デンマークインディーロック特集、先日の〈オサレでキモカワイイ!レゴ王国・デンマークのインディーロック特集〈女子編〉〉に引き続き、デンマーク特集後半戦です。
前回は女性アーティスト篇でしたので、今回はそれ以外の男性を中心とした男前なアーティスト。
Sleep Party People
Brian Batzという人物が中心の5人組のアンビエント・シューゲイザー・エレクトロニカ、バンド、Sleep Party People(スリープ・パーティー・ピープル)
ウサギの覆面で正体不明のヴィジュアルと北欧エレクトロニカのキラキラ感とどこか退廃的なポストロックを感じるような何とも言えぬ音楽性が日本でもエレクトロニカファンの心を鷲掴みにしたバンド。
中性的なヴォーカル、ボコーダーを駆使して、実際本国でも歌詞がよく解らないらしいですが(苦笑)、そこは声も楽器ということで良いんじゃないでしょうか。
好みは分かれると思うけど、不気味さキモカワイさを強調するようなウサギの覆面、この辺りは前回紹介したGiana FactryやOh Landも被り物してることが多かったり、デンマークを象徴するような感性、文化なのかもしれません。どこかメランコリックというか、お伽話の香りがあるんですよね。他国でもそういう被り物あるけど、北欧は独特の雰囲気があります。こういうのとか。
『不思議の国のアリス』挿絵で有名なJohn Tenniel(ジョン・テニエル)風のジャケットカバーワークもちょっと不気味でお伽話要素を強めていて良い感じです。
中々衝撃的な内容のMVですが、後半のぶっ壊れアレンジが美しい。
アンビエント+シューゲイザーってありそうで無かった?後半のぶっ壊れアレンジが本当に美しい。大事なことなので(ry
WhoMadeWho
日本ではAC/DCの楽曲『Who Made Who』のほうが有名なのかもしれないけど、(バンド名の由来はそれなんだけどね)ダンスエレクトロ・ロック3人組、WhoMadeWho
ドイツのディスコレーベル、Gommaレーベルから2003年にデビュー。独自のディスコロックと個性際立つポップセンスで人気のバンドですが、日本では(ry
ちょっと胡散臭そうなオッサン3人組(ヲイ)が奏でるハイセンスポップ、kraftwerkあたりのアプローチもあるし、Daft Punk, Soulwax近辺の絡みもあるようだし、日本でももうちょっと評価されてもいいんじゃないかと思ってるんですけどね。
シュールなドラマ仕立て、なんとも、、、なMV。2曲分繋がっておりまして11分あります。
音源よりライブはロックです!欧州でも歴史ある大型フェス、Roskilde Festival(ロスキルド・フェス)からの映像。
いくら母国アーティストとは言え、こういうジャンルのバンドでこの盛り上がり、日本だとここまでは。ホント、デンマーク国民のみなさんの音楽性のレベルを象徴してるな、ヘッドライナーかと思うくらい。(この年のラインナップはThe Raveonettes, Portishead, M.I.A, Arctic Monkeys, The Strokesなど)
ちなみに〈欧州5大ロックフェス〉とか〈世界3大ロックフェス〉なんていう言い方があるみたいだけど、あれ日本でのみの言い方だし、そもそも根拠やソースがよく解らないんだよなぁ(3大ギタリストのように正式にメディアがそういう呼称をしてるわけではない)。恐らく動員数で言っているんだと思うんだけど、国が違えば母体の人口数が違うんだから比較対象にならないと思うんですよ。アメリカ三大フェス(ロラパルーザ・コーチェラ・ボナルー)なら解るんだけど。
Cours Lapin
「Vanessa ParadisをSigur Rósがプロデュースしたかのよう」なんていう、うまいレビューもあるみたいなんですが、Louise Alenius(ルイーズ・アレニオス?)擁する4人組、Cours Lapin(クー・ラパン)
それこそ冒頭の表現、フレンチポップ、シャンソンの北欧解釈という感じで素晴らしいアルバムだったのですが、情報が2011年の状態で止まってる?!解散したのか?それすらも情報ないんですけど。
デンマーク名物!?奇怪な踊りキターーー!!ゾンビ幼女!キモカワイイ!!
Oh No Ono
Oh No Ono(オー・ノー・オノ)、ある意味、お伽話王国のデンマークらしいバンドだなとは思っていたのですが、知らない間に解散しておりました。
でも、ステキなバンドなので紹介しておきます。
もう“不気味・被り物・キモカワイイ”というシュールなMVはもはやデンマークロックのキーワードとなっているわけですが。
もうひねくれポップ通り越して確信犯なポップセンス、もっと見たくなるバンドでございました。
1stアルバム『Yes』(2008)はハチャメチャ感、2nd『Eggs』(2010)はぐっと北欧音楽の深みみたいなところを追求した落ち着いた作風になるんだけど、やっぱりどちらも基本的なセンスがぶっ飛んでます。
『Eggs』のジャケットが2パターンあるんだけど、
おい、これでも同じアルバムなんだぜ
The Rumour Said Fire
2008年にデビューしたフォークロックバンド、The Rumour Said Fire(ルーマー・セッド・ファイアー)
落ち着きのある歌声、小難しいこと考えずに良い音楽だなと思えるバンドです、素晴らしいですね。
Passion Pitと一緒にライブやったりしたことあるみたい。
このバンド、特にアコースティックサイドが素晴らしいんです。
軽快なアコギと美しいハーモニーヴォーカルが印象的な曲。山小屋で踊る女性のMVと共に何とも言えない多幸感。
ちょっと古い映像(2009年)だけど、ヴォーカルのJesperの両親宅で行われたアットホームな雰囲気でのステキなアコースティックライブ。やさしいハーモニーの歌声がなんとも言えません。
『The Life And Death Of A Male Body』というEPが一番アコースティック色強くて好きなんですけど。ジャケットも良い。
先月リリースになった最新アルバム『Dead Ends』含め、日本での取り扱いはないようです。
1stアルバム『The Arrogant』はAmazonにありました。
Under Byen
デンマークで最も美しいバンドと言われている、Under Byen(オナ・ビューエン、英語読みだと“アンダー・バイン”ですが)
妖精ヴォーカル、Henriette Sennenvald(ヘンリエッタry)率いる、ピアノ、チェロ、ヴァイオリン、パーカッション、ハーモニカ、木琴などなど、様々な楽器を巧みに絡めた幻想的な8人組。
神秘的なサウンド、魔法を唱えるような演奏となんとも言えない妖精系ヴォーカル、ヘンリエッタの歌声が特徴的。この手の音楽を語るときに決め台詞のように言われるのが「Björkのような」。確かにヘンリエッタの歌はBjörkを彷彿とさせるところもあるのだが、音楽性は全く異なるので比較対象にはならない。どちらかと言えば、Múmやamiinaに近いと思うんですけど。
日本において北欧音楽を語るときに良くも悪くも弊害になるのがBjörkとSigur Rósで。ヒットチャートとは無縁で独自の世界観で成功を収め、オシャレ音楽風潮というか通好みとされる音楽の代名詞となってしまったのはなんというか。Björkの出世作『Homogenic』(1997)、日本での本格ブレイクが『Dancer in the Dark』(2000年)と仮定するのなら、Under Byenのデビューは1997年なので、どうにもこうにも。MEWが『Frengers』(2003)の世界デビューから『And The Glass Handed Kites』(2005)の日本でのブレイクを経て、北欧ロックならびにデンマークの音楽が日本でも注目されつつあった中、2005年にこのUnder Byenのセカンドアルバム『IT’S ME KEEPING TREES TOGETHER』の日本盤リリース(本国では2003年発売)。
結果的には成功と言えるものでは無かったどころか、Björkと比較され、あまりにも真っ当な評価とは言い難い辛口レビューが数多く存在したのも事実。個人的にはもっと深く彼(彼女)らの音楽と向き合ってみて欲しいなとも思ったりしたのだが。散々こんなこと言っておいて、あれなんですが、要は個人的な琴線に触れるかどうかだけの話なので。私は大好きです。
円形のコンサートホールでのライブ。なんだこれ、フル尺で見たい!こういうの見るとある意味ライブバンド(という形容が当てはまるのかわからないけど)なんだなというのを改めて感じました。
オフィシャルよりもちゃんと情報がまとまってるファンサイトも張っておきます。
FANSITE
Nephew
2000年デビュー、デンマークの国民的人気を誇るバンド、Nephew(ネヒュー)
ドンズバ80’sといいましょうか、ちょっと古びたニューウェーヴ・オルタナポップの遊び心。デペッシュ・モードあたりをもうちょっと親しみやすくした感じ。
Simon Kvamm(シモン・クヴァム)は俳優・TVスターとしての側面を持っていたり、他メンバーも医者やアーティスト事務所で働いていたり、このバンドは本業というわけではない様子(苦笑)。そんな肩の力が抜けた姿勢が良い具合に音楽性に現れているとも。
基本は全てデンマーク語で歌われており、デンマーク語流の韻の踏み方が特徴的(デンマーク語解らないけど)。『En Wannabe Darth Vader』(ダースベイダーになりたかった:デンマークの某政治家を皮肉った歌らしい)、”Britney Spears er sød, Kurt Cobain er død〜”(ブリトニーはかわいい、カートはしんだ)なんて歌詞はもうふざけてるんだかよく解らないけど、サウンドと楽曲のクオリティはもの凄い高いです。
良い歳のおっさんたちが何やってるんだと言いたくなるようなMV。崖や海をバックにしたMVは多いけど、思いっきり海にめがけて演奏している構図はありそうでなかったのかも。楽曲の賛歌的要素と相まって物凄いシュールです。
ちょっと前の楽曲(2006)だけどNephewの人気ナンバー。すげーかっこいいです。
Nephewの国民的人気がいかほどのものかと言えば、サッカー 2010 FIFAワールドッカップ、デンマーク代表の公式応援ソングを担当してます。それがこの曲。私みたいなロック好きからすると大絶賛なかっこいい楽曲であることは間違いないんですけど、サッカーの応援ソングとしてはどうなんでしょうか。サッカー詳しくないんだけど、日本代表の応援ソングってEXILEやSuperflyあたりでしょ。
いやぁ、こういう音楽が国民性として現れるデンマーク、、、やはり凄い。。。
WEBSITE
今月頭にリリースされた現在デンマークでヒット中『Hjertestarter』を含め、5枚のアルバムをリリースしておりますが、基本的に日本での取り扱いはナシ。
2009年発売の『Danmarkdenmark』だけAmazonにありました。
以上、これでも絞りに絞ったデンマーク特集でございました。
他国ではあまり見られないような音楽性のアーティストを集めたので、ちょっと変わったオルタナ寄りになっておりますが、比率的にみるとこの手のアーティストは多いです。実際、NephewやWhoMadeWho、Under Byenが絶大な人気を誇っていたり、Emma Acsが「今一番注目すべきアーティストだ」なんていう評価がメディアで紹介されていたり、ちょっとおかしな趣向を持っている国(褒め言葉)であることは確かな気がする。そもそもThe Raveonettesが一番人気なロックバンドというのもおかしい気が、、、
今年のオリンピック開会式・閉会式では音楽大国イギリスの神髄を見た気がしましたが、デンマークでやったら、、、
良い意味でUS/UKの影響を受けていない独自性のあるアーティストがたくさん居ます。
北欧と言えば、北欧メタルもあるわけですが、スウェーデンに比べるとメタルバンドが少ないのも特徴的だし、意外とデンマークのバンドがスウェーデンでウケていなかったりもするので、一概に北欧という括りで片づけられない部分がありますね。
今回、デンマーク音楽に触れてみて、改めて色々思うところがあり、音楽以外の部分も色々調べてみたんだけど、やっぱりデザインの分野、キャラクターはおろか、日用品のプロダクトデザインに至るまで、色使いやアクの強さ、単純に個性的という言葉では片づけられない部分が想像以上、沢山ありました。結構、カルチャーショックだったんですけど、、、
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家具デザインで有名なヤコブセンもそう言えば、デンマーク人だったななんて思いつつ、
あのね、本当にこういうデザインの家具や日用品や町並みやら生まれた頃から毎日眺めてたら感性も研ぎ澄まされるわ、、、
こういう音楽やMVが生まれるのも自然なながれのような気がしました。
「国民満足度」世界一の国は伊達じゃない。
や っ ぱ 、 デ ン マ ー ク お か し い よ
初めまして.Nephewの情報を求めてたどり着きました.用事でデンマークに行ったときに,D-A-Dの新譜を求めてCD屋に入ったときにNephewという人たちのアルバムを店内で流していて,いっぺんに気に入って買いました. 確かにDepeche Modeっぽいですね.
お店の人も”Great album”と紹介してくれました.
ご来訪有難うございます。
Nephewいいですよね、もっと日本でも評価されて欲しいです。D-A-Dもデンマークでは国民的な人気ですけど、日本ではその畑の人くらいにしか知られてない気もしますね。Nephewはそれ以上というか、せめて音源くらいは日本でも手に入らないかなぁなんて思っております。