雑誌の仕事絡みでディスクレビューを頼まれた1枚、Poppy『I Disagree』が大傑作すぎたので自分のブログでもプッシュしたいと思います。
Poppyこと、Moriah Rose Pereira(モライア・ローズ・ペレイラ)YouTubeから誕生したアメリカの美少女で、日本の“Kawaii”文化が大好き。そのため、日本でもファッション媒体方面でプッシュされていたために、何となく存在は知っていたんだけども。
2015年に「I’m Poppy.」というフレーズを10分間ひたすら繰り返す、という狂気の動画が1000万回以上再生され話題に。その他にも聖書を読んでいるだけであったり、綿あめをひたすら食べているだけの動画など、そのミステリアスな存在が世界中で注目となっていた。
2017年にアーティストデビュー。1stアルバム『Poppy.Computer』のリードトラック「Moshi Moshi」はタイトル通り日本の香りがするポップナンバー。80年代歌謡、ニューミュージックなサウンドとキュートなメロディが中毒性を誘う。
そんな彼女がメタルに傾向しているという話でして。
メタルというか、ヘヴィロック好きホイホイ
今年1月にリリースされた最新アルバム『I Disagree』は、2020年型“サイボーグロック”というべきか。もしhideが聴いたなら、全力で悔しがりながら『WooFer!!』(hideが選んだ海外の面白そうなインディーアーティストのオムニバスアルバム)に入れそうなサウンドが満載。
Tommy heavenly6がWihte Zombieと悪巧みしちゃいました、みたいな雰囲気で。曲によってはzilchっぽかったり、ウェス・ボーランドもいるぜよ!というようなノリが次々と襲ってくる。サウンドも最近のラウドロックじゃ聴けない、蠢くような“爬虫類っぽい歪み”が満載。サンプラーっぽいシーケンスの使い方のツボ。インダストリアルな無機質感と破壊性、それでいて歌はキュートでキャッチー。そこがなんか狂気性を帯びているわけ。
海外だから“メタル”の括りなわけだけど、日本のヘヴィロック好きにはたまらない音。インダストリアルからのデジロック、ミクスチャーロック直撃世代の琴線にビシバシ触れてくる。
MinistryやNin Inch Nails、はたまたMarilyn Mansonのような、インダストリアル〜ヘヴィミュージック直系というわけではなく、ポップスを一旦経由しているのがサウンドにも現れている。そこが自分的に“サイボーグロック”を感じたところでもあって。J-POP/J-ROCK/V-ROCKがある程度海外に認知された昨今で、DIR EN GREYをからKORNを知る、みたいな向こうの若者も増えている今の時代らしいアーティストだなぁと思ってみたり。
hideもそうだったけど、近年でいえばBABYMETALであったり、洋楽オマージュをポップスに落とし込むのは日本特有の文化でもあるわけだけど、Poppyって、そういう日本文化によって昇華させられたものを逆輸入するカタチで再解釈しているような気がするんだよね。魅力はそこだけではなく、レディ・ガガ的なカリスマエレポップ感やビリー・アイリッシュのようなダウナーな感性も持ち合わせているし、K-POPのようなポップミュージックのトレンドもきちんと抑えている。
親しみやすさと得体のしれなさのバランスが絶妙なのだ。
ライブパフォーマンスの佇まいも、スター的オーラも充分。先述のデビュー作は日本盤リリースと国内プロモーションをしていたのだけど、今作はなし。もったいなぁ。
『I Disagree』、ホントによく出来てるアルバム。申し分ないくらいカッコよくて、大変素晴らしい大傑作です。