長渕剛『僕のギターにはいつもHEAVY GAUGE』しかり、スティーヴィー・レイ・ヴォーンしかり、昔は「太い弦こそ至高」などと11-52あたりを張っていたのだけれど。いつしかそんなこだわりもなくなり、ここ数年は定番中の定番の蛍光イエロー、アーニーボールのレギュラー・スリンキー。良く言えば洗練された、悪く言えば面白みのないデザインが多いギター弦のパッケージの中で、ずーっと変わらぬワシのアメリカンなデザインがカッコよく思えて。ジャケ大事。張ってみたら「いいじゃん、いいじゃん」。考えてみればひねくれ者の私、このド定番メーカーをずっと避けてきてほとんど使ったことがなかった。
張りたてよりもくたびれた弦が好き。アーニーも張ってから1週間くらい経ってからがちょうど良い。むしろそこからが本番だ。私は乾燥肌で手汗をかかない体質なので、弦が錆びにくいこともあり、数ヶ月、下手すれば1年以上弦交換しない。フェンダーのクルーソンタイプのペグは縦穴式で弦を外すのが楽ちんなので、ゆるめて外して、指板を拭いてまたその弦を戻したり。
テレキャスターのネック交換を機にもっと細いゲージを試してみようか、と思っていたときに出会ったのがこの<Classic Rock N’ Roll #2251 Pure Nickel>。ああ、これだこれだ。新品なのに、くたびれてる感。
ワウンド弦にピュア・ニッケル・メッキ・スティール・ワイアーを採用したモデルで、1960年代にアーニーボール社が初めて販売した弦がこのシリーズです。ピュア・ニッケルのサウンドは、豊かで深みのある魅力的なヴィンテージ・トーンが特徴です。
—— Regular Slinky Classic Rock n Roll Pure Nickel Wrap Electric Guitar Strings
袋から出したとき、ピンッとほどけるのではなく、ヌルヌルッとほどける。あれだ、花火のヘビ玉みたいな。普通の弦より湿った感じで、わずかに重いのかな、質量自体が大きい気がする。テンションはレギュラースリンキーと変わらないけど、素材的にしっかしりしているので独特の“張り”がある。それでいて肌触りが優しい感じ。サウンドは倍音が少なくて落ち着いてる。普通のスリンキーが紐だとしたら、これは注連縄。すごくいい、この弦。
ピュアニッケルといえば、GHS strings<NICKEL ROCKERS>が有名で。エリック・ジョンソンのシグネイチャーモデルが出ているのは有名だけど、当のエリック本人はダダリオのピュアニッケル弦<EPN110>を使用しているという話はあまり知られていない。