
ついに、ミュージックマン(Music Man)からシグネイチャーモデルが登場ーー!!
なんだこの絶妙なシェイプはっ!? 〈ARMADA〉を基調としながら、直線的なラインは完全オリジナル。アウトラインは〈Gibson Explorer〉をなぞりつつ、ボディエンドの感じはクラプトンカットを思い出して見たり。クビレが微妙にオフセットされていたり、直線カットが入れられたコンターのエルボーカットは、彼女が近年愛用してきた〈Albert Lee〉のアイデアも盛り込まれている。まさにレトロでモダンなインダストリアルデザインの結集的シェイプですね。
アニーに関してはその音楽よりも、使用ギターが自分とツボすぎるということで魅かれた部分が大きいわけですが、ここまで好みが被るとは…。アニーおれだー(ry
肝心のスペックはローズウッドネックとアフリカン・マホガニーボディという、〈Albert Lee HH〉のスペックを継承。ボールピースなしのミニハムバッカーと、ミュージックマンオリジナルのいかつくも洗練されたアームユニット(MAJESTYと同じタイプ)が、無機質な近未来感を更に演出してる。
現地時間、8月27日に情報解禁ということで、まだプレオーダーの段階、価格は未定のようですが。スペックから判断するにそこまで高くないのかなぁ。Albert Lee HH が ¥328,000 だから¥400,000 くらいと目論んでる。買うな、たぶん。いや、作ろうか←
Albert Lee のシェイプが好きすぎて、真似して作ったこともあったけど(フリーハンドで試行錯誤したので、スターリング・ボール CEO の次にこのシェイプを知り尽くしてる自信がある)、ミュージックマンのデザインは、ギターにおける現代の洗練されたインダストリアルデザインの最高峰だと思ってる。単に奇抜なシェイプというのなら、いくらでもあるけど、行き過ぎていたり、操作性を犠牲にしていることが多かったり。でも、ミュージックマンってギターの王道を守りつつも、斬新で「〜っぽい」みたいのがない。そして、AXIS にしろ、Silhoutte にしろ、座っても立ってもすごく弾きやすいんですよね。BONGO ベースなんて、逆に弾きやすくて困るくらい。あと、“高級感がない”のもいい。そもそもフェンダーのギターって、工業製品における大量生産の象徴じゃないですか。工芸品というよりも道具としての楽器。そんなフェンダーの魂を受け継ぎつつ、別の形の独自性を作り上げた感がある。フェンダーとギブソン、そして、ミュージックマンとポール・リード・スミスみたいな新旧対照的な存在とでいうべきでしょうか。どちらが優れているというのではなくね。
〈マホガニー・トーン・ブロック〉という、アルダーやバスウッドの真ん中、ピックアップ付近のコントロールキャビティあたりにマホガニーを埋め込んでいたり、AXISなどのセルバインディングも、ボディ整形してから巻くのではなく、板の段階で溝を掘り、液状プラスティックを流し込んで固めてから、ボディを切り出していく、という斬新な方法がとられていたり。これは、世界最高ともいわれるNCルーター設備のあるアーニーボール・ミュージックマン社だからこその成せる技。他メーカーに比べて「当たり・ハズレ」の個体差が少ないのも特徴かと。
変に手広いモデルや、新製品を連発しないのも良いですよね。ヘッドストックがみんな同じだとか、どのモデルもみんな1本筋が通ってる、統一感。
スパーゼル(SPERZEL)ペグの真実
そういえば、ミュージックマンの特徴でもある4:2ペグのヘッドストックですが。困るのがリプレイスメントのペグ。通常6連と3:3のセットを混ぜて使うか、バラで買うか…。でも、あまり知られていないけど、ゴトーやスパーゼルなどは、「ミュージックマン用」と頼めば用意してくれる。楽器店には置いてないので、受注だけど。ただ、そのシステムを知らない楽器店がほとんどなので、店員に頼んでも断られる場合があります。でも、そこは食い下がるべき。
と思っていたのだけど、驚くべき事実がっ!
なんと、自分で組み換えられたのかっ!ヒップショットのペグは自分で右用・左用と組み換えられるのを売りにしてたけど、スパーゼルもそんなことができるとは。というか、なんか日本でのスパーゼルの扱いって、人気の割に、ちょっと不毛ですよね。“TRIM ROCK”という、ロック式ペグのイメージが強いけど(というかそれしか日本では流通してない)、海外では通常の巻きペグとしての地位も高く、モデルやボタンの形状、カラーバリエーションも豊富なのに日本では手に入らない。
本家サイトはモデルもカラーもたくさんあるので、見ていて楽しいです。
一昔前までは「ロック式のほうがチューニング狂わない」なんて言われてたけど、そんなことはないですから。ちゃんと巻けば問題ない。むしろ「弦交換が容易」というメリットだけです。あとは、重量でしょうか。見た目によらず、スパーゼルは普通のロトマチックより軽いです。シャーラーが1個約35g、スパーゼルは約32g、ちなみにクルーソンは約25g。この重量がどれくらい音に影響するのかはなんとも言えないけど、私はペグは軽ければ軽いほうが良いと思っています。ルックスの好みもあるかと思いますが、自分は先述のように近未来っぽいインダストリアルデザインは大好物なので、スパーゼルのルックスはたまりません。
余談ですが、私が作ったニセ・バートリー。ボディ継ぎはぎだらけだし、むちゃくちゃやってたけど、どうなったんだ?とお思いの方が居るかは解りませんが、絶好調です。むしろ自分の所有ギターの中で一番“鳴り”が良い、ということもあり、ほとんどこれしか弾いてません。ライブもレコーディングも実戦でも使ってます。機材整理したいなとも思っていたこともあり、おかげでVanzandtのテレキャスもフェンダーの65年ジャガーも、手放してしまいました。電装系はまだいじる余地はあれど、ギター本体の問題は何一つなく。
久々にギター作り始めました。解る人には解るこのシェイプ(苦笑)。
このとコントロールキャビティからどんなギターを狙っているのか、好みが似てる人とは良いお酒が呑めそうですね!
また気長に作ります。