ギター弾き語りというと大抵の場合、アコースティックギターを連想するものだけど、エレキギターの弾き語りというのも趣があって良いものです。
基本歌とギター、大袈裟なアレンジはなく、時折、ドラムやベースが味付けの程度に被さる。3ピースロックバンドのようなバンドサウンドではない。ギターソロらしいこともしなければ、パワーコードで刻むことも少ない。どちらかと言えばアコギのアプローチに近く、つま弾く感じだけどアコギよりはプレイの幅は広がる。アンプはちょっと小さめのチューブアンプ、基本はクリーンなんだけど、力強く弾くと歪む。アンニュイな感じが肝となる。
アコギとはまた一味違った素朴さを感じさせます。このスタイルを好むシンガーも多く、アコギ弾き語りスタイルに比べると、無機質、退廃的でちょっとひねたスモーキーな歌声を持つ人たちが多いのも特徴です。
また、使っているギターも王道から少し外れた、ちょっとクセのあるモデルを使っていることが多いですね。
Julie Doiron
via: The Spine Magazine
カナダ人のSSW、Julie Doiron(ジュリー・ドワロン)
シンガソングライターとしての才能は勿論、ギターのみならずベース、ドラムなどマルチプレイヤーとして、そして大学時代に写真の勉強をしていた経緯で写真集も出しており、高い評価を得ている。ジャケットも彼女自身が撮影したものが使われることが多い。
SUB POPからリリースしたEric’s Tripというバンドを経て、ソロ活動。作品はエレキギターに歌のみが基本で、寂しげな陰のある楽曲が特徴的。
彼女が産まれたカナダ・モンクストンはフランス移民が多く、英語とフランス語両方が公用語となっている。この人も『Desormais』というフランス語のアルバムとそれとコンセプトが対称になる『Heart and Crime』という英語のアルバムを出していたり。
何といっても、物憂げな歌声とそれに呼応するかのような絶妙なタイム感のギターが特徴的。テクニックだったり、力強さを感じるギター弾きは多かれど、この人くらい説得力のあるストロークする人は中々居ない。
メインギターはHagstrom Swedeです。ヘッドがメチャクチャかっこいい。
Trixie Whitley
オルタナティヴ界隈でフォーク・ブルースなどのルーツミュージックを取り入れ異才を放っていたChris Whitley(クリス・ウィートリー)の娘さん、Trixie Whitley(トリクシー・ウィートリー)
ボブ・ディラン、ニール・ヤング、U2などのプロデュースの大巨匠、Daniel Lanois(ダニエル・ラノワ)が自身のソロ活動などを経て行き着いた先がこのトリクシー嬢を迎えてのBlack Dubというバンドだった、というくらいダニエルをも虜にした彼女の魅力はその声。
20代前半とも思えない貫録に満ちあふれたハスキーなスモーキーボイスはまさに「聴く人を歌でねじ伏せる」という説得力。
Silvertone、Gibson Melody Maker、などB級なギターを好む彼女だが、何と言っても写真で持っているSupro Dual Tone。死ぬまでに一度手にしてみたいギター。最近は殆ど見かけることもなくなってしました。たまにebayに出品されることもあるけど手が出ない。
一応、リイシューも出てるようですが、生産本数が少なくて日本には入ってこない。Eastwoodからも出てますが。
Supro Amps
>> suprousa.com
Rakuten
Cat Power
via: Matador Records, Photo by Steve Gullick
9月に6年ぶりのオリジナルアルバム『Sun』のリリースを控え、衝撃の短髪アー写が話題になっているCat Powerこと、Chan Marshall(ショーン・マーシャル)
Cat Powerと名乗っている割には「犬派で、大の猫嫌い」というところにひねくれ者っぷり全快。
近年はバックバンドを従え、ハンドマイクスタイルでライブを行っている彼女ですが、やっぱり初期作品に見られるDanerectroを抱えながらの弾き語りスタイルは堪らないものがあります。
ダンエレのリップスティックピックアップ特有の、ある一定の周波数がごっそりなくて鼻詰まりサウンドなんだけど広域は抜けてるクリスピーサウンドの合間を縫うようなハスキーボイス。
http://www.youtube.com/watch?v=vktyEV1yrCk
Danelecto U1、Silvertone 1448など使用しておりますが、この動画のSilvertoneのfホール付きギター(50年代?型番不明)がカッコイイなぁ。
ダンエレと言えば、現行品が日本の代理店・共和商会がなくなってキクタニミュージックとなってから本数がめっきりなくなっていた印象ですが、最近ニューモデルが続々登場してきました。
目を惹いたのが、世界で一番キモカワイイギター、Dano Pro。数年前にもリイシューモデルはあったのですが、ヘッドの形など細かいスペックがイマイチで、、、今回は割とヴィンテージモデルを継承してるスペックで蘇りました。
Scout Niblett
Photo by Loppen Christiania
イギリスの退廃的SSW、Scout Niblett(スカウト・ニブレット)
ときにフォーキーであったり、ソウルフルでもあるのだが、音数の少ないサウンドにヒリヒリとする緊張感溢れるヴォーカル、突然爆発するようなギターなど、まさに奇想天外というか先の読めない人。
長年スティーヴ・アルビニのプロデュースというのも納得でもあるけど、この彼女の本質はロックよりもブルースなんだな、ということを沸々と感じます。
ムスタングやジャガーなど、スケールの短いギターが好みのようで、サスティーンの短さを逆手に取ったオルタナ節なプレイが特徴的。
そう言えば、先日Squireのカタログ新しいカタログを貰ってきたのですが、スクワイヤーからムスタングに続いてヴィンテージスタイルのジャガー/ジャズマスターが9月に発売になるとか!今まではアーム無しのよく解らない仕様だったから。今度はちゃんとフローティングトレモロ付きです。しかも定価が5万だから本当にフェンダー・ジャパンを潰しに掛かってきてるな、本家フェンダーさん、、、
Anna Calvi
イギリスのシンガーソングライター、Anna Calvi(アンナ・カルヴィ)
この人はロックギターじゃなくて、クラシックギターやジャズなどを完全なる独自のスタイルで取り入れた新しいタイプのギターヒーローというか、そういう意味ではスタイルは違えど、St. Vincentあたりに通じるアプローチで、作品自体はFlorence + The Machineあたりのゴージャス感もあったり、上記の人たちとは歌を含めて全然違うタイプなんだけど、NPR Music のTiny Desk Concertがあまりに素晴らしかったので紹介。
本当にこの人のギターは聴いていてゾクゾクする。
歌も生声でこれかよ、、、
次のアルバムは是非とも歌とほぼギター1本のみで作って欲しいです。
ギターはAmerican Standard Telecasterでしょうか。
かなり弾き込まれてます。フレットはかなり太めのものに打ち変えられている?