男は黙ってボトルネック!ってことで、酒を片手に熱くなるスライドギター+ブルースロック特集。
デュアン・オールマンのような往年の名手ではなく、今のインディーシーンの土臭い人たち。ライ・クーダーやデレク・トラックスのようなまったりとしたスライドギターというよりもオルタナティブで今っぽいロックな人たち。
ブルース・カントリーに馴染のないロックファンにもオススメしたいオルタナティブロック寄りの“Lo-Fi Bluse”なんて呼ばれて親しまれている人たち。
「チューニング?何それ?おいしいの?」って感じで行きますよ。
The Blackwater Fever
オーストラリアのロックデュオ、The Blackwater Fever(ザ・ブラック・ウォーター・フィーバー)、アツイ骨太ギターが炸裂
ギルド!ギルド!Guild StarfireはGibsonのESよりかなりエッジ立ってるサウンドだからスライドに向いてますね。
iTunes
Left Lane Cruiser
USインディアナ州、Fredrick “Joe” Evans IV (guitar, vocals) と Brenn Beck (vocals/pecussion) の二人組、Left Lane Cruiser(レフト・レーン・クルーザー)
強面の風貌とは裏腹に、農業の歌が多かったりする。「おれの作った豆は最高だ!」とか。外国の歌詞って何気にそういうの多いし、ブルースあたりだとそういう他愛のないこと歌ってる場合が多いですからね。
Left Lane Cruiser: Deep Blues Festival
テンション高めのライブ感、ゴキゲンスライドギター、やっふー。やけにボディの薄いストラトだな。
Honkeyfinger
ZZ TOPを敬愛し、長い髭をたくわえている、ロンドンの Honkeyfinger(ホンキーフィンガー)
ギターを弾きながら歌い、足でバスドラを踏んでリズムを刻む、日本でもそういうストリートミュージシャンなども居ますが、本場・アメリカではこういう演奏形態を“One Man Band”と呼びます。
彼の興味深いところははジョンスペやホワイト・ストライプスの影響を受けているというある意味今時のブルースマン。”HOWLING ACID SWAMP BLUES”という彼の音楽からはギターの叫びとブルースの叫びが。
ギターなのかハーモニカ(も入ってる曲あるけど)なのか解らない図太いラップスティールが凄い。ヴォーカルスタイルはジョンスペやジャックのヒップホップ要素が強い。
-BluesRules- Honkeyfinger
ライブでもラップスティールの爆音が炸裂してます。
Boblog III
スライド+ワンマンバンドの名手と言えば、この人を忘れてはいけませんね。デルタブルース・ワンマンバンド、Boblog III(ボブログ三世)
ちょっと前に日本でも少し話題にはなったけど、最近は、、、やっぱりこういうルーツミュージックは日本ではダメなんでしょうか。アメリカではカリスマ的人気を誇ってる人です。
Silvertone (KAY製) のアーチドトップギターがなんとも言えないサウンド。スライドブルースというある意味マニアックな世界を解らない人、若い世代にも楽しめるようなところに持って行ったエンターティナーとしてのこの人の功績は大きいんじゃないでしょうか。
Black Diamond Heavies
John Wesley Myers (bass keys, Fender Rhodes, organ, and lead vocals), Van Campbell (vocals/drums)の二人組、Black Diamond Heavies(ブラック・ダイアモンド・ヒーヴィーズ)
スライドギター特集だと言っておきながら、ギターは入ってません(爆)
いやぁね、何と言ってもFender Roadsが素晴らしくて。パっと聴くとギターみたいなんですよ。上の動画、音が逆位相になってるけど、めちゃめちゃカッコイイライブです。
Fender Roadsって、〈電気ピアノ〉という部類になります。
世界三大電気ピアノと言えば、このFender Roads(ローズ)とノラ・ジョーンズで有名なWurlitzer(ウーリッツアー)、そしてヤマハのCP。
今、アップライトピアノにかわり、家庭内のピアノの主流になっている〈電子ピアノ〉とは違うものです。
〈電気ピアノ〉英語で言うと、”Electric Piano”(エレクリックピアノ)、電子ピアノは”Electronic Piano”(エレクトロニック・ピアノ)、”Degital Piano”(デジタル・ピアノ)。
構造的な部分を解りやすく簡単に言えば、
BLACK DIAMOND HEAVIES Binic Folks Blues Festival 2011
ギターとドラムのロックデュオと言うスタイルは珍しくはないけど、鍵盤+ドラムでここまでロックできるのかと。
Seasick Steve
そしてこの人も忘れてはいけません、スライドギター界の人間国宝、1941年生まれの71歳の船酔いジジィ、Seasick Steve(シーシック・スティーヴ)
カリフォルニア出身、60年代からセッションミュージシャン、レコーディングエンジニアとして活動の後、放浪ののち、現在はノルウェー在住。デビューは2001年、60歳でデビュー、68歳の時にイギリスを皮切りにブレイク。フジロックで来日も果たしました。
この人は何と言っても、3弦ギター。ボロボロ落書きだらけのTeisco EPにDearmondピックアップをガムテープで止めてるだけというお粗末なギターがむちゃむちゃカッコイイ。
アメリカではシガーボックス・ギター(ジャグリングじゃないよ)、葉巻の箱に木の棒を取り付けて弦を張っただけ、というDIY楽器が近年大流行しておりますが、そんなシガーボックス・ギターの主流は3、4弦。
究極は1弦ギターなんてのもありますが。ヨーロッパのリュートからの復弦ギター史とは別のところで、1800年代に黒人が木の棒に1本の針金を張っただけという単純明快なギターがブルースの原点とも言われてます。
ジャック・ホワイトが映画『Get Loud』冒頭で釘打って作ってるヤツ。
この1弦ギター、“Diddley Bo”(ディドリー・ボー)なんていう愛称で親しまれています。
こういう発想って日本人じゃ無理だったでしょうねぇ。そもそもアメリカと比べるとスライド・ギター人口が圧倒的に少ない。
Brushy One String
1弦ギターと言えば、”Diddley Bo”ではなく、普通のギターに1本しか弦を張らない人、そのまんまの名前、Brushy One String(ブルーシー・ワン・ストリングス)
スライドギターではないし、ジャマイカン・ブルース、レゲエに近い人だけど。
チューニングも関係ない、コードの押さえ方を覚える必要もない、それがスライドギターの魅力かと。
ギターも音楽を演奏するのも聴くのも、小難しいことは考えずに良いものは良い、楽しければ問題ない、そんな原点を感じるスライドギターの世界。