デンマーク、オーストラリアと続いております「世界のロックから」今回はラテンの国、中南米メキシコです。
>> レゴ王国ロック〈前半戦〉『マーブル・デニッシュ』
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オーストラリア
>> Tropical Kangaroo Rock 〜オージー・バンドから学ぶインディーズDIY魂
メキシコのアーティストは過去にも何度か触れていて、Ruid RosaやDescartes a Kantなど、個性的でアツイバンドが多いのですが。
改めて考えるとメキシコ、知っているようであまり知られていないイメージが。実は昨今の日本カルチャーの海外評価と言う部分ではかなり早い段階からブームになっていた国でして。アニメ・コスプレ、ヲタ芸を打つメキシコ人なども早くから数多く動画サイトにアップされておりました。
ヨーロッパ方面での “Kawaii” “Visual-kei”、アニメ・ヴィジュアル系のようなクールジャパンブームというよりも、”Wota” “Heantai”要素なコアな部分が強かったりもするのですが。
メキシコと言えばラテン・ロック。これがまた解るようで説明しづらいというか、そもそもラテン・ロックってなんぞ?みたいな話になっちゃう。元々は中南米発祥の音楽、レゲエやスカ、マンボ、ボサノヴァあたりの総称なんだけど、一口に語れないものがあります。強いて言うなら、リズムが独特。
説明すると長くなるんだけど、ギターで言えば「ブンチャ、ブンチャ」っていう裏打ちなんかだと、アップピッキングでやっちゃう人多いけど、本式はダウンでやるんですよね。ギター弾かない人は解らない話ですね、ハイ。
このラテン・ロックが独自の発展を遂げているのがメキシコのインディーロックシーンでして。勿論古くからのラテン音楽をやっているアーティストも居るんだけど、メキシコのインディーロックでは〈Alternativo y Rock latino〉と呼ばれるような「オルタナティブ・ラテン・ロック」という独自のシーン出来上がっています。一番有名なのは Café Tacuba(カフェ・タクーバ)でしょう。
アメリカ・イギリスでは絶対産まれることがない独自の発展を遂げたインディーロックアーティストをいくつか紹介します。
Le Baron
甘い声と何とも言えぬ浮遊感のあるシンセポップロックバンド、Le Baron(ル・バロン)
フロントマン、Eduardo Limón(エドゥアルド・リモン)の存在感。プリンスと言いましょうか、デイヴ・ナヴァロといいましょうか、ラテン系フェロモン全快いやらしさ満載のスケコマシ臭(褒め言葉)がプンプンするんですが。それでいてあま〜い声で歌うのだから好きな人にはたまらんでしょう。
シンセに絡みついてうねるベースライン、そしてボイシングが独特なギター、何とも言えないアダルティな雰囲気の世界観。クオリティめちゃくちゃ高いです。
もうオサレすぎてぐうの音も出ないハイセンスMV
Vicente Gayo
ヴィンセント・ギャロじゃないよ、Vicente Gayo(カナ表記難しいんだけど、“ヴェセンテ・ガギョー”)
メキシコの若者を中心に人気のあるバンドで、アナログシンセにソリッドなギター、ハイテンション気味のひねくれたロック。どことなくPOLYSICSやtelephones、avengers in sci-fi、9mmあたりと共通するようなものを感じる。この辺りは若い世代を中心に日本カルチャーがウケているように、日本とメキシコの若者の嗅覚というか感性は似ているのだなぁなんて思ったり。
スゲー盛り上がってるなぁ。みんなで \G-A-Y-O!!/ うん\トイス!!/ \ディスコ!!/みたいなものですねわかります
iTunes
Austin TV
member: XNA: DRUMS , GUITAR, SYNTHS / TOTORE: GUITAR, PERCUSIONS, SYNTH / RATA: BASS / FANDO: GUITAR / CHIOSAN: PIANO & SAMPLERS
2001年から活動している怪しい覆面集団、インストゥルメンタルバンド、Austin TV(オースティン・ティーヴィー)
木だったり、ウサギだったり、アルバム毎?定期に被り物とコスチュームは変えている様子。こう見えても女性メンバー、CHIOSANがいらっしゃいます。
インストとは言え、ポストロックとも言い難く、エレクトロニカ要素が強い余情的というよりも変態テクニカル系のバンド。ちょっとぶっ飛びエフェクト、エレクトロポップ要素もあったり、エモっぽい展開もあったりと、about tessや残響あたりが好きな人にお勧めですね。
テンポも速めの楽曲が多いんだけど、このテンポ感って日本のバンドっぽいんだよなぁ、海外のインストバンドってこのくらいBPMのインストバンドっていないかも。サウンドも日本のバンド独特のドラムが張り付いてその上にギシギシ系のベースが乗っかってる感じ。音だけ聴いたら間違えるよ。試しにポストロック好きの知人に予備知識入れずに音だけ聴かせたら、日本のバンドだと思ったみたい。
日本ウケしそうなMV
ロンドンでのライブらしいのですが、お客さんの表情、、、
Andrea Balency
フランス生まれのアルゼンチン育ち、現在はメキシコで活動している Andrea Balency(アンドレア・バレンシー)
フレンチポップを土台としながら南米のラテンや民族音楽を吸収し、独自の世界観を作り上げている。
フランス特有のシャンソン猫撫で声は好きな人にはたまらんよね、民族系Emilie Simonみたいな。自ら歌とピアノ、アコーディオン、そしてコントラバスとパーカッションを加えたトリオ編成で活動中、、、
(追記:2013年10月現在、ソロシンガーとして活動しているようです。
実はクラブミュージックに傾倒していたこともある彼女。即興エクスペリメンタル要素を色濃く出したマルチプレイヤーとしての才も。
Radaid
Saúl Ledesma “El Muerto”: Guitarras, Ku chang, Sitar, Darbouka, Tar, Programación / Emmanuel Macías: Violin, Teclados, Erhu, Programación / Victor Aguilar: Bajo, Didjeridoo, Saz, Programación / MaryCarmen Camarena: Voz Soprano, Flauta, Percusión menor / Yolihuani Curiel: Sitar, Guitarra, Oud, Percusión menor, Khan / Darko Palacios: Bateria, Percusión / Fernando Arias:Tablas, Darbouka, Djembe, Timbales / Sofía Orozco: Voz, Darboukas, Djembe, Canto armonico, Tar, Percusión menor
シタール、バンジョー、バイオリン、タブラ、、、諸々の楽器を取っ換え引っ換え演奏する8人組、Radaid(ラダイド、“ラ”は巻き舌)
エスニックでオリエンタル、フォークというか、フォルクローレ、民謡調ありつつ、サイケ要素や今時のオルタナ、ポストロック感もあったりと、この手のバンドにありがちな器用不器用っぽさはなくて、アルバム聴くと本当に多彩というか、今時感を感じる不思議なバンド。オフィシャルサイトは2010年で止まってますが、Facebookは頻繁に更新してます。
ちょっと不気味なこのMV、いいかんじ
淡々としてる感じが良いフェンダーのオフィシャルライブ。
アコースティックな印象ですが、音源は割りとエレクトロなエクスペリメンタル要素が割りと強くて。本当に多彩すぎる素晴らしいバンド。
Quiero Club
2005年デビュー、現在のメキシコインディーシーンの台風の目と言われてるとか何とか。エレクトロポップバンド、Quiero Club(キエロ・クラブ)
1stアルバム『WOF』がヒットして日本でのCSSのブレイクをきっかけに「中南米のCSS」なんて言われてたんだけど、流石にそれは強引過ぎるんじゃないかと思ってました。
密かに80kidz関連のコンピ『Kidz Rec.02』にも参加してます。その割りには日本では何だかな、と言う印象。
ひねくれたポップセンスにDescartes a Kantあたりの押しつけがましいいアクの強さ(褒め言葉)があって、おバカではあるんだけど、でも底抜けに明るいわけでもなければ。ちょっと斜に構えた知的な部分も兼ね備えていたり、その辺の取っ付きずらさがあまり日本ウケしないのでしょうかね。
でもこういうの好きな人は多いと思うんだけどなぁ。先月リリースされたアルバム『El Techno el Suelo』が非常に快作でして。直訳すると〈土壌テクノ〉ますます意味が解らないといいましょうか、まぁ、文字面の通り土臭さを感じるテクノに仕上がってます。余計解りませんね。なんだろ、良い意味で、欧州テクノにみたいなオシャレにまとめ上げる方向には行っていない感じ。なんだか80年代の日本のニューウェイブ・テクノ、ヒカシューとかP-MODELあたりを感じるんですよね、似てるわけじゃなくて。サウンドはもっと今っぽいのですが。
http://www.youtube.com/watch?v=gNaLWtKGzqg
何がやりたいのかよく解らないような音楽性を象徴するような内容のMV(褒め言葉
こんなことやってるけど、ヴォーカルのPriscila嬢はモデルもやってます。
珍しいくらいオサレ楽曲なのに、これはヒドイMVですね!(嬉
Los Daniels
Ismael Salcedo Ortiz, Carlos Alberto Palomares Gonzalez, Rene Lugo Tapia, Carlos Alfonso Diaz Chavez,Rasheed Duran Tellez
2007年デビュー、硬派な?ラテンロックバンド Los Daniels(ロス・ダニエルズ)
今回紹介したアーティストの中では一番メキシコっぽい。ラテンのリズムとラテン語独特の節回しが親しみやすいバンドです。
とにかく色々最高なバンドなんで迷わず聴いて!
もうイントロのギターからキタキタキターって感じ。歌メロもどこか懐かしさというか、30代以上の日本人ならどこかで聴いたことあるような昭和歌謡感。楽曲構成とサビなんか完全に日本楽曲ですよ。
「太陽にほえろ」を思い出すようなリリックビデオですね。
スタジオライブ、ドラムと所々変化のあるリズムが心地よい。ていうか、ホントにラテン系の節回しって昭和歌謡感を感じますね。
メキシコの国民的シンガーソングライター、Natalia Lafourcade(ナタリア・ラフォルカデ)とのデュエット曲。海外でも男女デュエット曲は多いけど、これ歌割りが完全に日本の歌謡曲ですね、もうヒデとロザンナかよ!っていう。なんと430万PV!
Niña 女
Alejandro Isassi (voz/guitarra), Gino Marchetti (bajo/voz), Enrique Camacho (batería), Alan Robles(guitarra), Eugenio Royale (voz/sintetizador)
メキシコと言えば、個人的にこのバンドを紹介せねばならない!1996年より活動するのベテラン、Niña 女(ニーナ)
「女」という文字が入ってるところが如何にもアフォっぽいですが(Niñaはスペイン語で女子の意)一応「女」が入って正式なバンド名です。
こんなバンド名だし、メンバーの風貌は野暮ったいし、、、と思いきや、楽曲はパンク寄りのストレートなサウンドにちょっと甘めでポップなメロディが冴えてる凄い良いバンドなんです。
楽曲がメロと構成含めて、もの凄い日本のバンドっぽい。何となく奥田民生やサンボマスターあたりの日本語ロック好きな人に良いんじゃないかと思ってるんですが。
どことなく、日本のロックバンドっぽい懐メロと雰囲気を感じさせる良い曲
http://www.youtube.com/watch?v=d0W96Z7FF_g
バンド名からして日本大好きと思われますが、こういうネタも。
長崎ドリーム!オープニングからeastern youth臭を感じましたが。
「ボーカルかな、TERU似てたからね、GLAYの」からのAlejandroドアップの流れとか秀逸過ぎる
WEBSITE
こうして改めてみると、ラテンと歌謡曲、メキシコと日本の感性・親和性って本当に高いのかもしれない。